5分でわかるクルマニュース_モビイマ!

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。先週のニュースをダイジェストで紹介。この記事だけ読めば、最新の自動車ニュースを抑えられる。1週間の始まりにぜひ一読を。
カッパッパ 2022.12.19
誰でも

ご安全に!

年末に体重が増えることが確定しているため、今は節制期間中カッパッパです。実家に帰るとなぜあんなに食べてしまうのか…

月曜の朝は「モビイマ!」の5分でわかるクルマニュースから。

先週のニュース/トピックスをカッパッパが厳選。コメント付きで解説。この記事だけ読めば、最新の自動車ニュースを抑えられる。1週間の始まりにぜひ一読を。

1月=70万

トヨタ自動車は2022年12月15日、2023年1月の世界生産台数が70万台程度になると発表した。内訳は国内が約20万台、海外は約50万台である。
 同社が2022年11月22日に発表した同年12月の世界生産台数の見通し(約75万台)に比べると、国内生産が約5万台の減少になる。車載半導体を含む部品供給不足の影響は1月も続く。ただ、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大していた2022年1月の実績は上回る見通しである。

1月トヨタ、グローバルでの生産台数は70万台規模。12月比では5万台減産だが、前年比では増加の見込み。元々年末年始の休暇、中国では春節に期間に入ることもあり、生産台数が増えない1月。日当たりで考えれば、夏ごろまでと比較すれば大きく増えていることは間違いありません。ただランクルプラドを作る田原工場、日野羽村工場は依然稼働停止日があり、まだまだ本調子とはいえません。

11月に下方修正した年度生産台数、920万台には織り込み済み。2月からは稼働日が増えるので本格回復、日本でもバックオーダーが解消されていけば良いのですが。2023年はある程度は半導体確保の見込みが立ち、各社がいかに増産をしていくのかどうか。加えて、原材料高⇒コスト上昇をどれだけ販売価格に乗せてくるかどうか。

大幅円安も落ち着き始め、為替差の影響が少なくなる中で自動車メーカーの業績がどうなっていくのか。一歩間違えば、赤字に落ちるような状況が続く中、引き続き生産、販売動向に注目です。(テスラのバックオーダーが落ちているギガ上海稼働調整している?あたりの話は非常に気になりますね)

メガサプライヤーの戦略は

デンソーは15日、2035年度に自動車の電動化や自動運転など「CASE」分野の関連領域の売上高を現状比で8割増の7兆円にする方針を発表した。エンジンに関係する事業は縮小させ、売上高は半分に減らす。研究開発や設備投資には22年度からの10年間で過去10年間と比べて2割多い10兆円を振り向ける。

日本最大の自動車部品メーカー、デンソーが中期での経営計画を発表。大きく2部構成となっており、前半部分では5つの流れ「人流」「物流」「エネルギー流」「資源流」「データ流」に注力し、幸福が大きく循環する社会の実現を目指すことを発表。一部品メーカーとして完成車メーカーに納入するだけではなく、モビリティ企業として人、モノの移動の技術開発を進め、地球環境問題を含め仲間を作りながら、発展を目指す経営計画。「データ生成、管理」にQRコードを発明したデンソーらしさを感じます。安全運転においても、死亡事故を25年までに▲56%と減らすとし、完成車メーカーではなく、部品メーカーが発表するのは大変珍しいと思いました。

ただやはり自動車業界人として気になるのは後半の成長戦略。CASEに関わる、特に電動化では市場を上回る成長、21年には5500億を25年には1兆円に。インバーターや熱マネに力を注ぐことを明確化。一方で成長性の低い内燃機関系の部品は売り上げが半減する予測を出し、事業譲渡を含めた集約化、リソーセスも大幅に減らすことが明言されました。わかってはいたものの、具体的に目にすると内燃機関が今後いかに縮小していくかが鮮明になり、自動車業界中の人としては大きな転換期にあることを感じます。すでに欧州メガサプライヤーでは大規模な選択と集中が行われており、日本を代表するデンソーも続く形に。

資金や人がそろうメガサプライヤーではこうした戦略転換が可能ですが、専業、企業規模の小さいメーカー、特に内燃機関に特化している企業では戦略の立て直しが急務。デンソーも新規産業(農業など)に力を入れているように、今の事業から離れた分野にも投資を広げていく必要がありそうです。

デンソーの事業計画は自動車業界の方には非常に示唆に富む内容になっていますので、一度元資料を読むことをおすすめします。完成車、部品メーカー含め将来を予測することに役立つこと間違いなし!

