【TURING 山本CEOインタビュー➂】ソフトウェアとハードウェアを仲良く

「We overtake Tesla」レベル5の自動運転車を2025年に発売する計画を掲げる今日本で一番熱いEVベンチャーTURING。CEOである山本一成氏をモビイマ!が独占インタビュー。第3弾ではよりよいクルマをつくるために必要なこと、自動運転のために必要なAIの進化、「カメラ」を採用した理由など詳しくお聞きしました。
カッパッパ 2022.09.11
有料限定

大好評、今日本一熱い自動車ベンチャー「TURING」山本CEO(@issei_y)インタビュー。

第3回は「ソフトウェアとハードウェアを仲良く」、よりよいクルマをつくるために必要なこと、自動運転のために必要なAIの進化、「カメラ」を採用した理由、自動運転の「イマ」についてお聞きしました。とても充実した、ここでしか読めない対談。それでは早速続きをどうぞ。

***

ソフトウェアとハードウェアを仲良く

山本:やっぱり生産技術は、日本は世界トップクラスなのは間違いないと思います。一方で、弱点はやっぱりソフトウェアですよね。

すごく問題なのは、ソフトウェアとハードウェアが仲良くできていない。異文化過ぎてそもそもどうやって付き合えばよいかわからない。TURINGの仮説はソフトウェアとハードウェアが仲良くなれば、日本からもっといいクルマが作れる。重要なのはこの点だと思ってるんですよね。

カッパ:TURINGさんは、ソフトウエア、AIドリブンのところを掲げているのはすごく新しい、日本の中では他にない会社だなっておもっています。

山本:みんな下(ハードウェア)から車作りますもんね。

カッパ:自動車業界の中でもハードウエア、エンジン屋さんが一番強くて、ソフトウェアが一番弱かった。これからはどんどん自動運転を含めてソフトウェアが強くなっていく中で、ソフトウェアのところから発進、スタートでやっていくことは、日本の自動車業界に新しい風として受け入れられると思ってます。

山本:一方で気をつけなければ我々上(ソフトウェア)から作ってきてるんですけど、別に下(ハードウェア)に対する敬意がないのは絶対ダメ、ちゃんと下周りの勉強をしていかないといけないと思ってます。TURINGでも少なくとも電装系に関しては相当わかるようになってきています。

上から下までちゃんとやっていくし、別にどこが偉いとか本来はないわけですよ。理想的な話をすれば向くべきは社内の関係性じゃなくて、お客さん。これは難しいですけど、すべてのレイヤーはお客さんのためであるべきです。

カッパ:自動車が難しいのは、人の命をどうしても扱うというところがあるので、そこでの堅牢性、安全性をすごく重視してつくられているところですよね。特にハードウエアに関して。

山本:乗り越えなきゃいけないところの要求水準の高さは、本当に桁違いかなと思っています。

社会のクリティカルパスまで進出したAIの進歩

山本:ただ、ソフトウエアやAI、スタートアップがそういった社会の本当のクリティカルパスに関われるようになったことは誇りでもありますね。言ってしまえば、ちょっと前のAIは将棋など、いわばゲームだったわけです。別に生き死にの問題じゃないじゃなかった。ゲームに命がけな人もいるのでその点はおいておいて、基本的な意味では、生き死にの問題ではなかったわけなんですね。一方で、車や医療、例えば画像診断などとまさに生き死にの問題に直結するところで、人に替わる判断、AIが人を超える判断をしていく時代になってきていて、これはすごく誇りあることだなと思ってます。

世界を理解しないとレベル5は作れない

山本:これはよく思う話なんですが、TURINGがハンドルがない車を作れるか作れないかは、一旦おいておき、おそらくテスラか、あるいは中国のまだ名前もないようなスタートアップによって、そんなに遠くない未来にハンドルがない車の製造はされるだろうと思っています。

カッパ:それはレベル4じゃなくて5という意味ですか?

