「車両さえ作れれば」言いたいことはよくわかる…半導体供給問題に苦しんだSUBARU、7-9月決算は?_モビイマ!Vol.36
ご安全に!
ようやく案件片付いて、暇になったなーと思ったら、次から次に舞い込んでくる次のトラブル。仕事ではトラブルが当たり前、トラブルがあること前提で予定を組みましょう、心構えしましょう。正論としてはごもっともなのですが、ずっと続くのはなかなかつらい。
自動車メーカーの決算発表で明暗がかなり鮮明に現れています。
その中でトヨタ、強すぎ。
今回のモビイマではスバルの決算について解説していますが、先週に発表のあった他自動車メーカー、トヨタ/ホンダ/三菱自動車は決算解説記事、有料購読者向けのニュースレターで解説しています。
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では「モビイマ!」Vol36スタートです。
【目次】
1. モビニュース!
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「車両さえ作れれば」言いたいことはよくわかる…半導体供給問題に苦しんだSUBARU、7-9月決算は
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ドライバーの異変検知で自動停止_マツダ次世代安全技術コンセプト「Mazda Co-Pilot」って何?
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今週のテスラ
2.余談:ヘノヘノカッパッパ
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意志よりも物理
1. モビニュース!
「モビニュース!」では、自動車業界1週間の注目ニュースや記事を紹介し、Twitterよりも深掘りした情報・視点を発信します。自動車業界の最新トレンドはこれさえ読めば大丈夫!
「車両さえ作れれば」言いたいことはよくわかる…半導体供給問題に苦しんだSUBARU、7-9月決算は
SUBARU(スバル)が11月5日に電話会議で発表した2022年3月期の第2四半期(4~9月期)連結決算は、販売の伸びが小幅にとどまったものの、営業利益は545億円(前年同期比77.9%増)と大きく回復した。
半導体不足の影響などによる生産減で、通期予想は下方修正した。第2四半期累計のグローバル連結販売は、半導体やアジアからの部品供給不足による生産減により、3%増の37万5000台と、小幅の回復に終わった。主力の米国は強い需要があるものの、生産の制約により3%減の25万3000台となった。日本は2%増の4万4000台だった。
日本/北米を主戦場とし、近年北米で非常に人気の高いスバル。今回の決算では、「車両さえ作れれば」=部品供給問題により生産できず、販売/売り上げが伸び悩む、苦しい決算内容となりました。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS07355/dd61e4f1/df37/440f/a390/0643d9049641/20211104173921904s.pdf
第2四半期(4~9月期)連結決算は売上高は1兆3417億円(10.1%増)、営業利益545億円(77.9%増)純利益は448億円(88.9%増)。コロナ禍直下の前年とでは評価が難しく、大きく増えているように見えるのですが、注目すべきは生産台数。コロナ禍で生産が抑えられていた前年よりも△1.2万台と数量減。部品供給問題に生産が出来ていない現状がよくわかる結果になっています。
個人的にとても面白かったのはこのスライドが決算説明資料の2枚目にきていたこと。通常の決算説明資料は業績について説明した後で、個別の地域や取り組みについて触れることが多いのですが、スバルの今回の資料では上期の業績の後、すぐに「北米での販売状況」が。こちら中身を見ると、「かつてないほど在庫が減っている」「消費者が注文し入荷待ちであるバックオーダーが過去最高レベルの3.5万台まで積みあがっている」=需要に生産が追い付いていない状況が明らかに。
現地に車両さえ供給できていれば、さらに多くの販売を実現できたと、大変悔しい思い
会見した社長のこの思いが非常によく伝わる、スライドの位置、そして内容。(何としても伝えたかったんだろうなぁ)
ちなみにこの在庫レベル、北米の他社であれば通常在庫60日程度、スバルは昨年まで30日程度だったので、本当に店頭には在庫が全くないレベル。船から降りた時点で、行先は決まっていると言っても過言ではありません。売りたいのに売れる在庫がない。
部品供給問題での減産は他社と比べても非常に大きく、連結グローバル販売を従来比で13万台少ない83万台(前期比4%減)に下方修正。コロナ禍1年目よりも数量が減る見通しに。前回の決算発表時にも下方修正したので、当初の計画よりも状況が悪化していることが分かります。
これに伴い、通期の利益予想も営業利益は従来計画比で500億円減額の1500億円(46%増)、純利益は300億円少ない1100億円(44%増)に見直し。下方修正=非常に厳しい決算の内容となりました。
そして利益増減の要因を見ると非常に気になる点が。
原価低減等の要因が△630億円と大きく悪化。「原材料・市況等」でグローバルで784億円のマイナス要因になっています。今年の生産台数が86万台なので1台あたり9.1万円もコストUP。市況についてはよくわかりませんが、原材料高騰でこれほどまで原価が上がってしまうとは。ただ他社の決算ではこれほど影響が出ていません。他のメーカーの反映が遅れているだけという可能性もありますが、スバルだけなぜこれほどダメージを受けているのかは非常に気になるところ。特別何か大きな要因があるのだろうか。
「今後生産が回復した際には、更なる販売増、収益拡大につなげていける素地は十分に整っている」と指摘した。下期への構えとしては「コロナ禍で各種費用の見直しや、低在庫下でのオペレーションなどの学びもあった。それらを生かしてより筋肉質な体質への変革を目指していき、通期計画の達成に全社一丸で取り組みたい」
現在の旺盛な需要を見ると、生産を増やすことが出来れば、販売が伸び、スバルの業績は右肩上がりになるはずです。何とか部品を確保して挽回へ。スバルの今後の注目ポイントは「いつから挽回計画がはじめ、生産が増やせるか」この1点に尽きます。
(ちなみに他社の挽回はトヨタは12月から、ホンダは1月となっています)
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- ドライバーの異変検知で自動停止_マツダ次世代安全技術コンセプト「Mazda Co-Pilot」って何?
- 今週のテスラ
- 2.余談:ヘノヘノカッパッパ
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