知れば差がつく!クルマおすすめ本/レポ紹介「原価/会計」モビイマ!【Vol.6】

自動車業界の最新ニュース解説、おすすめレポ、本を紹介するニュースレター、モビイマ!第6号。【おすすめレポ】「EY新日本有限責任監査法人」の業種別会計「自動車産業」/【おすすめ本】「トヨタの原価」/etc.
カッパッパ
2021.06.24
誰でも

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( 2021年6月24日発行 )

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ご安全に

気がつけば夏至も過ぎて、2021年も半年が過ぎようとしています。早い。

オリンピック実際にあるんかいなと、自動車業界的にはお披露目されるはずだった自動運転やら使用されるはずだったクルマやらどうなっているのでしょう。技術力アピールの良い機会なので、実際に使われてほしい。

そんなこんなで今週木曜のモビイマ!スタートです。

テーマは実務で役立つ「原価/会計」

苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが、理解すれば大変強味。ぜひ業務に役立ててください。

【目次】

1. Mobility Insight Report

  • 「EY新日本有限責任監査法人」の業種別会計「自動車産業」

2.クルマ・マメチシキ

  • 完成車メーカーの金融事業

3.カッパッパの今週の1冊

  • トヨタの原価
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1. Mobility Insight Report

Mobility Insights Reportでは、Web上で無料で読むことのできる自動車関連のおすすめレポートを紹介します。ニュースより一歩踏み込んだ情報に触れることで、周りと一歩差がつく。

これであなたも自動車通!

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www.shinnihon.or.jp

今回のレポートは「EY新日本有限責任監査法人」の業種別会計「自動車産業」です。こちらのレポート、これから自動車業界に現段階で携わっている人、これから入る人に非常に役立つ内容となっています。本当におすすめ。

全体の構成は下記の通り。

第1回:自動車産業の概況 

第2回:サプライヤーの事業・会計処理の特徴 

第3回:完成車メーカーの事業・会計処理の特徴 

第4回:ディーラーの事業・会計処理の特徴 

自動車業界全体の説明があった後で、サプライヤー、完成車メーカー、ディーラーそれぞれの事業と会計内容を解説。この解説が的確なポイントを抑え、しかも会計処理の中身も知れるという非常にGOODな内容。

例えば「第1回:自動車産業の概況」では

EY新日本有限責任監査法人 第1回:自動車産業の概況より
EY新日本有限責任監査法人 第1回:自動車産業の概況より

「生産から販売までの流れ」「構造図」が図式化。これだけでも非常に参考になるのに加え、解説も最新トレンドを踏まえており、例えば「サプライヤーの解説」の以下のように詳細に記述。

サプライヤーは、一般に、その売上のほとんどを特定の完成車メーカーとの取引に依存し、当該メーカーの系列を形成している場合と、特定の完成車メーカーに依存することなく、各メーカーに自社のシステムやコンポーネントを提案しグローバルに部品を供給する場合が見られます。市場環境の変化を受けて、昨今では、国内外でサプライヤー間の再編が進んでおり、独自技術や規模の経済から競争力を高めたメガサプライヤーが登場し、市場に対する影響力を持つ事例も増加しています。さらに、近年では車載リチウムイオンバッテリーや車載カメラ、画像処理半導体、AI技術を開発・供給するサプライヤーがサプライチェーンの中で重要な存在になってきています。

構成も「2.自動車産業の特徴」では「総合産業」「CASE」「法規制対応」「グローバル展開」「メーカー間の提携」と必要な項目はばっちり。これが「3.自動車産業の事業概況」「4.わが国におけるディーラーの状況」と後項目及び、かつ第2~4回の各事業ごとでも同様に続きます。自動車業界全体を概ね理解するための内容は盛り込まれていて、業界研究はこれだけ抑えておけばOKのレベル。就活で業界研究するならまずこのページをおすすめ。

しかも概略だけでなく、監査法人、公認会計士の記事なので、業界の会計基準がどのようになっているかを書いてあるのがまた素晴らしい。これは自動車業界の中で働いている人でも知らないことが多い(カッパッパは知らなかったことが多数)。

例えば「第2回:サプライヤーの事業・会計処理の特徴」の 「有償支給と無償支給」

サプライヤーが製造のための原材料や部品を調達する際、自らそれを調達する場合のほか、完成車メーカーから支給を受ける実務が広く行われています。また、サプライヤー自身も2次加工のサプライヤーに原材料や部品を支給して加工を外注する実務も多くみられます。これらの外注先に対する原材料や部品の支給は、一般に、有償支給と無償支給に区分されます。有償支給は、原材料や部品を支給し、その加工を外注先に依頼する際に、原材料や部品の買取を外注先に求め、加工後戻ってきた際に再度購入します。一方、無償支給は、支給品の買取を求めず、加工後戻ってきた際に加工賃のみ支払います。

基本的には知ってたけど、改めて文章で見ると勉強になる…

こうした項目が「カスタマイズ部品」「補修用部品」「金型」とあり、特に「金型」は何かと揉めやすいですし、会計上の処理もちょっと特殊なので、読んでいて「そうだったのかー」と仕事の理解に役立ちました。完成車メーカー、ディーラーの会計基準も面白い。

自動車業界の全体図を知りたい、また会計処理がどのようになっているのかを知りたい人にとてもおすすめのレポート。2021年3月の更新なので情報も最新。すこしボリュームが大きいので時間があるときに読むことをおすすめ。自動車業界に関わる方に本当に役立つ内容になっています(2021年に見つけたおすすめできるレポート暫定1位です)

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2.クルマ・マメチシキ

このコーナーでは知っておきたい自動車業界用語や明日人にしゃべりたくなるクルマに関わる豆知識を紹介します。

雑談のネタにぜひご活用を!

