【Vol.2】クルマのイマがわかる モビイマ!

自動車業界の最新ニュース解説、おすすめレポ、本を紹介するニュースレター、モビイマ!第2号。【ニュース】加速化する脱炭素/ 待望の新車発表トヨタ北米「カローラクロス」/日産「アリア」/今週のテスラ【おすすめ本】「自動車解剖マニュアル 」etc.
カッパッパ 2021.06.07
誰でも

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クルマのイマがわかる「モビイマ!」

Vol.2

( 2021年6月7日発行 )

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ご安全に!カッパッパです。

梅雨の雨が鬱陶しいそんな1週間でしたが、皆さんはいかがでしたか。

会社の冷房が入らず、風も通らない。さらにマスク。暑い。本当に蒸し暑い。仕事の効率が下がる。冷房が入るまでは在宅勤務にしたい。

さてはて、今週のモビイマ!も盛りだくさん。今回は「脱炭素」の話題がメイン。

ぜひ最後まで読んでいただければ。

【今週のクイズ】

1950年、トヨタ自動車が経営危機に陥った際、銀行団の緊急融資に参加せず「機屋に貸せても、鍛冶屋には貸せない」と融資を断った結果、その後長年に渡り、トヨタ自動車と取引のなかったメガバンクは次のうちどれ?

ここに配置されたボタンは、ニュースレター上でのみ押すことができます。

正解はレターの最後で!

【目次】

1. Weekly Mobility News

  • 加速化する脱炭素

  • 待望の新車発表。トヨタ北米「カローラクロス」/日産「アリア」

  • 今週のテスラ

2. Mobility Insight Report

  • JAMA カーボンニュートラル データ集

3.クルマ・マメチシキ

  • インセンティブ

4.カッパッパの今週の1冊

  • 自動車 解剖マニュアル

5.カッパッパの仕事ログ

6.余談:ヘノヘノカッパッパ

1. Weekly Mobility News

Weekly Mobility Newsでは、自動車業界1週間の注目ニュースや記事を紹介し、Twitterよりも深掘りした情報・視点を発信します。

自動車業界の最新トレンドはこれさえ読めば大丈夫!

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加速化する脱炭素

ついにキター!トヨタが今年より、仕入先に二酸化炭素(CO2)排出量を前年比3%減らす要請があったことが報道されました。これまでCO2の削減については、個別の企業努力に任せられており、ESGの観点から「意識の高い企業」が行ってきました。ただ、これからはやって当たり前、CO2を削減しなければ仕事が取れない社会に。部品メーカーでも、脱炭素の流れは進み、豊田合成やジェイテクトがCO2排出削減計画を策定し取り組みが進んでいます。

ただ、CO2削減はコストがかかります。建造物の省エネ推進、太陽光パネル導入、運搬をEV車に変える、エネルギー効率の悪い設備を見直すなど…投資が必要となります。CO2を削減したからと言って、部品の値段が上がることは難しく、自社の中でそのコストを吸収しなくてはいけません。また一次仕入先の大きなメーカーであれば対応可能かもしれませんが、二次仕入先以降の中小企業においてはコストアップに耐えれるのか。そもそもCO2を排出量を把握できているのかという問題があります。仕入れ先の対応については下記の記事に詳しく書かれています。

ただ要請があった以上は、やっていくしかありません。価格の年次改定と同じように、CO2も年ごとに削減が求められる。今後はコストよりも「CO2排出が少ないから」で生産拠点が決まるなんてこともあるかも…

2023年、次回の東京モーターショーは「グリーン&デジタル」がテーマと自動車業界は「脱炭素」が喫緊の課題、トレンド。自動車業界が1番カーボンニュートラルに取り組んでいるんじゃないかと思っています(EV移行が遅いんじゃいと批判受けがちですが)

***

待望の新車発表。トヨタ北米「カローラクロス」/日産「アリア」

トヨタが北米でSUV「カローラクロス」を発売すると発表。マツダと共同で米南部アラバマ州に建設中の新工場で年内に生産を開始。すでにタイでは発売済みのカローラクロス。Rav4よりも一回り小さいSUV車種の投入で北米でのシェアをより伸ばす戦略。顔つきも北米に受けそうなアウトドアよりなので売れそう…

加えて新型EV「bZ4X コンセプト」も米国発表。2022年に販売開始予定とのことで、これまた一つ楽しみな車種。

そして、待望の日産EV「アリア」が予約を開始。半導体供給問題で販売は21年末にずれ込みだが、去年発表、みんなが待ってたEVだけに期待は大きい。先進装備がてんこ盛りで、ハンズオフ走行を可能とする「プロパイロット2.0」に、車外からのリモコン操作で駐車枠での出し入れを可能とする「プロパイロット リモートパーキング」が追加。ただ限定版の販売が先でお値段は660万円からと少しお高い。通常モデルは補助金込みで500万程度の見込み。デザイン純粋にかっこよいですよね。

