【22年上期振り返り①】加速するEVシフトと分かれた明暗

激動の自動車業界22年上期。3回に渡って、上期での重要トピックについて解説します。
今回はBEV、電気自動車。加速してくEVシフト。販売が爆発的に伸び、日本でも国内メーカーが相次いで新車種を投入。ただし、メーカーにより明暗は分かれました。
カッパッパ 2022.09.25
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コンビニのサツマイモ関係の新作に遂手が伸びてしまうカッパッパです。(あとかぼちゃプリンも好きです!)

激動の自動車業界22年上期。今回から、3回に渡って、上期での自動車業界、重要トピックについて解説します。

初回はBEV、電気自動車。中国を中心にますます加速してくEVシフト。販売が爆発的に伸び、当初の予測を大きく上回っています。日本でも国内メーカーが相次いで新車種を投入。本格的に「BEV元年」となりそうな2022年。ただし、EVの成否はメーカーよって、異なり大きく明暗は分かれました

これからの自動車業界、最大のトピック、BEV、電気自動車。今回の記事で上期の動きをばちっり捉え、今後どうなっていくのか、みなさんもぜひ考えてみてください。

止まらないEVシフト

https://www.sneresearch.com/en/insight/release_view/34/page/0#ac_id

https://www.sneresearch.com/en/insight/release_view/34/page/0#ac_id

2022年上期のBEVとPHEVを合わせた電気自動車の販売台数は世界で428.5万台。前年同期の263.3万台から約165万台増加⇒前年比63%と大幅に増加しました。止まらないEVシフトの波。当初予測されていたよりも大幅にBEV、PHEVの販売は伸び、シェアを伸ばしています。

ただ、中身を見ると世界全体で均等に増加しているわけではなく、地域ごとによって伸び率に差があります。

一番伸びているのは中国。政府からの補助金などの販売支援やナンバープレート発行優遇などの政府の支援策、BEV、PHEV推しが効果を発揮し、21年1-6月112万台⇒247万台と前年比121%、2倍以上の大幅な伸びを見せました。世界最大の自動車市場である中国は全体に占めるシェアが大きく、中国でのBEV・PHEVの成長がグローバル全体の伸びに大きく寄与しています。

次に伸びが大きいのは北米。21年1-6月32万台⇒51万台と前年比59%増。中国に比べれば、台数、割合共に劣るものの、自動車販売全体が半導体不足で伸び悩む中、これだけ台数を伸ばしていることはEVシフトが大きく進んでいることを示しています。

以外にも伸びが少ないのが欧州。地球温暖化に積極的に取り組み、環境規制強化、内燃機関廃止の具体的計画も進めていますが、BEV・PHEVの伸びは前年比5%とほぼ横ばい。ロシア、ウクライナ侵攻や半導体不足の影響で販売台数全体が落ち込んでいることが要因ですが、この上期に限ればEVシフトは「加速」しているという状況ではなさそうです。(補助金が一部打ち切られたことも要因としてあるでしょう)

中国を中心にBEV・PHEVの販売は想像以上の速さで伸び続けています。中国に限れば、2022年の販売台数は550万台を超え、600万台に迫る見込み。自動車全体の販売台数見込みが約2500万台/年なので、20%以上が新エネ車(NEV)=BEV・PHEVに。世界のBEV・PHEVを牽引しています。

日本でもEV元年?

自動車販売の業界団体が6日まとめた2022年上期(1~6月)の電気自動車(EV)の国内販売台数(軽自動車含む)は前年同期の2.1倍の1万7771台だった。日産自動車などの新型投入が全体を押し上げ、記録のある16年以降で上期として初めてEVが乗用車の新車販売全体の1%に達した。

それではBEV日本市場はどうだったのか。前年比2.1倍の大幅な伸び!EV元年!といえる数字なのですが、如何せんそもそもの前年が少なすぎて、伸び率は大きいものの販売台数はそれほど伸びていません。新車販売に占める割合はようやく1%。欧州や中国ですでに10%近くがBEVやPHEVに移っていることを考えると、EVシフトが遅れていることは間違いないでしょう。

ただ、直近では新車も相次いで投入、政府の補助金も拡充されており、ようやく日本もEV元年、これからEVシフトが加速していきそうです。

マダマダコッカラッス‼テスラの成長

日本でも販売が開始されたモデルY 引用:テスラHP https://www.tesla.com/ja_jp/modelyより

日本でも販売が開始されたモデルY 引用:テスラHP https://www.tesla.com/ja_jp/modelyより

ただEVシフトが進む中でメーカーによって、明暗が分かれる結果になっています。まず上期絶好調だったのはBEVで大きな成功を成し遂げいているテスラです。22年1-3月の営業利益率は自動車メーカーでは考えられない19.2%、4-6月期は上海ロックダウンの影響があったものの14.6%を高水準を維持。ギガベルリン、ギガテキサスも量産を開始し、上海ギガファクトリーも能力UP、生産能力を大きく伸ばしており、22年全体では150万台を超える見込みとなっています。

現在の円安傾向が続くとなれば、4半期ベースでは営業利益でトヨタを抜き、世界TOPに躍り出ることも考えられます。原材料高騰や半導体不足で他既存メーカーが苦しむ中で、テスラは直販による価格のコントロール、供給状況に応じた半導体入手先、工程変更を実施し、高い利益率、販売台数をキープ。22年上期、他自動車メーカーと比べ、頭一つ抜けている好業績を成し遂げています。いや本当にすごい。

躍進スピード著しいBYD

22年上期最も躍進した自動車メーカーは中国BYDで間違いないでしょう。

https://www.sneresearch.com/en/insight/release_view/34/page/0#ac_id

https://www.sneresearch.com/en/insight/release_view/34/page/0#ac_id

22年1-6月期は前年比323%、54.7万台。BEV+PHEVの販売台数ではテスラを超えTOPに。自動車メーカーは工場の生産能力を上げることは容易ではありません(製造ラインの投資や量産立ち上げのノウハウが必要となる)。これほど一気に台数を伸ばすことはできたのは自動車生産の技術が十分に蓄積され、十分な設備投資が実施。加えて需要に満たせるサプライチェーンも構築できているから。BEVの一番のネック部品、電池に関しても元々が電池メーカーなので確保が容易。その他、言い出せばきりがないのですが、22年上期のグローバル事情に応じた自動車生産、そして中国国内でのBEV支援策を受け、BYDはこの上期で一気にライジングしました。

カッパッパ的に22年上期一番のサプライズ。これほどまでに伸びるとは…

BYDの強みは幅広いラインナップ。他社のBEVが基本的に高価格帯であるのに対し、BYDは大衆車レベルでの価格でも車種を投入。結果、販売台数を大きく伸ばすことに成功しました。

そしてBYDは中国国内のみならず、海外展開にも積極的。今秋からは欧州でも販売を開始。生産も中国外にタイで新工場を作ることを決定(年間15万台)。日本でも販売することを発表しており、世界進出を広げています。日本メーカーがこれまで強かったASEAN地域への拡大はEVで出遅れている日本メーカーとってシェアを奪われる「脅威」となるかもしれません。

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