【TURING 山本CEOインタビュー④】AI、そしてTURINGが世界を変えていく
大好評、今日本一熱い自動車ベンチャー「TURING」山本CEO(@issei_y)インタビュー。
最終回の今回は「AI、そしてTURINGが世界を変えていく」、AIが人間を超える時と社会的需要性やTURINGの「イマ」「これから」、そして求める人材についてもお聞きしました。
とても充実した、ここでしか読めない対談。それでは早速続きをどうぞ。
AIが人間を超える時と社会的需要性
山本:今この瞬間の自動運転には問題もあるけれど、じゃあ5年後はどうかのか。アプリのアップデートもある中で、じゃあそうやっていつまでもバカにしてられないと思います。
カッパ:ある程度のところで、AIの方が運転断然上手くなるんですよね。先ほど言われている5年後、そのあとで。だから、僕の子供が大きくなる頃には、きっと「車を手で運転している、なんて危ないことしてたの」って言われる社会が来るんだろうと思っています。
ただ、一方で自動運転してる車が事故したとき、自分の責任でもないのに受け入れられるのかどうなのか、人の気持ちの問題、受容性が残ると思っています。自動運転の方が安全なんだけど、それを人の気持ちとして受け入れられるか。自分が悪くないんだけど、事故が起こることを許容できるのか。
山本:事故を自分の責任にしたい?
カッパ:事故を自分の責任にしたいわけではないですけど、自分よりも自動運転の方が安全だよねっていうところを理解、担保されていないと、自動運転は一気に進んでいかないと思っています。今のテスラも、自動運転に対する批判はわりとありますよね。
山本:まずはっきりしておきたい話は、現段階でテスラの自動運転は人を超えてません。AIは部分的に人間を抜いているところもあるんですが、総合力で見た場合に言うと、全然テスラはまだ単品で運転できるようなレベルじゃない。今デプロイされてるレベル4のロボタクシーをもってしても、人間の方が判断、統合力で桁違いです。ですので、現段階での批判はもっともだと思います。
手のひらは簡単にひっくり返る
山本:すごく大事な話、私が将棋AIの時に見たのは、人間ってすぐ手のひらを変えるんですね。一回AIが上手いと認識したら、あっという間にテレビ中継で上にAIの評価値が表示される結果になる。今では、理解できていないのに「AIがこんな手を打とうとしている」「藤井名人が手を間違えた」と言ってる。これは暗黙知としてAIが藤井名人よりもうまいって認識してるわけです。
事実として一回AIの方が優秀とわかれば、人は結構受け入れますという話です。スマホもそうだったでしょう。一回って良いと認識したら哲学とか関係なく広まっていった。カッパさんの意見は車業界の人すぎますね。
カッパ:そうかもしれません(笑) あと個人的に難しいかなと思っているのは実証を得るのに時間がかかるのではないかという点です。自動運転は最終、実際に走らせて確かめるしかない。将棋などのゲームでは、プログラムの中で何万局も繰り返せると思うですが、自動運転は実世界で実際に確かめてやっていかなきゃいけない。そのために時間は、どうしてもかかってしまうのかなと思っています。
山本:仮に人間よりもはるかに良いシステムが出来上がった時に証明に10年かかるという意味ですか?