トヨタも日産もEVをSUVから進めています。SUVは世界で人気があり、高価格でも需要があること、車高が高く設計においてEV向きであることもありますが、カッパッパが注目したいのは「脱炭素」。SUVは重量が重いため、燃費が低く、欧州や中国で販売が増えると、CAFE規制などの環境規制に引っ掛かり、罰金が発生する可能性があります。そのため、ガソリン車→EVへSUVが移行していけば、平均でのCO2排出が減るため効果が大きいのです。

なんにせよ、どちらの車種もカッコいい(スバルのソルテラも)ので、一度乗ってみたいなぁ…

***

今週のテスラ

時価総額世界最高の自動車メーカー、テスラ。

なんだかんだでみんな大好き(テスラニュースは伸びが良い)、ニュースには事欠かない。ここでは1週間のテスラニュースを振り返ります。

テスラ、5月の純受注台数は約9800台。4月は18000台超と半減?数カ月間でテスラ車の安全性を巡る懸念が高まり、消費者からの苦情が相次いでいるが、果たしてその影響なのか?中国政府とテスラ、仲良かったんですが、カメラの機密問題もあったりと曲がり角に来ているのかも。

イーロンマスク氏、ツイ廃問題。先週も書いたが、ビットコインで問題起こしているし、そもそも裁判で規制するように言われているんですよね。

ただトランプ元大統領やイーロンマスク氏がTwitterできるのがアメリカのすごいとこ。

テスラ「原材料上がったから価格も上げるやで」

直販だからできる技。日本メーカーでは無理。消費者にとって良いのだが、悪いのだが。中の仕様も気が付いたらダウングレードされており、本当に自由。

***

その他の気になるニュース、ツイート

カッパッパ@モビイマ!🚗
@kappapa03
コロナワクチン接種、トヨタの工場で全面的支援を受けて実施。
トヨタの生調がガチで作業ごとのタクト決めて、接種の工程決めてるw
たぶん終わる頃にはカイゼンが進んで、接種時間が2/3にくらいになっていると思う。

NHKニュース @nhk_news
愛知 豊田市 集団接種会場の運営に「トヨタ生産方式」活用 #nhk_news https://t.co/MVItVXJVFh
2021/05/30 16:04
81Retweet 145Likes
***

2. Mobility Insight Report

Mobility Insights Reportでは、Web上で無料で読むことのできる自動車関連のおすすめレポートを紹介します。ニュースより一歩踏み込んだ情報に触れることで、周りと一歩差がつく。

これであなたも自動車通!

***

Weekly Mobility Newsでも挙げた、2021年のトレンドワード「脱炭素」「カーボンニュートラル」

運輸部門でCO2排出が多い自動車業界でも非常に影響の大きい問題ですが、実際はCO2排出ってどうなっているの?と自工会がデータをまとめたページ

ご存知の通り、日本完成車メーカーは他国と比べ、EVの販売が出遅れており、「カーボンニュートラルに即していない」「世界の潮流から遅れている」と批判されがち。ただ、自工会は「そんなことはない、日本自動車業界は積極的にカーボンニュートラルに取り組んでいます」と広報を行っています。

実は日本では、電力構成上、火力発電が多い(75%)ため、CO2排出が他国に比べ高くなっています。再エネを活用できる自然資産も乏しく、原発も稼働は一筋縄ではいかない。自動車業界だけではカーボンニュートラルは乗り切れない!だからこそ、国としての方針を決めてほしい!という自工会の主張が大変わかるサイト。自工会発信なので、いささか強調はされているものの、データはどれも根拠があり、現状認識として間違っていません。現段階では、拙速なEV化が効果が薄いこともよくわかりますね(かといって世界はEV化加速しているので、EVを出さなくて良いわけではありません)

そしてもう1点、強調されるのは、日本が官民協同できていない点。欧州と日本の政策を比較すると、政府の援助が足りていないことが明確に。足並みそろえないと世界各社に差をつけられる可能性があります。

カーボンニュートラルは、今後の自動車業界の運命を決める非常に重要な課題です。ぜひこのサイトをみて、基本動向を押さえておきましょう。

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3.クルマ・マメチシキ

このコーナーでは知っておきたい自動車業界用語や明日人にしゃべりたくなるクルマに関わる豆知識を紹介します。

雑談のネタにぜひご活用を!

