【ホンダ 23年上期決算解説】北米と二輪が牽引する好業績の今だからこそ進める中国構造改革

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。「各自動車メーカーの23年上期決算」解説、今回はホンダ。4輪=自動車の利益率が低く、構造改革を進めてきたホンダ中国市場での販売台数が大きく落ち込む中で、今期決算そして展望やいかに。
カッパッパ 2023.12.03
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。自動車メーカー決算解説、今回はホンダ。苦しんできた四輪の収益性改善のため、会社の体制の見直し、工場/モデルの集約化などの構造改革を推進。22年度決算では四輪は最終赤字転落しましたが、4-6月では黒字化。好調二輪にも支えられ、過去最高1兆円を超える営業利益が見えてきました。一方、収益を支えてきた中国市場で販売台数が大きく落ち込んでいることも事実。果たして上期の結果は。ホンダの決算を見るたびに毎回思う、二輪の圧倒的強さ。自動車以外で稼ぐことのできる多業種展開がホンダの強み。その内容を含め、ホンダ決算、詳しく徹底解説します。

1.北米と二輪パワーでがっつり稼いだ23年上期

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

2023年上期売り上げは前期比+18.9%増,9兆6,093億円、営業利益は前期比+53.6%、6,955億円、営業利益率は7.2%(+1.6pt)。増収増益の好決算となりました。この好決算の要因はこれまで苦戦していた四輪事業の大幅な業績回復です。

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

  前期22年度決算、単独では赤字に陥った四輪事業でしたが、今期上期で業績は回復。四輪事業の売上高は6兆3,471億円(前期比+1兆3,432億円),営業利益は3,013億円(前期比+2,378億円),営業利益率は4.7%まで上昇しました。前期の決算資料で記載のあった金融サービス込みでの営業利益率は、四輪事業単独でも十分に営業利益率が確保できていたために、削除。決算資料の構成を見ても、四輪事業が好調であることが分かります。

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

好調の要因となったのは北米での販売台数の大幅な伸び。前年比+48.6%の68.6万台。前年半導体不足で大きく生産を落としていたことを踏まえても、台数の増加率は約1.5倍と著しい数字になっています。前年度にデビューさせた新型車『アコード』『CR-V』『パイロット』の需要に対し、半導体不足から解消され、生産が追いつき、販売が大幅に増えました。新型車は価格も改訂しているため、1台当たりの単価、利益も向上。進めていた構造改革も効果をあげ、営業利益率は他社に引けを取らない4.7%にまで回復しました。

ただ一方で中国では販売不振が続き、前期比▲12.3%,61.1万台。中国事業は中国企業との合弁になるため持分利益として算出されるのですが、前期比1100億円。質疑応答では「ICE の市場縮小」+「 ICE の中での競合セグメント、SUV のB・C セグメントの領域で厳しい戦いを強いられた」と厳しい販売状況にあることが明かされました。ホンダにとって中国は極めて重要な市場です。22年度、ホンダ四輪中国販売台数は124万台で日本(56万台)の2倍以上、全体の約1/3を占めます。今後中国の四輪をどう戦っていくのかがホンダに目下直面している課題です(後述)

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

利益の増減要因を見ると、やはり販売影響(=台数UP)が一番大きなプラス要因。加えて売価/コスト影響(単価UP)により営業利益は大幅に伸びました。なお、その他も+850億円と非常に大きいのですが、その中身は外貨建て債券の評価損益が主な要因。円安は直接的な為替影響だけではなく、債券などへも影響が及びます。

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

出典::ホンダ 2023年度 第2四半期 決算説明会資料

四輪事業もさることながら、やはりホンダの業績を支えているのは二輪事業。世界TOPは伊達じゃない。収益性の高さはすさまじく、驚異の営業利益率16.1%。売上高は四輪事業の約1/4ながら、営業利益は全体の36%を稼ぎ出しています。自動車以外の事業を持ち、十分に稼げる力を持っているは他社にないホンダの強みです。

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