カッパ:証明するデータを得るためには外で走らせて、実際大丈夫なのかを確かめないといけない。それはどうしても走行時間が必要で、ある程度時間がかかってしまう。人間よりも安全なことを証明するために時間が必要になるのではと思っています。
山本:いずれ、それほど遠くない時代に自動運転にはなるのであれば、時間がかかるのはそれはそれで良いと思います。100年かかる話ではないと思いますし。
カッパ:そうですね。5年10年の話です。
山本:どこかの段階で来るとは思いますが、いきなり、ハンドルのある車を禁止にはできない。新しい消費者がいて「ハンドルがないオプションもありますよ」「自動車保険はこうなります」「事故の責任は全部自動車会社が持ってますよ」といった説明を受けて購入することになる。そういった段階になって、自動車会社なり、保険会社なりが自信を持ってデプロイできるのであれば、自分で運転するのか、AIに任せるのかどっちを選ぶのかの話になります。
事故は「人間」が起こしている
カッパ:僕は自動車部品メーカー勤めているので、安全性すごい気にしてしまいます。少しでも安全性に問題があると、危険でがあると市場に出すべきではないとどうしても考えてしまいがちです。
山本:車会社の人たちの努力は圧倒的だと感じています。とはいえ、世界で年間100万人以上死んでいます。法律と事実の話が混同していますが、安全について自動車メーカーがすごい努力しているのは知ってますが、たくさんの人が死んでるのも事実です。
カッパ:自動車メーカーは少しでも自分のミスで被害の無いように尽力していますね。
山本:圧倒的にやばいのは人。運転のミスが桁違い。それは車ではいかんともしがたいです。
カッパ:人のミスを補う、防ぐのが自動運転と考えると、そもそもの安全性を考えれば自動運転に移行していくのも当然かもしれません。
山本:100万人、死んでいるうちのほとんどは人間のミスが関わっている。自動車会社のミスなんてほとんどない。ブレーキの暴発なんて話もあるんですけど、ほぼ起こらないわけじゃないですか。それを考えると、自動車側でのミスを99%から99.99%なくすとするよりも、明らかにミスのほぼ100%を担っている、ボトルネックの人間のミスに注目した方が良くないですか。
カッパ:それは言われるとおりだと思います。ただ、法律の話がやっぱりあって、人の命が関わるだけにややこしいんで、そこがなかなか大変ですよね。
山本:本当に車会社の人は人命に影響が出ないようを頑張ってるし、難しい量産化やコスト意識の中で、安全を意識していて、現状の車としてできる安全性能ってすごい高いレベルになっています。これは賞賛すべき話だと思います。
ただ車側で頑張っても安全には限界があって、圧倒的に問題は運転手、人間。事故はほぼ100%運転手のミスが絡んでる。これを何とかしようと考えています。
TURINGの「イマ」
TURINGのマスタープラン(2021年12月) https://note.com/issei_y/n/n85fd1ad29ccdより
カッパ:具体的にTURINGさんが今どのようなことをやられているかお聞きしたいです。今は改造車を作って、走行データを取られて、改造車に織り込んで走らせようとされている?
山本:そのとおりです。いろいろ大変だなと思ってやっています。
カッパ:今はレクサスでやられてるんですよね?
山本:レクサスがいいのかどうかはわからないのですが、ちゃんと売ろうって思っています。売る前提だと車検を通すなど難しいプロセスを通すために頑張らないといけない。
カッパ:たくさん走行データを取る必要があるので、データ取りも大変ではないですか?
山本:データ取りはやればできると思います。大変といわれるのですが、いろいろ皮算用していて、あーだこーだ言わずに、OBD繋いでカメラつけて走ればできると思います。
カッパ:今の目標は2025年にレベル5のクルマを出すことですよね。
山本:難しいとは思います。けどやるしかないとも思います。ハンドルをなくすことはちょっと大変かもしれない。でも、ハンドルがない車は限定的とはいえ、Zooxなど海外では出ています。彼らのレベル4は本当に小さい限定されたエリアだけを走っているわけではないですし。
TURINGが欲しい人材
カッパ:TURINGさんは今、人を募集されていますよね。このニュースレター、たくさん自動車業界の方が読んでいるので、興味のある方は多いと思います。どんな方に来てほしい、どういう知識を求めているのかを教えてください。
山本:この会社は0からクルマを作っていきます。40年以上日本では完成車メーカーは出てこなかった。日本でそういうチャレンジの上では、技術セットはともかくマインドセットがすごく大事だと思っています。自分たちの手で未来を変えられると思う車系の人が欲しい。
ソフトウェアは、TURINGが今いるスタートアップの文脈をまねたいと思っています。そこにハードウエアで新しいことを起こしたいと思っている人をくっつけることによって、ソフトウェアとハードウェアを仲良くさせた、新しい車が作りたい。こういった思いを持った方がきてくれると嬉しいです。
カッパ:本日は取材させていただいてありがとうございました。すごく勉強になりました。これからも日本一熱いEVベンチャー、TURINGさん応援しています!
スタートアップの意義から自動運転、AIまで非常に多岐にわたる面白いインタビュー(自画自賛)。日本ではまだまだ自動車ベンチャーは少なく、チャレンジする人も多くありません。ただTURINGさんのように外部からの挑戦者が自動車業界を盛り上げ、活性化してくと感じています。
TURINGさんでは自動車業界、そして日本、世界を変えていく仲間を募集しています。インタビュー読んで興味の持たれた方、ぜひともTURINGへコンタクトを!これまでの自動車メーカーとは全く違う世界がそこには待っています。
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