【徹底解説:自動車メーカー決算 ホンダ】目指せ営業利益1兆円!電動化の投資資金は二輪から
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子どもはすでに半袖がデフォ。汗だくで子どもと遊ぶカッパッパです。今年のクーラーはじめはいつになるのか。
自動車メーカー決算シリーズ、今回はホンダ。苦しんできた四輪の収益性改善のため、会社の体制の見直し、工場/モデルの集約化などの構造改革を進めてきました。直近では収益を支えてきた中国市場で販売台数が大きく落ち込み。新車種も投入して巻き返しを図っていますが、果たしてその効果はあらわれたのか。そして今期の見通しは?
そして毎回思う、二輪の圧倒的強さ。自動車以外で稼ぐことのできる多業種展開がホンダの強み。その内容を含め、ホンダ決算、詳しく徹底解説します。
1.やっぱり二輪は強かった。過去最高売上16兆9000億
23年3月期連結決算は売上高が過去最高の16兆9077億円。営業利益は前回公表の8700億円を下回ったが、固定費削減や価格改定などの事業体質強化の結果、営業利益率は5%を維持した。4輪車事業の営業利益率は前期比2・1ポイント低下し0・4%。2輪車の販売台数は同10・2%増の1875万台だった。
ホンダ 2022年度 決算説明会資料より引用
2023年3期売り上げは前期比+16.2%増,16兆9077億円、営業利益は前期比▲3.7%、8393億円、営業利益率は5.0%(▲0.1pt)。過去最高の売上を達成増収ながらの営業利益が下がる手放しでは喜べない内容となりました。
ホンダ 2022年度 決算説明会資料より引用
やはり厳しいのは自動車=四輪事業。事業別の売上では10兆7817億円と最も高いものの、営業利益は420億円、営業利益率0.4%でギリギリ黒字を確保している状況。利益率が高い金融サービス(オートローンなど)を含めても2.4%。既に同期決算を公表しているトヨタや三菱自動車の営業利益率が7%を超えていることを考えると、低い数字となっています。
ホンダ 2022年度 決算説明会資料より引用
特に北米での販売台数の落ち込みがひどく、前年比で▲27.7%と約3割減に。加えて23年1-3月期では中国でも販売が大きく落ち込みました。北米では半導体不足、中国では新エネ車、新興メーカー台頭に伴う販売競争激化が大きな要因。ホンダの2大稼ぎ頭である北米と中国の販売台数大幅減は業績に大きな影響を与え、23年1-3月では営業利益▲709億円、金融サービスの654億円の黒字と合わせても赤字になる極めて厳しい状況にあります。
ホンダ 2022年度 決算説明会資料より引用
利益の増減要因を見ると、販売台数が減ったことが響き、販売影響にて▲1091億円。原材料価格の高騰などの売価/コスト影響が▲274億円と他社比較では少なくなっていますが、品質関連費用などのマイナスもあり、営業利益は▲318億円に。ホンダは現地生産が主流になっているために、円安の恩恵も少なく、他要因のマイナスをカバーしきれませんでした。
ホンダ 2022年度 決算説明会資料より引用
そんなホンダを支えているのが二輪事業。世界TOPは伊達じゃない。収益性の高さはすさまじく、営業利益率16.8%。売上高は四輪事業の30%以下ながら、営業利益は四輪事業の10倍以上で過去最高を更新、販売台数も前期比10.2%増。自動車以外の事業を持ち、十分に稼げる力を持っているは他社にないホンダの強みです。
増収ながらも、四輪が厳しく減益、他社比較では苦しい内容となった23年3月期決算。果たして今期はどのような見通しとなっているのでしょう。