【大予想】EVベンチャーがカンガン潰れていく4つの理由【バブル崩壊?】

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今回は「この2、3年でEVベンチャーががんがん潰れていくのでは」という「カッパッパの大予想」をお送りします。SDGsが叫ばれ、EVシフトが進む中で、なぜ潰れる事態に至るのか。その4つの理由を解説します。
カッパッパ 2022.03.13
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ご安全に!

今回は「カッパッパの大予想」EVベンチャーがこの2,3年でカンガン潰れていくんじゃないか。その4つの理由について解説します。

自動車業界ではEVシフトが急加速。各国が規制を強める中、完成車メーカーも相次いでEVを発表、市場投入し、シェアを広げています。既存メーカー以外でも、新興ベンチャーや他産業の大手がEVに参入。自動車業界はこれまで、内燃機関、エンジンの開発に高額な投資が必要となるため、参入障壁が高く、新興企業の参入は多くありませんでした。しかし、EV、電動化により状況は一変。中国、アメリカを中心にベンチャー企業が立ち上がり、新車を発表。株式公開をして資金調達、時価総額が既存メーカーを超える企業も現れています。まさにEVバブル。

しかし、本当にEVの新規参入は上手くいくのか。今年から来年にかけて量産を開始するEVベンチャー。実は立ちはだかる大きな壁=理由により、これから潰れていく可能性が高いと考えています。

果たしてその壁とは。

カッパッパの大予測、当たるか、当たらないか。答え合わせは数年後。皆さんの未来予想の参考になればと思います。

1.カッパッパの大予想

今回は新興EVメーカーが多く立ち上がり、注目されている中国とアメリカに焦点を当て解説します。

中国編:多産多死、潰れる前提のベンチャー企業の蟲毒

2021年に発表されたNIOの新車種「ET7」=出典:NIOウェブサイト
2021年に発表されたNIOの新車種「ET7」=出典:NIOウェブサイト

まず、中国。中国は自動車販売台数世界1位の最も大きな市場。しかしながら、これまで内燃機関車では自国内の産業を大きく発展させることが出来ませんでした。中国国内販売されるクルマも海外メーカーの製造(実際には規制があり中国企業との合弁)が割合が高く、民族系と言われる中国国内メーカーは決して数量は多くない。輸出も限られた数量にとどまっていました。

自動車産業は裾野の広い非常に経済波及効果の高い産業。電動化に伴い、内燃機関⇒モーター、EVへとシフトする中で、いち早くEVの開発に取り組み、支援を行い、技術を高め、中国のみならず世界をリードする。中国は国を挙げて、EV産業を重点強化、積極的な支援、国内での普及に向けたインフラ整備、補助金の交付を行っています。

これらの政策を受けて、中国では非常に多くのEVベンチャーが立ち上がりました。その数は数百以上とも言われ、多くの地場メーカーが起業。しかし、立ち上がった多くのメーカーは採算が合わずに倒産、撤退。多産多死、競争を促し、開発を促進、技術力を高め、生き残った企業が産業を引っ張っていく。いわば「蟲毒」中国は新興EVベンチャーが潰れていくのは「当たり前」なのです。

直近で潰れた大きい例は2021年11月に破産を申し立てた拜騰汽車(バイトン)。2016年に創業したバイトンは、最初のモデルである「M-Byte」のプロトタイプを2018年に発表。翌2019年から量産する予定でしたが、2019年の補助金減のあおり、2020年のコロナ禍を受け、計画は頓挫。実際は1台も生産することがなく、破産に追い込まれました。

中国政府もEVメーカーは多すぎる、淘汰されるべきとの方針を示し、業界内の再編を促しています。加えて、現在はテスラの上海工場が本格稼働し、中国国内での販売を大幅に増やしています。中国EVメーカーはテスラと比較され、選ばれなければならない、差別化を求められ、環境はより厳しくなっています。

いささか古い情報ですが、2020年1月に「美団(Meituan)」(EC/口コミサイトを提携させた中国最大の生活総合プラットフォーマー)の創業者王興氏が、ソーシャルメディアで発表し、話題となった

