【徹底解説:自動車メーカー決算 スズキ】絶好調!一番伸びしろがあるのは俺たちだ!

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。「各自動車メーカーの4-12期決算」解説、今回はスズキ。他社とは違う独自戦略、インドに注力するスズキの今期決算そして展望やいかに。
カッパッパ 2023.02.16
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安易にswitchの体験版をDLしたら、「本編が欲しい」と子どもから泣きつかれているカッパッパです。買ってもいいんですが、嫁さん許してくれるかな。。。

自動車メーカー決算シリーズ、今回はスズキ。実は日本メーカーの中でも営業利益率の高いスズキ。「下駄」を自称する大衆車メーカー。日本国内の軽自動車市場やインドでは実に高いシェアを持ち、好業績を続けています。

あと決算資料が手堅い感じながらも、比較しやすい構成なのがカッパッパは好き。今回からは少し構成、フォントも変わっておしゃれ感が増しました。

そんなスズキの決算は果たしてどのような内容だったのか。どこよりも詳しく解説します。

1.過去最高益を記録!やっぱりインド!自動車以外も強い!

自動車メーカー「スズキ」の去年12月までの9か月間の決算は、円安などの影響で売り上げは3兆4000億円あまりと、この時期として過去最高となりました。
スズキが7日、発表した去年4月から12月までの決算によりますと、売り上げは、前の年の同じ時期より32.6%増えて3兆4128億円、本業のもうけを示す営業利益は、82%増えて2669億円となり、いずれもこの時期としては過去最高となりました。

2022年4-12月期売り上げは前期比32.6%大幅増の3兆4128億円。前年は主要市場であるインドでコロナによる落ち込みがあっただけに、今期は大幅増収の結果に。営業利益も前期比82.0 %増の2670億円、営業利益率7.8%。この期だけでいえば、トヨタよりも営業利益率は高い、好業績。

四半期ごとの推移をみると、23年に入ってから右肩上がり。10-12月期は過去最高の売上高、営業利益。

営業利益について分析すると、プラス効果が大きいのは為替益と台数/売り上げ構成。販売台数が4輪、2輪共に前年比で大きく増加していること、そして高収益の車種に販売がシフトしていることにより大幅に営業利益が伸びています。原材料高騰の844億円のコストUPを吸収し、前期比1236億円のプラスに。

また他社同様に円安も大きな追い風。為替レートでの損益でインドルピーの効果が最も大きいところがスズキらしい。為替でここまで詳しく書いてくれるのはスズキの決算資料だけ。素晴らしい。

売上高を地域ごとに比較すると、海外、特にアジアが大幅に増加。ウクライナ侵攻の影響がある欧州が大きくマイナスとなる一方で、アジアが前年比より大幅な伸びを見せ売上高で+49.6%とほぼ1.5倍。その中心はやはりインド。マルチスズキとしてインド国内で圧倒的シェア誇るスズキ。やはり業績を決めるはインドでの販売。またスズキは中国での事業が少ないため、中国国内のロックダウンの影響が軽微なことも好調の要因の1つ。

決算発表ではマルチスズキ単独での業績も説明。4-12月期だけでインド国内販売約126万台、輸出19.5万台。営業利益率は6.8%と前年と比較して、業績は大幅に回復。コロナ禍、そして半導体供給問題が徐々に解消され、スズキの持つ「インドの強み」が如実に表れた決算になりました。

日本国内も夏以降生産回復。部品供給不足により4-6月期、生産台数は低迷。特に9月以降は生産が上向き、コロナ禍前の水準に戻りつつあります。

唯一落ち込んでいるのは欧州。22年前半に物流の混乱、部品供給問題によりハンガリーのマジャールスズキの稼働が大幅に低下、販売は前期比▲35.0%。アジアが中心といっても、欧州でも一定の需要はあり、今後スズキがより業績を伸ばすには欧州の販売増も欠かすことはできません。

また今回の決算では4輪、自動車以外の事業も好調。特にマリンは過去最高の売り上げ、営業利益を計上。営業利益2670億円のうち568億円=約2割を2輪、マリンで稼いでおり、4輪、自動車以外でも儲けることが出来るのはスズキの大きな強みです。

2.伸びしろしかない

決算好調なスズキ。通期見通しも販売台数は下方修正も営業利益は上方修正。4輪の販売台数は▲1.8万台の302.3万台。売上高は横ばいで、営業利益+200億円、3100億円、達成ができれば営業利益率は6.9%。他社と比較しても、トヨタと同等もしくはそれ以上の好業績。

他社同様に原材料高騰の影響で▲1100億円を見込むものの、販売台数が伸びる+原価低減、為替影響でカバーできる見込み。原価低減の+350億円も大きい。

スズキの好調を支えるのはやはりインド。

ただ、これまでは圧倒的なシェアを誇っていましたが、現代などが進出し、TOPの座は安泰ではなくなっています。インドではこれまでコンパクトカーを主体として販売してきましたが、SUV人気の高まりを受け、新車種(「ブレッツァ」「グランドビターラ」)を投入などTOPシェアを守るための戦略を展開。SUVは高価格かつ利益の上がりやすい車種であり、販売が伸びればよりスズキの業績はプラスへ向かうでしょう。これからますます発展するインド。中期経営計画で掲げた「シェア50%」が実現できれば、スズキは今後ますます成長していく見込みです。

インド以外でもスズキは新興国の販売に力を入れています。特にアフリカ。中長期計画でも触れられていましたが、アフリカへの輸出販売を増やしており、アフリカ全体で前期比52.7%の大幅な伸び。浜松の企業がインドでクルマを生産し、アフリカに輸出する。夢がある。

今期の決算の中でも三菱自動車と並んで好業績だったスズキの決算。この快進撃が続けば、2030年7兆円の成長目標も十分視野に入る。日本完成車メーカーの中で一番伸びしろがあるのはスズキで間違いないでしょう。

***

近年、CASE、技術革新が進む中で小型車/大衆車中心、規模の大きくないスズキにとって、電動化対応や莫大な研究開発費は大きな負担⇒ただ逆境の中、インド、アフリカで販売を伸ばしトヨタを超える営業利益率を達成。「下駄」を自称し、「小・少・軽・短・美」を掲げるスズキ。今後売上高を伸ばし、これまで同様の優れた営業利益率をキープし中長期計画で描いた成長は続けられるのか。直近の日本の生産動向、そして主力市場「インド」加えて「アフリカ」でのスズキの動きに注目です。

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