テスラ23年2Q決算徹底解説【良いのか悪いのか?過去最高更新と成長の鈍化】

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!今回は号外版として、テスラ2023年2Q決算について詳細に解説します。
カッパッパ 2023.07.27
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BEV世界販売台数TOP、掲げる年率50%の目標は達成できてないものの、各地域でシェアを伸ばし続けるテスラ。ただ一方で今期は大幅な値下げを実施。生産、販売台数が過去最高を更新する中で、大幅値下げしたうえでどれだけ業績が維持できるのか。決算の内容に注目が集まっています。

自動車業界の方、テスラファンのみならず、クルマに少しでも関心のある方、必見です。

売上、販売台数=過去最高更新

アメリカの電気自動車メーカー、テスラの6月までの3か月間の決算は、値下げの効果などで販売が世界全体で46万台を超えたことから、売り上げが過去最高を更新しました。
テスラは19日、ことし4月から6月までの3か月間の決算を発表しました。
世界全体の販売台数は前の年の同じ時期と比べて1.8倍の46万6140台に増加しました。
この結果、売り上げは前の年の同じ時期の1.4倍の249億2700万ドル、日本円にしておよそ3兆4700億円で、過去最高を更新しました。
出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder  Deck

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder  Deck

  テスラ、23年4-6月期売上高は249億2700万ドル、(約3兆4700億円 前期比:₊47% 23年1-3 月期比 +7%) 、過去最高を更新しました。他社メーカーの決算が発表前なので、単純比較はできませんが、売上高で見れば、既存自動車メーカー含めて、現代に次いで世界7位につける水準です。

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder  Deck

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

販売台数も過去最高を記録。生産は47.9万台、販売は46.6万台。1-3月期では主力の上海工場が春節で長期に止まっていた影響で生産が止まっていた時期がありましたが、4-6月期はフル生産。各工場の能力を考えると、現状でのMAX生産を達成した四半期と言えます。

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder  Deck

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

販売台数は前期比83%の大幅な伸びを見せており、テスラは中国、アメリカ、欧州の世界3大市場で着実にシェアを伸ばしています。

また毎回注目される「排出権取引(クレジット)」、今期は2億8200万ドル。他社が徐々にEVシフトを進めていく中でクレジットでの利益は少なくなっていくのかもしれませんが、テスラはもはやクレジットなしでも自動車単体で十分黒字なので問題ないでしょう。

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

止まり始めた成長と低下する営業利益率

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

順風満帆に見えるテスラの業績ですが、ただ手放しで褒められる内容ではなく、様々な懸念点もあります。

一つ目は販売台数、売上高の成長の鈍化です。販売台数は前年と比べれば大きく伸びてはいるものの、四半期ごとの増加数を見ると22年Q2→Q3 8.9万台,22年Q3→Q4 6.2万台,22年Q4→23年Q1 1.7万台, 23年Q1→Q2  4.4万台。23年になってから、徐々にではありますが販売台数の伸びは少なくなっています。そもそも生産能力が200万台MAXなので四半期レベルで見ると50万台が上限。生産余力はあと4万弱。能増や新規工場での生産能力UPは直近なく(上海能増は中国政府と揉めて進んでいないという報道あり)、50万台まで達すれば、サイバートラックの量産立ち上げとメキシコの新工場の稼働が始まるまでは横ばいが続くでしょう。

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

出典:Tesla 2023 Q2 Shareholder Deck

また販売促進を行うために値下げした結果、営業利益率は大きく低下しています。22年1Qでは営業利益率19.2%となっていましたが、今期は9.6%と半減以下。BEVの事業とすれば、他社と比較して特出して高いことは間違いありませんが、既存自動車メーカーの高級車ブランドと比較するとほぼ同じ(もしくは負けている)。原価低減やIRAで政府から多額の補助を受けているものの、値下げの影響は非常に大きく、1台当たりの稼ぐ利益は低下しています。今期、販売台数、売上高は過去最高ですが、販売台数が前年比86%増に対し、売上高は46%増にとどまっており、1台当たりの単価が下がっていることが分かります。

テスラの今期の決算は過去最高を記録する一方で、右肩上がりの成長が鈍化を見せ、踊り場に入るのではないかという懸念を持った内容になっているのです。

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