【バイ・アメリカン!】自動車メーカーの命運を決める?アメリカ、「IRA法」っていったい何?(前編)

世界で進むEVシフトに伴って、各国では自国の産業を支援するためにブロック経済化、サプライチェーンを囲い込む動向が鮮明になっています。今回は世界第2位の自動車市場、アメリカでの政策動向、IRA(インフレ抑制法)について詳細な内容、自動車業界に与える影響、現在/今後自動車メーカーがどのように対応していくのか解説します。
カッパッパ 2023.04.18
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世界で進むEVシフトに伴って、各国では自国の産業を支援するためにブロック経済化、サプライチェーンを囲い込む動向が鮮明になっています。今回は世界第2位の自動車市場、アメリカの政策動向を詳細に解説。元々の予測ではEV普及は各国に比べ、遅れる見込みでしたが、直近バイデン政権で看板政策として「環境対策」を掲げる中で、EV普及を促し、企業を誘致する動きが活発になっています。その中でも核になる法律がIRA(インフレ抑制法)。その補助金額は莫大で自動車メーカーの命運を左右する重大な政策です。IRAの具体的な内容、自動車業界に与える影響、現在/今後自動車メーカーがどのように対応していくのか2回に分けて、詳しく解説します。

米国インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)の全体像と目的

IRA「Inflation Reduction Act」(インフレ抑制法)は10年間で、財政赤字を約3,000億ドル削減することで、インフレの減速を狙い成立された法律です。大きく2つの内容で構成されています

  • 歳入UP:法人税の最低税率の設定と処方箋薬価の引き下げ等によって、財政赤字を約7,370億ドル減

  • 歳出UP:1を原資として「エネルギー安全保障と気候変動」の分野で、税控除や補助金等を通じて、3,690億ドルを支援

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/2faeb20d767ea136.html より引用

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/2faeb20d767ea136.html より引用

バイデン政権は目玉政策として「気候変動対策」=温室効果ガス排出削減を掲げています。パリ協定で決定した「2030年までに温室効果ガスを2005年比で50~52%削減」の実現に向け、IRAは制定され、「インフラ投資雇用法」と合わせて△40%の効果が上がると見込まれています。(残りの10%は州の規制で何とかする模様)

自動車業界にとって重要になるのは2の「エネルギー安全保障と気候変動」の分野への支援。温室効果ガス排出削減に効果の大きいBEV(電気自動車)普及に向け、積極的な支援を行い、2030年には50%をEV化する目標を設定。さらに直近では2032年新車販売モデルのCO2排出量を56%削減(26年比)し、32年では電気自動車(EV)販売比率を軽量乗用車で67%、中量乗用車で46%とすることを目指すことが発表されました。

当初アメリカはガソリンが安く、航続距離も必要とされるため、BEVの普及は世界各国と比べれても先行しないが大方の見方だったのですが、ここに来て状況は一変。EVシフトが進んでいる欧州や中国に引けを取らない目標、普及支援政策となっています。

そしてこの政策のもう一つの目的は「バイ・アメリカン」アメリカ、北米で生産された製品の優遇です。これは関係が悪化している中国からの脱却、サプライチェーンを中国抜きで構築することを求める+企業を誘致して北米生産を高める、産業政策となっています。

自動車はグローバルで生産が行われ、完成車の輸出./輸入はもちろん原材料の調達は世界各国に跨っています。自動車メーカーではコストや供給安定性を考慮して最適なサプライチェーンを構築していく…のですが、このIRAによって北米での生産/販売をどう行っていくかは大きく変革が迫られる見込みです。アメリカは自動車販売世界2位、年間1400万台を超える巨大市場(日本の3倍以上)。IRAにどのように対応するかによって20年代後半の自動車メーカーの業績が左右されることは間違いありません。自動車メーカーの命運を握るIRA。実際どのような中身なのか、その詳細を見ていきましょう!

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