【レベルを上げて物理で殴る】カッパと悟空が読み解く、トヨタEV電池戦略【後編】
ご安全に!
先週に引き続き、やけに電池が好きな孫悟空さんをお招きして、カッパッパと2人でトヨタEV電池戦略について、言いたい放題、語り合う後半戦。今回はコスト、電池の開発状況、今後の設備投資について解説。
前半はこちら↓
「レベルを上げて物理で殴る」実直で堅実な戦略。でも状況によっては…
後編スタートです!
自動車メーカーならではの電池コストの削減

カッパ:では、次は電池コストのあたりを見ていこうかと。
ここが個人的に1番面白くて、電池だけのコストでなく、「電費改善は電池容量の削減につながるのでコストを30%低減」と車両全体を含めたコスト削減を目指すことを表明。
これまでのメーカーでは、電池だけに言及していて、BEVを車両全体としてコスト低減すると発信するのめっちゃ興味深い。
その後の「20年代の後半には、TOYOTA bZ4Xと比較し、台当たりの電池コスト50%低減」=EVはまだ発展途上で伸び代が大きく、進歩のスピードが早いと思った次第です。
悟空:電池コストに対ぇする考え方は、たしかに面白ぇとこだな。ここに関しては「電池メーカー」が考える王道(≒統一規格の大量生産)じゃなくて、実にクルマ屋らしいコスト感って印象。オラみてぇに電池のことしか考えてねぇ奴には思いつきにきぃ発想だと感じたな。世界的にはバンバン設備投資して量産進めるのがコストダウンの正攻法で、だからこそトヨタは乗り遅れてんじゃねぇの?っちゅう指摘が入るのはもっともだ。
でも、今回ぇの発表では、
・クルマにおけるコストダウンってのはこういうやり方もあるんだよ。
・闇雲に大ぇ規模設備投資するんじゃなく、小さな原単位でリスク管理しながら立ち回ることもできるんだよ。
っちゅう主張をしてきたわけだな。
明かされたトヨタ電池開発の進捗

カッパ:そして、今回の肝、「3タイプの電池開発」「全固体電池」。ゲームチェンジャーと言われていた全固体電池、まさかの寿命が短い宣言。全固体でトヨタが全てをひっくり返すようなシナリオを想像していたんですが、自分から弱点を明らかにするなんて思っても見なかった…
ただ他で進んでいる開発も同様の問題に突き当たるのでしょうし、そして現段階で正直に言ってしまうことは問題解決が見えているからかもしれません。HEVに先行して搭載、今から楽しみです。

どうも世間からは『全固体ぇ電池がEVの最適解』、『ひとつのゴール』みてぇに思われてるフシがあるが、オラからすると『電池進化の途中過程』、『必要な研究のひとつ』っちゅうのが正しい見かただな。
悟空:まぁ、全固体ぇ電池は過度に期待ぇされ過ぎてた面は否めねぇからな。トヨタが発表した欠点は原理上生じ得る本質的なもんであって、技術目線では特筆すべきもんじゃねぇ。でも、改めてそれをハッキリと公式の場で明言したのはちっと驚ぇたけどな。克服できねぇ可能性考えたら黙ってフェードアウトしちまったほうがよかったかもしれねぇ。
ただ、本質的な欠点故に『だから実用化できねぇ』って考える技術者も少なくねぇ中、曲がりなりにも公道走行可能な実車サンプルを作ったうえで『改善すべき点』と捉えてるっぷりのは、本当に実用化を考えてるからこそなんだろうな。
HEVへの先行搭載もいろいろと理に適ってると思うぞ。今回ぇ指摘された寿命特性は、あくまでも現状の技術水準でBEVに使った場合の話。もうちょいブラッシュアップすりゃHEVには適用可能な道筋が見えてるんだろう。
おそらく、全固体ぇやバイポーラみてぇな新しい電池は、まずは日本を筆頭にHEVが売れる市場に投入。量産コストダウンを図りながら改善を重ね、BEVへの搭載を目指す……っちゅう感じになるのかもな。
カッパ:この段階で全固体電池活用の道筋を示したところはこの発表の大きかったところですね。そして電池供給と設備投資。トヨタ内で自社開発を進め、協力できるパートナーと連携を進める。サプライヤーではなく自分たちが主導権を持って、電池でもコア技術は譲らない。垂直統合型、トヨタらしい調達のあり方だと思います。
この記事は無料で続きを読めます
- 純粋にレベルを上げて物理で殴る設備投資
- トヨタEV電池戦略まとめ
すでに登録された方はこちらからログイン
こんな内容をニュースレターでお届けします。
・CASEなどの業界トレンドを詳細に解説
・各自動車メーカーの戦略や決算分析
近日配信予定
- 毎週月曜朝に「5分でわかるクルマニュース」
- 各自動車メーカー10-12月決算分析
- どこより詳しい自動車メーカー企業研究