【池田直渡氏対談⑤】世界で進むEVシフトと日本メーカーの戦略

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今回は1周年特別企画、自動車ジャーナリストの重鎮、池田直渡さんとの対談記事をお送りします。国内、海外含め多岐に及ぶ内容。第5回は「世界で進むEVシフトと日本メーカーの戦略」です。
カッパッパ 2022.06.23
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ご安全に!

今年の夏は何とかマスクなしでOKにしてほしい。クーラーのなかなかかからない事業所でマスクの中が蒸れ蒸れ、カッパッパです。

今回も引き続き、池田直渡氏(@naotoikeda)との対談をお送りします。

今回は「世界で進むEVシフトと日本メーカーの戦略」。EVシフトが加速していく中、日本メーカーはどうやって難局を乗り越えようとしているのか。各社の特徴を分析しながら、その展望を解説します。前編の今回は「世界のEVシフト事情」「フォードF-150、ライトニング」「EVシフトが遅れている日本メーカーか問題」「スバル/スズキの戦略」に焦点を当てます。

とても充実した、ここでしか読めない対談。それでは早速続きをどうぞ。

1.モビトーク

世界各国を含めたEV事情

池田:

全ての車がEVになって内燃機関が世界中のどこでも売られなくなる日なんて来ないと思ってます。我々生きてる間は絶対に。

カッパ:

2050年であり得るかどうかぐらいですね。

池田:

 ボクはないと思いますよ。EVには価格や原材料やインフラの問題などすごいいろんな問題がある。世界中の全ての地域でその問題が解決されるとは到底思えない。だからと行ってモビリティは必要です。否応なく内燃機関はある程度残ると思います。 

 現状は、未来の現実に向かって自由落下運動してるようなものです。それは止めることも変えることもできない。我々が言ったから「EV100%にならない未来に変わる」わけじゃない。ボクはみなさんに現実的にどこに落ちるか見定めましょうということを言ってるにすぎない。行き先は割と決まっているんです。だから、日本はお終いだみたいに、そんなにやけくそになったりムキになったり、あるいは悲観的になったりしなくてもいいのかなと思います。 

カッパ:

ボクも池田さんも、EV化が進むことはほぼ確定。どんどん進んでいくよっていう認識はお互い持ってる。ボクは2030年の段階で3割弱ぐらいだろうと思ってるんですよね。ただそのシフトを現実的なライン、「日本メーカーはお金儲かるように進めてますよね」や「EV1本に絞ってるところって博打なんですよね」っていうと、けどそれが保守的、従来の価値観に縛られすぎと言われる。

池田:

2030年って、EVのシェアは10%から40%の間のどこかになる。5割を超えることはないし、10%以下で収まっちゃうこともないと思う。この幅を外す可能性はまず無いでしょう。そのグラデーションの中で、どこが本当の落ちつきどころになるかはやってみないとわからない。だけど、対数をとると最大でも6割は内燃機関ということになるはずです。そのビジネスをなんで今すぐやめるのが合理的な判断なのかとボクは言っている。

カッパ:

6割のビジネスのところで、今、海外メーカーは開発をやめると報道されている。内燃機関で日本メーカーとは優れた技術を持っていて、開発も進めていて、がっつりシェアを取れる、有利になれるのは断然あると思うんです。

あとVWのCEOの発言であったんですが、EVは安く売ったら利益が出ないよって言い始めている。大衆車では現状、EVまず利益出ないんですよね。

池田:

それはドイツ政府への牽制で、これ以上強制的に「EVにしろ」って政策を進めると、「うちは300万台メーカーになるけどわかってるいるのか、雇用は今のままは無理だぞ」という政府への警告ですね。

フォードがF-150、ライトニングを出す意味

カッパ:

EVになったら、大衆車じゃ無理で、利益率を確保するには、もう高級路線で行きますみたいな宣言がどんどんされている。

ちなみにボクが面白いなと思うのはフォードのF-150、ライトニング。4万ドルは安すぎる。

池田:

あれは観測気球でしょう。

カッパ:

電池たくさん乗せてあの価格。売っても儲けでないですからね、

池田:

アメリカでは、ライトトラックはCO2を出してもいいというルールになってる。わざわざそういう規制の緩いジャンルを作って特例措置にすることで米国メーカーを保護しているのです。見方を変えれば、それをEV化すると、CO2のクレジット幅がでかい。規制の厳しい乗用車ジャンルでEVを出すよりもライトトラックジャンルでEVを出した方がクレジットは断然稼げるんですよ。

ビジネスとしては、基本的には観測気球ですが、どうせ儲からないもんだったらせめてクレジットだけでもいっぱいもらえる方がいいというのが、F-150 ライトニングに対するボクの理解です。バッテリー供給量に制限がある以上、全てのクラスで十分にEVが生産できるわけじゃない。リソースは限られているのです。だったらクレジットが多くなるところから投入しようというのは手堅い戦略です。

カッパ:

なるほど。クレジット稼ぐなら、一番リターン率のでかいクレジットリターン率の高いジャンルにEVを投入して稼いでおこうという戦略ですね。

池田:

そう考えると合理的。車として合理的かどうかは別として。

カッパ:

そもそもピックアップトラックに乗ること自体がもう環境に優しくないですからね。荷台は常に空なのに付ける必要あるのか問題。

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