中国国内の自動車業界で最終的に生き残れるのは「3+3+3+3」

中央企業の「一汽(中国第一汽車集団、FAW Group)」、「東風汽車(Dongfeng Motor)」、「長安汽車(Changan Automobile)」の3社、地方国営企業の「上海汽車(SAIC Motor)」、「広州汽車集団(GAC Motor)」、「北京汽車集団(BAIC Group)」の3社、民間企業の「吉利汽車(Geely Automobile)」、「長城汽車(Great Wall Motor)」、「比亜迪(BYD)」の3社、スタートアップの「理想汽車(LEADING IDEAL)」、「蔚来汽車(NIO)」、「小鵬汽車(Xpeng Motors)」の3社だ。

中央企業、地方国営企業は海外との合弁会社を含んでおり、実際にEV新規メーカーとして数えられるのは民間企業、スタートアップの6社。実際に生き残れるのはこれくらいの数になるのではとカッパも考えています。

中国、潰れてなんぼな国の政策、日本では余り考えられないのですが、産業として成長を促すためには非常に有効。EVの輸出も大幅に伸びており、今のところ大きく効果を上げていると言えるでしょう。

① : 量産の壁

では次に中国以外、主にアメリカのEVベンチャーがなぜ厳しくなっていくのか解説します。

テスラが立ち上げに苦労したフリーモント工場
テスラが立ち上げに苦労したフリーモント工場

まずEVベンチャーにとって一番の乗り越えるのが困難な壁は量産の壁です。クルマを安定した品質で安価に大量生産する。簡単に聞こえますが、実は多くのノウハウが必要になり、一朝一夕では上手くいきません。試作車であれば、1台ずつ丁寧に作り上げれば、問題なく動くクルマを生産することはできます。しかし、それでは儲かりません。

実際に製造ラインを立ち上げ、品質に問題なく、原価を低減した生産を行うことが出来なければ、事業として成り立たないのです。既存の自動車メーカーではこれまでの知見からいかに量産を上手く立ち上げるかの知見を持っています。(それでもめっちゃ大変)しかし、EVベンチャーは基本的には立ち上げノウハウがありません。そのため、量産開始時に生産数が上がらずに、非常に苦しむことになります。

今は飛ぶ鳥を落とす勢いのテスラもモデル3生産開始時に「量産の壁」でピンチに追い込まれました。計画では週に5000台生産予定が、四半期で生産できたのがわずか260台。生産プロセスが上手くいかず、製造は全く出来高が上がらなかったのです。この際には、フリーモント工場に大型テントによる新規ラインを増設し生産能力を向上。イーロンマスク氏も工場に泊まり込みで改善を進めたとされています。

2022年3月、現在この「量産の壁」にぶち当たっているのが「Rivian」。2021年10月にラインオフ⁼量産開始したものの、生産は思うようにはいかず、2021年計画1200台に対し、1015台と目標未達、すでにR1T(ピックアップトラック)に入っている7万1000台以上の「事前注文」の納期が当初よりも遅れる見込みです。

EVベンチャーにとって立ちはだかる量産の壁。今年から来年にかけて相次いで生産が立ち上がりますが、壁を超えていくことが出来るのかに注目です。

② : 人材の壁

テスラと言えばイーロンマスク氏
テスラと言えばイーロンマスク氏

2つの目の壁は「人材」。企業を動かすのは人。特に事業規模の比較的小さい(既存メーカーと比べた場合)ベンチャーでは個人の持つ役割は相対的に大きく、いかに優秀な人材を確保できるかが重要です。

テスラ躍進の要因がイーロンマスク氏のカリスマ性にあるように、EVベンチャーでも人材確保は成功のカギ。しかしながら、「ベンチャー」企業は雇用の流動性が高く、どうしても不確定要素が大きくなります。

例えば、RivianのCOO(最高経営責任者)が量産開始直後の12月に退任。公式コメントでは「数カ月前から段階的な引退を開始していた」とあるものの、役員クラスの退任は株価にも大きな影響を与えました。そのほか不祥事などの要因もありますが、Nicolaでは創業者が辞任、CanooではCEOがアップルに引き抜かれる、車両開発などの主要な技術者が相次いで退職するなど人材流出が止まりません

数々の困難がある中で、スタートアップ企業がいかに優れた人材を確保し続けられるか。この壁もかなり高い障害だと言えるでしょう。

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