【SUBARU23年第3四半期決算解説】北米一本足が抱える2026年問題
北米での顧客からの高い評価、旺盛な需要により、業績好調のSUBARU。ただ一方で主要市場であるアメリカでは26年以降、一部地域で内燃機関車の販売制限が始まり、早急なEVシフトが迫られています。今回23年12月までの実績と今後の戦略はどうなるのか。決算発表から読み解いていきます。
1.半導体不足脱却+円安効果がデカい!増収増益の好決算
2023年第3四半期売上収益は前期比+6884億円(+24.4%)、3兆4,964億円。SUBARUは、前年同期が半導体不足により生産・販売が大きく落ち込んでいるため、単純比較することはできませんが、業績が大幅に回復していることは間違いありません。特に海外での売上が大幅に増えている(前期比+6,555億円)が特徴的です。 営業利益は前期比+1573億円(+47.2%)、1858億円、営業利益率は前期比+3ポイント、10,6%。営業利益率5%を超えれば優秀とされる自動車メーカーで10.6%は他社と比較しても高く、日本メーカーの中でトヨタに次ぐ高営業利益率となっています。
営業利益が大きく増えた要因は売上構成差。販売台数が増えたことに加え、価格構成(値上げ、上位Grの比率UP)が利益向上に大きく寄与しています。また日本からの輸出の多いSUBARUにとって円安も大きな追い風。為替益で+962億円を積み増し。他自動車メーカーと比べ、為替の影響が受けやすいこともSUBARUの特徴です。
昨年までは、日本メーカーの中でも半導体供給不足の影響を大きく受け、販売/生産台数が伸び悩んだSUBARU。23年度に入ってからは100%の解消といかないまでも、部品の供給状況は大幅に改善し増産モード。23年第3四半期までの累計は販売66.0万台と前期比で+18.0%。また販売台数が18.0%の伸びに対し、売上は24.4%伸びていることを考えると1台当たりの価格/利益が大きく向上していることが見て取れます。
地域別の状況に着目すると販売、売上の大半(約70%)が北米が占めていることがわかります。北米はSUVなどの高利益車種の人気が高く、SUBARUブランドが浸透。着けば売れるまさにドル箱市場。昨年比で増加した10万台のうち、9.7万台が北米向けに振当てられています。ただ、販売が北米に偏りすぎていることは経営上大きなリスク。一本足の北米が倒れてしまえばSUBARUの業績も一気に悪化。SUBARUの経営状況を見る上では北米の動向をチェックしておくことが必要です。