山本:レベル4と5は一見、隣にいるように見えるんですがプライベートカーだと、技術的にはかなりギャップがありますよね。

カッパ:そうですね。レベル5だと、地域を問わず、全部走れるっていうのはとてもハードルが高い。特定の地域に限るレベル4だけだったらまだしも、レベル5は本当に難しい。

山本:レベル4と5はアプローチが違うと思っていて、レベル5はこの世界を包括的に理解できるようなAIがないと実現できない。最近話題の絵を描くAI。あれはパソコン、ネットワークの中に世界知識が相当内包されていて、世界に関して相当詳しいんですよ。恐ろしい話ですよね。

我々もこの脳みその中に、世界に対しての理解が入ってるから運転ができる。今の運転支援は、この世界の知識とかではないです。白線に関する知識などいくつかドメインスペシフィックなデータはたっぷり入ってるんですけど、そうではなくて、この世界作っている深い、いろんなレイヤーの知識が入ってないとレベル5は実現できないと思っています。そういうことを達成しようと、テスラは考えてますよね。

なぜ「カメラ」なのか

https://note.com/issei_y/n/n367368c7c5bcより
https://note.com/issei_y/n/n367368c7c5bcより

カッパ:世界を学ぶという点で、運転は認知、判断、操作がある中でTURINGさんは認知でカメラを採用されています。他のLiDARやミリ波センサーではなくて、世界を知るためにカメラを採用したところを選択された大きな理由ってあるんでしょうか。今、テスラが唯一カメラを推していて、他はLiDARが中心になっているトレンドがあると思うのですが。

山本:そんなにこだわりがある訳ではないのですが、センサーのチョイスは幾つかレイヤーの話がごちゃごちゃになっているので、一番強調したい話をします。

解像度、レゾリューションの点で、ほかのセンサー類に比べるとカメラが圧倒的にレゾリューションがずば抜けていて、たくさん有用な情報が来ます。もちろんLiDARでもセンサーでも、あるいはマイクなどからもいろんな良い情報が来るんですけど、カメラの解像度がずば抜けてます。人間も主にカメラと同じ可視光を上手く扱って、運転しています。

コンピューターサイエンスの中で画像、可視光を扱うコンピュータビジョンの領域はAIが非常に進んでいる世界。その点から見ると可視光は車の話と関係なく、今後どんどんのびる。そう言った意味で、カメラは非常に興味深く、まず最初に挙げるべきセンサーだと思っています。LiDARはだいぶ安くなってきたとはいえ、ポンとつけるにはちょっとしんどい値段です。

カッパ:高いですね。まだまだ高い。

山本:特にSLAM(Simultaneous Localization and Mapping, 自己位置推定と環境地図作成の同時実行)をしようと思うと、かなり高価なものにする必要がありますし、まず前提としてSLAMが実現すること、ローカライゼーションができていたら、自動運転ができるのかは疑問があります。ただ衝突センサーとして、非常に便利なのはありますけどね。カメラとセンサーの使い方は一対一対応してるわけではないので、この問題は難しいんですけど、今のところ、カメラで必要十分ではと思っています。

もちろん、他のセンサーがavailability(正常な状態で継続的に使い続けることができる耐久性)が良くて、非常に安くなってという話があったら、使わないこともないと思うんですが、今のところセンサー界隈の値段とコンピュータサイエンスで基本的に可視光を使う学問が進んでいることを見ると、カメラでいいんじゃないかって思っています。

この記事は有料読者限定です

続きは、3116文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、有料登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちらからログイン

読者の方にはこんな内容を直接お届けしてます。

・トヨタやテスラなど自動車メーカー最新情報
・CASEなどの業界トレンドを詳細に解説
・各自動車メーカーの戦略や決算分析

近日配信予定

  • 毎週月曜朝に「5分でわかるクルマニュース」
  • 各自動車メーカー10-12月決算分析
  • どこより詳しい自動車メーカー企業研究
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!9/26
誰でも
【22年上期振り返り①】加速するEVシフトと分かれた明暗
有料限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!9/19
誰でも
【テスラの強み、ここに有り!】ギガプレスがクルマの製造を変える
有料限定
【TURING 山本CEOインタビュー④】AI、そしてTURINGが世...
誰でも
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!9/12
読者限定
【TURING 山本CEOインタビュー②】「素敵な勘違い」が自動車業界...
有料限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!9/5
誰でも