【ホンダ 23年4-6月期決算解説】赤字は終わり!北米が牽引する営業利益1兆円への道

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。「各自動車メーカーの23年4-6月期期月決算」解説、今回はホンダ。4輪=自動車の利益率が低く、構造改革を進めてきたホンダ。23年1-3月期には四輪事業は赤字に至る事態に。中国市場での販売台数が大きく落ち込む中で、今期決算そして展望やいかに。
カッパッパ 2023.08.22
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自動車メーカー決算解説、今回はホンダ。苦しんできた四輪の収益性改善のため、会社の体制の見直し、工場/モデルの集約化などの構造改革を進めてきました。直近では収益を支えてきた中国市場で販売台数が大きく落ち込み。北米を中心に新車種も投入して巻き返しを図っていますが、果たしてその効果はあらわれたのか。

そして毎回思う、二輪の圧倒的強さ。自動車以外で稼ぐことのできる多業種展開がホンダの強み。その内容を含め、ホンダ決算、詳しく徹底解説します。

1.やっぱり二輪は強かった。過去最高売上16兆9000億

 第1四半期の連結売上収益は4兆6249億円(前年同期比20.8%増)、営業利益は3944億円(同77.5%増)、税引前利益は5149億円(同116.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は3630億円(同143.3%増)となった。また、グループ販売台数は、4輪車が90万1000台(同10.6%増)、2輪車が447万3000台(同5.2%増)、パワープロダクツ事業が98万3000台(同36.4%減)という結果になっている。
出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

2023年4-6月期売り上げは前期比+20.8%増,4兆6,249億円、営業利益は前期比+77.5%、3,944億円、営業利益率は8.5%(+2.7pt)。営業利益は過去最高を記録する好決算となりました。この好決算の要因はこれまで苦戦していた四輪事業の大幅な業績回復です。

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

  前期、単独では赤字に陥った四輪事業でしたが、今期4-6月期では状況は一変。四輪事業の売上高は3兆313億円(前期比+7032億円),営業利益は1,769億円(前期比+1,387億円),営業利益率は5.8%まで上昇しました。前期の決算資料では営業利益率が低かったために、金融サービス込みでの営業利益率が記載されていましたが、今回は四輪事業単独でも十分に営業利益率が確保できていたために、記載が削除。四輪事業が好調であることを象徴しています。

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

好調の要因となったのは北米での販売台数の大幅な伸び。前年比+44.7%の34.7万台。前年半導体不足で大きく生産を落としていたことを踏まえても、台数の回復はすさまじいものがあります。前年度にデビューさせた新型車『アコード』『CR-V』『パイロット』の需要に対し、生産が追いつき、販売が大幅に増えました。新型車は価格も改訂しているため、1台当たりの単価、利益も高く、進めていた構造改革が効果をあげ、営業利益率は他社に引けを取らない5.8%にまで回復しました。ただ一方で中国では販売不振が続き、前期比▲5.0%,30.9万台。会見では「5月発表の通期見通しに織り込んでいるもので、販売台数としてはほぼ計画どおり」とする一方で、CR-V(中国での兄弟車『インスパイア』『ブリーズ』)は新型でインセンティブを抑えめにしていたが、値引き競争に巻き込まれ、計画よりもインセンティブを付けて売っているという状況であることも伝えられました。ホンダも中国市場が厳しい状況であることは間違いありません。

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

利益の増減要因を見ると、やはり販売影響(=台数UP)が一番大きなプラス要因。加えて売価/コスト影響(単価UP)により営業利益は大幅に伸びました。なお、その他が+850億円と非常に大きいのですが、その中身は外貨建て債券の評価損益が主な要因。円安は直接的な為替影響だけではなく、債券などへも影響が及びます。

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第1四半期 決算説明会資料

四輪事業もさることながら、やはりホンダの業績を支えているのは二輪事業。世界TOPは伊達じゃない。収益性の高さはすさまじく、驚異の営業利益率19.0%。売上高は四輪事業の約1/4ながら、営業利益は全体の36%を稼ぎ出しています。自動車以外の事業を持ち、十分に稼げる力を持っているは他社にないホンダの強みです。

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