【マツダ 23年第3四半期決算解説】過去最高の今から仕込む「マツダ」らしいカーボンニュートラル

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。「各自動車メーカーの第3四半決算解説」今回はマツダ。昨年から販売した新PF「ラージ商品群」の真価が試される今期、果たしてその結果は。
カッパッパ 2024.02.21
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中期経営計画としてブランド力向上を掲げ、昨期から満を持しての直6ディーゼルのパワートレインを含むラージ製品群を投入したマツダ。CX-60に続いてCX-90も発表し、ラージ商品群が本格的に台数を伸ばすことが期待される今期、果たしてブランド戦略は上手くいっているのか。その決算内容を詳細に解説します。

1.過去最高更新尽くめの好業績の陰にある不安

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

2023年第3四半期累計は売上高、3兆5,665億円(前期比+8,702億円)、営業利益2,002億円(前期比+907億円)と増収増益。営業利益率は5.6%、前年同期比+1.5ポイント。売上高、営業利益、純利全ての項目で過去最高を記録する好決算になりました。

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

生産台数は前年同期比+11.9万台の92.7万台。22年は上海ロックダウンに起因する部品不足により生産を落としたために、前期比では+19%の大幅な増加。23年度は半導体不足が本格的に解消し、生産量が回復した半期となりました。

販売台数も前年同期比+12%と大幅増。販売を地域別にみると、前期比で北米、欧州、日本が大きくプラスなのに対して中国、その他市場がほぼ横ばい。中国は一見販売台数を維持しているように見えますが、前期ではロックダウンの影響があったこと、全需は増加していることを踏まえるとシェア、販売が落ち込み、苦戦していることは間違いありません。またASEANも主要市場であるタイが自動車向けローンの審査厳格化などにより需要が落ち込み+中国新興メーカーの進出によるシェア低下によりマイナスに。地域によって業績に差が出ています。

2020年ごろのマツダは世界各地域の販売比率が日、欧、米、中、その他でほぼ均等20%ずつという点に特徴があったのですが、直近では比率に大きな変動が。北米が全体の40%を超える一方で、中国は6%まで比率が低下しています。利益率の高い北米での販売増が過去最高の大きな要因となる一方で、中国の落ち込みをいかに抑えるのかがマツダの直近の課題となっています。

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

個別の市場を分析すると日本は生産回復と共に販売も+12%と回復、シェアも拡大。少し気になるのはこれまで販売を牽引してきたCX-8が年末に販売を終了してしまうこと。後継車種であるCX-80については未だに販売開始時期の発表がなく、販売台数減につながらないかが心配されます。またロードスターもモデルチェンジ。台数が出る車種ではありませんが、海外を含めて根強い人気があり、マツダらしい1台として販売が伸びてほしいところ(燃費規制で販売が難しくなる中で継続生産できるのかが ポイント)

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

、続いて絶好調北米。他社同様に高需要継続+半導体不足解消による大幅な生産、販売増。今回の好業績の一番の要因となっています。ラージ商品群+価格見直しによる単価UPに円安効果が加わりまさに「ドル箱市場」。アラバマ工場で生産される「CX-50」も2直化が開始、ラージ商品群も販売好調で12月単月では過去最高の販売台数を記録。マツダの命運を握るのは北米での販売動向になっています。

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

欧州でも日本、北米と同様に生産、販売が大幅に増加。環境への意識の高い欧州ではCX-60 のPHEVの販売が伸びており、売上高を伸ばす大きな要因となっています。欧州は22年販売数が低かったために、前期比で大きく販売が伸びているのですが、マツダは全体よりも大きな伸びを見せ、シェアは拡大しています。

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

問題なのはやはり中国。前期比+1%とほぼ横ばいですが、全需は増加しており、シェアは低下。厳しい戦いを強いられています。後半に入ってからは若干の回復は見せているものの、NEVのシェア拡大が大きく、ICE主体のマツダは台数の維持が精いっぱいの状況。コロナ前の2019年3月では年間24.7万台あった販売台数は第3四半期時点で7.3万台にまで落ち込み。今後これ以上台数を落とさない+挽回に向けた計画が必要となっています。

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

マツダの特徴はその他の地域でも販売比率が大きい点。マツダの販売台数の多いオーストラリアでは前年比+13%と大幅増。ただASEANでは主要市場のタイで自動車市場全体が落ち込んでいることもあり、台数が▲4万台と減少しています。ローン審査厳格化に加え、中国新興メーカーの進出が目覚ましく、競争が激化しており、ASEAN市場をどう守るのかもマツダの課題です。

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第3四半期決算  プレゼンテーション資料より

これらを踏まえて営業利益の増減要因を見ると、出荷台数増、構成変化により1195億円のプラス。販売台数の回復とラージ商品群への移行→高価格帯へのシフトの効果が出ています。マツダは北米への輸出が多いので為替益が大きく出ているかと思いきや、上期で+143億円とそれほど大きくなっていません。これはタイバーツとメキシコペソが円安要因によりマイナスとなったため。直近足元では円安が続いているものの、今期はそれほど為替益は期待できないかもしれません。

そして気になるのは固定費他の増加、▲657億円と悪化していることです。ラージ商品群でのリコールなどによる品質費用、マーケティング=広告費用/研究開発費の増加が悪化の原因。品質費用は知事的な要因ではあるものの、満を持して投入したラージ商品群でのリコールが続いており、今後投入されるCX-90でも同様の問題が起きないか、また研究開発費や広告費=固定費の増加は長期的に業績を悪化させる要因となり、「過去最高」の業績でも将来に一抹の不安が残る内容となっています。

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続きは、2277文字あります。
  • 2.マツダ史上最高の業績に向けて
  • 3.マツダらしいカーボンニュートラルのために

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