【徹底解説:自動車メーカー決算 三菱自】増収増益!上方修正!でも中身は…
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夏は冷房の効いた部屋でアイスを食べるのが楽しみ、カッパッパです。
お盆の長期連休を前に、今週から完成車メーカー決算発表週間。各社の業績がいかなる状況にあるのか。そして2022年通期見通しに変更はあるのか。どこよりも詳しく解説します。
まずTOPバッターは三菱自動車。前年の落ち込みが激しかったため、前年比プラスは間違いないのですが、果たしてその幅がどの程度なのか。軽EVの受注が好調だが、その効果はいかに。
1.前年同期比大幅増もその中身は…
三菱自動車工業は27日、2023年3月期(今期)の連結業績予想を上方修正した。営業利益は前期比26%増の1100億円となる見通し( 中略)
同時に発表した22年4─6月期の連結決算は、売上高が前年同期比22.4%増の5286億円、営業利益は約2.9倍の307億円、最終利益は約6.3倍の385億円だった。
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2022年4-6月は増収増益。売り上げは前年同期比22%増の5287億円、営業利益は+191%の308億円と極めて好調な内容。販売台数が23万台⇒21.7万台と1.3万台減る中、売り上げ、営業利益が増加しているのは1台当たりの単価、利益が大きく上がっていることを意味しています。
一見、好決算に見えるのですが、具体的にその中身を見ていくと手放しで喜べる内容ではありません。
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営業利益がどのように改善されたのかを見ると一番大きいのは「為替」。+175億円と営業利益増加分とほぼイコール。増益の要因は外部要因によるものであり、体質や販売台数の伸びといった「会社の実力」で利益が増えたわけではありません。売価/販売費の改善はあるものの、資材費/輸送費の高騰とほぼイコール。資材/輸送費だけで151億円のコスト増。販売が23万台なので、4-6月比較で1台当たり約65,000円コストが膨らんでいます。資材費/輸送費高騰、この後に発表されていく他自動車メーカーの決算でも大きな重荷となりそうです。
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販売台数の地域別推移をみると、落ち込んでいるのは欧州。ロシアウクライナ侵攻の影響により全体の需要が下がっている、また三菱自動車はルノー/日産とのアライアンスの中で欧州メインではないため、販売を減らしていることも考えられます。(決算資料でも各地域ごとの分析で対象外/通期見通しでも大きく減)担当の東南アジアでは台数を伸ばしており、戦略に沿った販売を展開しています。
2.2022年度見通し上方修正!(ただし為替益)
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好調の4-6月を踏まえ、2022年度の通期見通しは上方修正。売上は600億円のプラスの2兆3500億円、営業利益は+200億円、1100億円に修正。この数字であれば営業利益率は4.7%、20年度まで赤字を出していたことを考えると、経営状況は大きく改善。
ポイントは販売台数見通しが維持されていること。4-6月期は前年同期比減にも関わらず、前期と同様、通期での下方修正なし=これから前期比プラス挽回生産があることを意味します。
池谷光司副社長はこの日のオンラインによる決算会見で、半導体不足と中国・上海でのロックダウン(都市封鎖)による影響について、5月の決算会見で公表した今期の想定影響台数(10─11万台)に対して「3万台くらい改善するのでは」と説明。一方、自動車を運ぶ船舶の混乱・遅れで「マイナスが2万5000台くらい出そうだ」とも話し、今期は「5000台程度」改善するとの見通しを示した。
会見に同席した長岡宏副社長は「上海のロックダウンはほぼ解消しており、半導体不足も足元で改善傾向にある」と指摘。7月以降の生産は「リカバリー(挽回)できる」との見立てだ。
直近もまだまだ半導体供給問題により自動車メーカーの減産が相次いでいますが、今後供給は改善の方向へ向かう可能性が高そうです(この1年くらいずっと書いている気がしますが)
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営業利益、期初計画比+200億円の中身はやはり為替。車両の販売価格=販売奨励金減、高利益=高価格帯へのシフトで利益増が見込まれるものの、原材料/物流費高騰で吸収されてしまう形に。為替は足元135円程度まで円安がすすみ、想定レートを1$=122円⇒125円へ変更。上方修正とは言っても、上記で述べたように「為替=外部要因」での増益であり、再び円高に振れてしまうと大きく業績を落とす可能性があります。
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前年と比較するとやはり資材費/輸送費の高騰が業績に大きな影響を与えています。1台当たりで計算すると21年比約87,000円の増加。モデルチェンジなしでの値上げが各社から発表されていますが、これほど額が大きいと流石に価格に転嫁しないと利益を保つことは難しい。直近の生産が滞り、需要過多の状況を踏まえると車両価格は今後値上げ、高止まりしていくことが予想されます。(毎回言うてるんですが、消費者としては新車買っておくなら今のうちがお買い得)
3.軽EVめっちゃ売れてます。
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今回の三菱自動車の決算発表でもこれまで同様、ASEAN重視の姿勢が明確。地域ごとの販売状況説明でもASEANに対する言及が他地域よりも詳細であり、どれだけ力を入れているかがよくわかります。
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ASEANでは「エクスパンダー」(SUV)、「トライトン」(ピックアップトラック)、利益率の高い車種を中心に販売。ルノー/日産とのアライアンスの中で東南アジアを担当する三菱自動車。今後の業績もASEANがカギを握っています。
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またこれまでの三菱自動車の決算で推されていたのはフラグシップモデル、新型「アウトランダー」でしたが、今回推されていたのは軽EV、「eKクロス EV」。販売2ヵ月ですでに5400台受注。月間目標販売台数850台を大きく超え、大HIT。
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三菱UFJ銀行と協業して企業への拡販戦略も発表されています。SDGsが注目される中で、企業でもEV導入によるイメージ向上は大きなプラス。軽EV eKクロス EVの台数の伸びは、日本でのEV普及の大きなあしがかりとなりそうです。(部品供給問題がありますが、少しでも早くたくさん作れるといいな…)
TOPバッター、三菱自動車。好調な決算ながら、中身を見ると、為替益によるプラスのみで手放しでは喜べない内容。通期見通し、販売=生産台数を落とさずに維持できるかが今後のカギ。
明日以降も各メーカー決算、順次解説していきます。乞うご期待!
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