【自動車メーカー決算解説:ホンダ】

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今週は「各自動車メーカーの22年3月期決算」を解説します。最終回はホンダ。GM/ソニーとの提携、直近では電動化計画の発表などCASEへの対応を加速させ、具体的な戦略が見えてきたホンダ。苦しんできた四輪の収益性は改善されているのか。そして今期の見通しは?その中身を徹底解説します
カッパッパ 2022.05.15
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久しぶりに外でお酒を飲んだらかなり弱くなっていてびっくり。電車は間違えたけど、落とし物/忘れ物をしなかったので自分としては100点、カッパッパです。(帰ってから、嫁カッパになぜ電車を間違えるのかと問い詰められました。)

自動車メーカー決算シリーズ、第7弾、最終回はホンダ。GM/ソニーとの提携、直近では電動化計画の発表などCASEへの対応を加速させ、具体的な戦略が見えてきたホンダ。苦しんできた四輪の収益性改善のため、会社の体制の見直し、工場/モデルの集約化などの構造改革を進めてきました。果たしてその効果は。そして今期の見通しは?

今回は四輪の解説なのですが、見るたびに思う、二輪の圧倒的強さ。自動車だけでなく、他で稼ぐことのできる他業種展開がホンダの強み。その内容を含め、ホンダ決算、どこよりも詳しく徹底解説します。

1.「全方位」での収益改善の結果

 2021年度の連結売上収益は14兆5526億円(前年度比1兆3821億円増)、営業利益は8712億円(同2110億円増)、税引前利益は1兆701億円(同1561億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は7070億円(同496億円増)となった。また、グループ販売台数は、4輪車が407万4000台(同10.4%減)、2輪車が1702万7000台(同12.5%増)、ライフクリエーション事業が620万台(同10.3%増)という結果になっている。

2022年度3月期売り上げは2020年度比+1兆3821億円の14兆5526億円(+10.5%)、営業利益は+2110億円増の8712億円(+32.0%)、営業利益率は6.0%(+1.0pt)。増収増益の好決算内容となりました。営業利益が大幅に伸びており、「稼ぐ力」が向上していることがわかります。

販売台数を見ると、自動車=四輪事業は前年比▲10.4%と大きく減少。半導体供給問題により部品確保が出来ず、生産が落ち込んだ結果によるものです。特に、中国(▲28万台)での減少幅が大。全需(2020年度比93.5%)と比較しても、ホンダの販売台数(2020年度比85.0%)の落ち込みは激しく、主力市場でシェアを落とした1年に。

ただこうして販売台数が減る中で四輪の収益性は向上。10.4%の販売台数減に対し、売上収益は5812億円の増加。1台当たりの販売価格が高まり、それに伴って営業利益も902億円⇒2362億円、営業利益率1.0%⇒2.5%と大きく改善されています。

これまで四輪事業の収益性の低さが問題となっていたホンダ。構造改革を推し進めており、決算発表の中でも「全方位での収益改善努力」を強調。

為替による円安の効果、台数の吐き出しが少なく、商品力が強いこともあってインセンティブを抑えることができた。さらに価格も少し上昇させることができたことと、これまで取り組んできた4輪車の収益改善施策、全方位での費用抑制、適切なものへの固定費の圧縮、グローバルモデルの派生数削減、ホンダアーキテクチャーや品質費用などの効果が噛み合って、コストアップの要因や半導体不足による減産で販売を伸ばせなかったといった面をカバーして増益になった
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1409164.html

今回の決算では構造改革の効果が大きく表れた内容となっています。

いや、それにしても相変わらず二輪の収益性の高さはすごい。営業利益率14.3%。売上高は四輪事業の1/4ながら、営業利益は四輪事業よりも高い。自動車以外の事業を持ち、十分に稼げる力を持っているは他社にないホンダの強みです。

営業利益の増減要因、利益を押し上げたのは「インセンティブ抑制(+2055億円)」「為替影響(+1689億円)」。決算発表では「米ドルが1円スイングすると収益に約120億円ぐらいのインパクト」と直近進む円安が業績にとって追い風となっています。

ただ原材料費高騰はホンダにも重くのしかかり、売価/コスト影響は▲569億円、「原材料価格では、約2700億円ほどのコストアップでネガティブな要素」と販売価格の一部見直し(値上げ)を行っても、コスト増を吸収しきれてはいません。

構造改革により、収益改善が進んでいるものの、半導体供給問題による生産減、原材料費高騰と大きな課題に直面しているホンダ。果たして今期はどのような見通しとなっているのでしょう。

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