【イチから分かる電動化④】海外メーカーの最新電動化戦略②

4月のニュースレターでは複数回にわたり、CASEの「E」、電動化を解説します。第3回は「海外メーカーの最新電動化戦略②」EVシフトが加速し次々と更新されていく電動化計画。2022年4月時点での海外メーカーの最新情報をお伝えします。
カッパッパ 2022.04.24
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今回は前回に引き続き、海外メーカーの最新電動化計画を解説します。

今回は「Ford」「GM」「現代」。EVシフトを推し進めているのは欧州メーカーだけではありません。アメリカ、そして世界で販売を伸ばしている韓国メーカー「現代」もEVへ対して、非常に力を入れています。

前回と合わせて読めば、海外メーカーの電動化戦略はばっちりです。果たしてどの会社がEVで販売を伸ばすことができるのか。各社の戦略を見ながら、考えるのは非常に面白いので皆さんもぜひチャレンジしてみてください。

6.Ford

アメリカを代表する自動車メーカー「Ford」。トランプ政権からバイデン政権へ変わり、環境への政策が重視されていく中で、それに合わせEVシフトを鮮明に。大々的な計画「Ford+」を打ち出しています。果たしてその中身とは。具体的に見ていきましょう。

まず、電動化計画。2030年にEV販売比率50%。(22年3月に40%から引き上げ)。ピックアップトラック販売台数の1/3(80万台)、フルサイズバンの70%(30万台)をEVに。欧州では乗用車100%のEV化も発表。中間目標として2026年までに年間200万台超、1/3をEVにシフトさせる計画。他社と比べても先行した内容です。

欧州のEV化計画

欧州のEV化計画

BEV販売車種予定は2024年までに7モデル。直近では「F-150 Lightning」が販売を開始。アメリカで最も売れるピックアップトラックのEV版+スタンダードが4万ドルを切った価格(補助金も出る)のお買い得感もあり、受注は絶好調。すでに20万台の予約が入っています。(当初計画7.5万台/年⇒15万台/年へ能力引き上げ)。21年から販売を開始したMustang Mach Eも販売好調のため、23年には生産能力を現在の3倍、20万台まで押し上げる計画です。

FordのEVプラットフォーム開発、具体的に発表はありません。しかしながら、前輪/後輪駆動いずれにも対応可能なEVアーキテクチャを開発中。また欧州ではVWのプラットフォーム「MEB」を小型/中型EVに採用。23年から6年間で120万台が生産される予定になっています。

投資は~26年500億ドル(5兆9000億円)。特徴的なのは内燃機関⇒EVへのシフトが直近で鮮明なこと。22年のEVへの投資額は21年比の2倍。23年には投資額がEV>内燃機関車となる見込み。欧州メーカー以上に投資が進められ、23年末にはEV生産能力も60万台/年にまで達する予定です。

カーボンニュートラル達成目標は2050年。ただし、2035年には製造事業で100%現地調達の再生可能エネルギーを使用する計画を掲げています。

Fordの電動化でもう1点、大事な点はEVシフトに合わせ、社内の構造改革も進めていること。内燃機関車の部門を「Ford Blue(フォード・ブルー)EV事業を「Ford Model e(フォード・モデルe)」として組織改編。それぞれで運用を進め、事業の損益も分ける予定。

ちなみにEV新興のRivianと共同開発を進める話もありましたが、現在は凍結されています。(ただRivian株を大量に持っていたFordは2021年株の上場益で82億ドルという多額の利益を計上しました。)

早急にEV化を進めるFordですが、問題なのはEVの採算性。「F-150 Lightning」4万ドルを切るという破格の値段なのですが、EVのコスト主要因である電池の搭載を考えると利益はとてつもなく薄い、もしくは赤字に。現在のEVラインナップ、黒字化は2代目以降(2024年)の見通しとすでにFord自身が発表しています。既存の内燃機関車で利益を確保しつつ、EVへ多額の投資を行い、少しでも早くEV単体で黒字化できるか。Fordの業績のカギはEVが握っていくでしょう。

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