あまりにも高すぎる税の見直し

日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は16日、自民、公明両党が同日まとめた2023年度税制改正大綱について「50年のカーボンニュートラルの実現に向け、自動車税制を日本の競争力再構築につなげる骨太の議論の開始を歓迎する」とコメントを発表した。電気自動車(EV)の普及を見据えた自動車税制の見直しへの言及を評価した。

高い高いと言われ続けている日本の自動車税制。BEVを含めた改変が必要であり、現在政府にて税制大綱を検討中。走行距離に応じた税金をかける「走行税」が検討されたという報道もありましたが、とりあえず3年後に税制を見直す+現在のエコカー減税については維持の方針を決定。

自工会としては一旦評価する方向。一定の税金を確保し、道路整備など交通に関わるインフラの財源は維持しなくてはいけませんが、BEVが普及するとなれば、ガソリン税や軽油引取税などの燃料課税が減るため、税制の見直しは必須。ただ、環境に優しいBEVの普及を促すためには税負担を減らし、お得感を出す必要もあり、バランスが難しいところ。

そもそも日本は自動車にかかる税金の金額が非常に大きい。自動車は国を代表する基幹産業であるだけに、サポートしてほしい…が業界人としての思いですが、税金が減ってインフラが整備できなくなれば元も子もありません。原材料高騰、インフラ基調により今後自動車価格の上昇が予測される中、「自動車=手が届かない高い買い物」となってしまえば市場がより縮小していきます。税確保と産業支援どちらも視野に含めた税制の改変がどう進むのか。今後も注目です(BEVへの補助金、税負担軽減含む)

EVへの追い風と向かい風

今年の燃料価格高騰によって、電気自動車(EV)の購入・維持費が欧州の大半の国でガソリン車やディーゼル車より安くなった。自動車リースの世界大手、リースプラン(オランダ)がまとめたデータで明らかになった。
米フォード・モーターは、電動ピックアップトラック「F-150ライトニング・プロ」のベースモデル価格を5万6000ドル(約766万円)近くに引き上げた。
 4月に発売された当時、ベースモデルの価格はおよそ4万ドルだった。その後8月と10月に値上げした。フォードの広報担当者は16日、ベースモデルの新規受注価格が5万5974ドルになることを明らかにした。当初の価格から40%の値上げとなる。

EVシフトが明確化、より加速した2022年。年末に入り、追い風、向かい風両方のニュースが入ってきており、今後どちらに進むのか不透明な状況。

まずは所有コスト。FTの記事によれば欧州ではすでにBEVのトータルコストがICE(内燃機関車)を上回る結果に。ただし、り-ス車両、年間3万キロという条件下ですべてに当てはまるわけではありません(日本だと平均走行距離は1万キロいかない)。ガソリン高騰によりBEVとの走行による燃料代が上昇、充電コストとの価格差により維持費は安くなる結果に。ただし、23年からは補助金/税制の見直しが実施。電力代も高騰を始めており、価格によるメリットが出るのかどうか。そして気になるのはそもそも価格が同じになったとしてガソリン車と電気自動車のどちらを消費者は選ぶのか。どちらも一長一短があり、シェアが今後どう推移していくのかは気になります。

電気自動車でもう一つ気になるのは本体価格。こんな安い価格で出るなんてと自動車業界関係者をビックリさせたFordのF-150 ライトニングは値上げを実施。当初の4万$⇒5万5974$と40%の大幅値上げ。インフレ基調、原材料高騰(特に電池材料)もあるのですが、量産効果による原価低減よりもコスト高の影響が大きく、容易に値段は下がらない模様。躍進目覚ましい中国、BYDも値上げを発表しており、電気自動車の価格は右肩下がりとはいかないようです。ただ、総じてガソリン車も含め、値上げ基調であり、比較すれば価格差は縮まっているといえるかもしれません。

BEVは本当に毎週新しいニュースが入ってきます。プラス、マイナス両方のニュースが舞い込み、今後EVシフトがますます加速するのか、はたまた減速してしまうのか、どちらに転ぶかわからない状況が続いています。政府の方針にも大きく左右されるだけに、来年もBEVに関するニュースからは目が離せません。

【今週の一言】

なんだかんだ言いつつ、テスラとトヨタのニュースはたくさん入ってくるだよなぁ。。。やっぱり世間からの注目度が2社は頭一つ抜けている感じがあります。

***

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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!

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