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【インセンティブ】

販売される際に値引きの原本となる自動車メーカーがディーラーに支払う販売奨励金のこと。(車を新車で買った人は心当たりありますよね)たくさん支給すれば、値段が安くなるため販売台数が伸びる。一方で1台あたりの利益は下がり、再販売価格(リセールバリュー)も低下する。

高い利益を上げるためにはいかに販売奨励金を出さずに販売するかが重要であり、そのためのブランド力が必要になる。(例 トヨタ高級ブランド、レクサスでは一切車両本体価格の値引きはされない)

直近では日産自動車が販売台数を追い求め、インセンティブを多く使い、増販したものの、薄利多売→採算性悪化。戦略を見直し、目下改善に向けて取り組み中。

いわば諸刃の剣。2021年6月現在は半導体供給問題で生産台数が限られる中、需要が伸びており、インセンティブは減る傾向にある。そのため、1台当たりの利益に関しては増える可能が高い。

各社の決算においてよく言及される用語であり、現状の販売戦略がどのようになっているのかを見る上で重要な単語。ぜひ覚えておきましょう。

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4.カッパッパの今週の1冊

自動車関連や仕事術、自己啓発本などをカッパッパの独断と偏見で紹介します。

面白そうだなと思ったら、ぜひ読んでください。

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クルマは2万個以上の部品からなります。素材も金属やプラスチック,ゴムなどさまざま。そして,そのどれをとっても,様々な分野のテクノロジーの粋を集めてできています。本書は,そのような部品の仕組みを専門外の人にも分かるように,図解でわかりやすく,詳しく解説します。ボディ・エンジン・駆動系などのメインの部分から,制御系,内装に至るまで,ありとあらゆる機構やパーツをみていきます。本書を通して,メカニックに強くなるだけでなく,クルマ作りの技術に造詣が深まります。

自動車業界に入ったものの、元々クルマに興味がなくてさっぱりわからない、FF、FR何それ?そんなあなたにお勧めの1冊がこちら。

自動車の基本的な構造、パーツを図解でわかりやすく解説。見ているだけでも楽しい図鑑ですが、書いてある内容は充実しています。もちろん「基本」なので、あくまでもさわりだけなのですが、基本用語/機能を知っているだけでも仕事への影響は大。また車両の製造工程にそれぞれに解説があり、非常に参考になる。正直、自分の担当部品はわかるけど、他はあまりわからない、カッパッパにもピッタリの1冊でした。(「アトキンソンサイクルエンジンってそういうことだったのか」とど素人丸出しで読んでいました」)

これから移行していく電気自動車や燃料電池車の構造/仕組みも解説があり、この1冊を読めば、自動車の基礎知識は習得できる。「自動車を1から学びたい」方におすすめ。お値段が2700円と少し高いのですが、紙の本で手元においておきたい1冊です。

5.カッパッパの仕事ログ

カッパッパの書いた記事の紹介+裏話。こんなことを思いながら記事書いています。

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部品メーカーの悲哀があふれる「生産計画」回。いや、内示の触れってきついですよね。あと21年に入ってから、半導体やら樹脂やらで生産調整が難しく、しかも完成車メーカーも止まったりする。

あと生産調整、部品メーカーへの公式情報よりもヤフーニュースの方が早いことよくあります。なるはやで教えてほしい。

6.余談:ヘノヘノカッパッパ

100%私的なtwitterやnoteでかけないよもやま話。皆さんの役には立たない「チラシの裏」。ご興味がある方のみ、お読みいただければ

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先週は初回だから分量多めで次回以降は少なく…

って「嘘だ!」なにも変わっていないじゃないか、と今回も大ボリュームでお届けしました。あまりにも大きいとGmailでワンタップで見れなくなってしまう問題があって、どうしたものか考え中。102Kがラインらしいのですが、1.5倍。Letters さんの見せ方が好きなので本当にどうしよう。

さて、ニュースレターの宣伝をなりふり構わずやったおかげで、購読者の数が1週間で300人を超えました。個人がやっているニュースレターとしてはかなり良いのではないでしょうか。

このニュースレター、実は説明を受け、登録したのが5/28。元々書きたいネタを貯めていたのですが、初回のリリースが5/31、そして今回が6/7発行とかなり短期間で書ききっています。書くのが苦にならない(特に余談)、購読者数がうなぎ上りなのでモチベーションが上がる。

物事を始めるとき、最初の熱狂冷めないままにやり切るってすごく大事。深く考えすぎると足が動かなくなるのでその前になりふり構わずやる。で、できればその期間で仕組化、習慣化できるのがベストだと思います。

次回はどうなるのだろう…乞うご期待!

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【クイズの答え】

1950年、トヨタ自動車が経営危機に陥った際、銀行団の緊急融資に参加せず「機屋に貸せても、鍛冶屋には貸せない」と融資を断った結果、その後長年に渡り、トヨタ自動車と取引のなかったメガバンクは次のうちどれ?

正解は「三井住友銀行」。この事件のせいで東海地方では弱くなってしまったんですよね。今は取引があるのですが、それもSMBCになった2001年の際から。事件から約半世紀は取引なし。2001年の時もかなり根回しがあったんだとか…

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最後までお読みいただきありがとうございます!!

クルマのイマがわかる「モビイマ!」

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さあ、今週も1週間やっていきましょう‼

・トヨタやテスラなど自動車メーカー最新情報
・CASEなどの業界トレンドを詳細に解説
・各自動車メーカーの戦略や決算分析

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