【徹底解説:自動車メーカー決算 三菱自】業績絶好調の裏にある中国事業への不安

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今週からは「各自動車メーカーの22年3月期決算」を解説します。TOPバッターは三菱自動車。フラグシップモデル「アウトランダー」と東南アジア向けが絶好調な三菱自動車の業績はいかに。
カッパッパ 2023.05.11
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GWが終わって次のお盆連休の予定を考え始めた、カッパッパです。今年の夏はどこに行こう。

今週から完成車メーカー決算発表週間。回復しつつある半導体不足、重くのしかかる原材料高、加速するEVシフト。各社の業績がいかなる状況にあるのか。そして2023年度の業績予測は?どこよりも詳しく解説します。

まずTOPバッターは三菱自動車。アウトランダー、東南アジア向けの受注が好調だが、その効果はいかに。そして、事前に発表のあった中国事業の損失、これからの戦略はどのようなものなのか、詳細に解説します。

1.営業利益過去最高!その要因は

 2022年度通期の売上高は前年同期(2兆389億円)から4192億円増となる2兆4581億円、営業利益は前年同期(873億円)から1032億円増の1905億円、営業利益率は7.7%、当期純利益は前年同期(740億円)から947億円増の1687億円。また、グローバル販売台数は前年同期(93万7000台)から10万3000台減の83万4000台となった。なお、1905億円となった営業利益については、2015年度以来の更新となる過去最高益としている。

2023年3月期は大幅な増収増益。売り上げは前年同期比21%増の2兆4581億円、営業利益は+118%の1905億円。営業利益は2015年以来の過去最高を記録しました。販売台数が93.7万台⇒83.4万台と10.3万台減る中、売上、営業利益が増加しており、1台当たりの単価、利益が向上していることが分かります。営業利益率7.7%はトヨタの営業利益率を超えており、日本自動車メーカーの中で最も高くなる可能性もあります。いやはや、本当に好業績。

営業利益がどのように改善されたのかを見ると一番大きいのは「為替」。+999億円と営業利益増加分の9割超を占めています。台数/売価/販売費の改善が合計で829億円あるものの、原材料価格/輸送費の高騰で相殺される形に。自動車業界全体を苦しめる原材料高は三菱自動車も同様で、資材/輸送費だけで973億円のコスト増。販売が83.4万台なので、1台当たり約116,000円コストが膨らんでいます。原材料費/輸送費高騰は、この後に発表されていく他自動車メーカーの決算でも大きな重荷となりそうです。

販売台数の地域別推移をみると、落ち込んでいるのは欧州と中国。欧州はロシアウクライナ侵攻の影響によりロシアでの供給STOP、モデルラインナップ減により▲49%、中国では地場メーカー(特にEV)の伸びが凄まじく、競争環境の激化による影響で▲41%となっています。今回の23年3月期決算にてロシア事業、中国事業にて特別損失を計上しており、今後もロシア、中国での販売は厳しい状況が続きそうです(純利益が+になるタイミングで特別損失を出しておくのは大変GOOD)

一方で主要市場と位置付けるASEAN、日本では販売台数は前年比増となっており、地域ごとに優先度をつけ、利益の出る市場で販売を伸ばせたことが今回の好業績につながっています。

2.2023年度は販売台数増かつ増収ながらも減益予想

2023年度の通期見通しは増収減益見込。売上高は10%増の2兆7000億円、営業利益は21%減の1500億円、当期純利益は41%減の1000億円、グローバル販売台数は10%増の91万7000台を計画。自動車業界全体を悩ましている半導体供給や輸送用船舶不足が回復傾向にあるものの、今年度も依然、影響が残ると想定しての見込みとなっています。本当に半導体不足いつになったら本格的に回復するのでしょう(ずっとこのままなのか)

営業利益の変動要因を見ると、台数や売価で+1158億円を見込む一方で販売費や資材費、為替によるマイナスが大きく、▲405億円の予想に。円高が進む前提での予想となっているため、為替動向によっては大きくプラス方向へ働き、今年以上、過去最高の営業利益となる可能性もあります(1$=129円はかなり手堅いと思う)

増収減益予想でありますが、20年度まで赤字を出していたことを考えると、経営状況は大きく改善しています。大幅な円安という追い風が増えていることもありますが、体質は大幅に変化しており、進めてきた構造改革が実を結びつつあります。高価格帯であるフラグシップモデル「アウトランダー」の売れ行きが好調であること、ピックアップトラックやSUVなどの利益が出やすい車種がASEANで台数が伸びていること、軽自動車でも高価格帯へのシフトが進められていることが好業績の要因となっています。

過去最高の営業利益、好業績に伴い、配当も復活。22年度は5円、23年度は10円の見通し。株を保有する日産自動車にもプラスの要因となるでしょう。

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続きは、1435文字あります。
  • 3.23年は新車攻勢や!
  • 4.中国市場をどうするのか問題

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