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【完成車メーカーの金融事業】

実は完成車メーカーの稼ぎ頭。車は高額であるため、ユーザーによる購入資金を融通することで、自動車の販売機会の拡大を狙い、グループ内に金融子会社を設立して、これらの金融子会社を介して、リースやクレジットなどの販売金融サービスを提供しています。新車で車を購入された方は残価型ローンやディーラーで優遇金利でのマイカーローンの提案を受けたことも多いはず。

完成車メーカーの事業は大きく、「自動車事業」と「金融事業」に分かれるのですが、「金融事業」はサービスを販売するため、利益率が高い。例えばトヨタの2020年4〜12月期の決算では営業利益は1兆5079億円で、このうち金融セグメントの営業利益が3553億円と全体の24%。自動車販売だけでなく、金利で稼ぐビジネスも経営を考える上では欠かすことのできない要素。

なお、自動車関連企業で働いていると社内でクルマ購入の借り入れができる場合がある。ただし、ディーラーの優遇金利に比べ、金利はそれほど良くない。借りている人いるのかな…

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3.カッパッパの今週の1冊

自動車関連や仕事術、自己啓発本などをカッパッパの独断と偏見で紹介します。

面白そうだなと思ったら、ぜひ読んでください。

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amzn.to
トヨタの利益の源泉である「原価企画」の全貌を初公開!トヨタでは、全社員が原価を意識した仕事をするため、仕事の質が向上しムダがなくなり、付加価値が生まれつづける仕組みがあります。そして、この仕組みがあるからこそ、トヨタでは「利益は製品計画の段階ですべて決まる」と言われています。本書では、この考え方の根本にある「トヨタの原価に対する考え方」を知ってもらい、そのうえでトヨタの「原価企画の手法」「原価低減のプロセス」、そして「商品別の原価」を追求することで世界No.1の「利益」を生みだしてきた、トヨタの原価低減に対する取り組みについて詳細にお伝えしています。

トヨタの強みである「原価低減」。果たしてその原価はどのように作りこまれてるのかについて詳細に書かれた良書。自動車は部品の積み上げで販売価格が決まるわけではなく、クルマのグレードや、性能、品質により概ねの「市場価格」が予め決まっています。その中で確実に利益を出すためには、いかに原価を抑えるか、そしてその原価企画が重要であり、トヨタの強みは徹底した原価管理にあります。(なお会計上の原価と原価管理上の原価は意味合いが違うので注意が必要。)

この本の良いところは開発から出荷まで全体を通して原価を解説している点。「原価低減」というと工場での地道な積み上げを思い浮かべがちですが、実際には設計開発段階で原価は概ね決まっており、いかに上工程で原価を意識して製品を作りあげるか、トヨタがそこでどのような取り組み(チーフエンジニア制や自工程完結)が行われているかが具体的に書かれていて、仕組みとしての原価企画/管理が理解しやすく書かれている。もちろん現場での改善「乾いたぞうきんを更にしぼる」地道な取り組みについても触れられており、大部屋活動など現場の作りこみ、こだわりまでわかるところもGOOD。

原価管理、単純に言えば「上工程から原価を徹底的に意識して設計開発を行う」「現場での製造コストを正確に一つ一つ掴み、改善代を見つけてつぶしていきましょう」なんですが、やり切ることの難しさ。当然なのかもしれませんが、会社の風土、意識がそろわないと実現できないんですよね。消耗品一つ一つまで徹底して把握。やはり「原価」への徹底的なこだわり、風土がトヨタの強みなんだと実感させる1冊。

なお途中で仕入れ先に「原価明細書」を出してもらい、そこから原価を推定というくだりがあるのですが、部品メーカーとしてはなかなかここが辛いとこだよねと…いやまぁ他社でも同様なんですが。トヨタは現場の原価把握、徹底しているので、仕入れ先がどれくらいの技術力で、概ねどれくらいの原価なのかわかる→過剰な利益を乗せて売ることは非常に難しい…(決して利益が出ないわけではないんですが)良い自動車を安価で作るのには外注品をいかにローコストで購入するか、その調達力もこの自社での原価の作りこみがあり、その知見があってこそ。

日本メーカーの強みである原価の作りこみが実際にどのように行われているか、体系的にまとまっていて、自動車業界の方はぜひとも読んでおきたい本。「原価低減」実際に説明するとなると、なかなか難しいので、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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【週の半ばの独り言】

先週書きましたが、赤城乳業の「かじるバターアイス」が販売休止ので、仕方なく同じ赤城乳業の「フレンチトースト風アイスバー」を食べています。これはこれで美味しい。暑いとついついコンビニでアイス買ってしまってよくないなぁ。。。

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前回の最後で書きましたが、現在特別企画「イチからわかる『テスラの魅力』」の対談記事を執筆中。こちら内容、自分でいうのもなんですが、めっちゃ面白いかつ勉強になるので楽しみにお待ちください。

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最後までお読みいただきありがとうございます!!

クルマのイマがわかる「モビイマ!」

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