【徹底解説:自動車メーカー決算 日産】財務は健全化!ただ台数の落ち込みは今後どう影響…?

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。「各自動車メーカーの22年4-12月期決算」解説。今回は日産。軽EVが絶好調、新型車を相次いで投入、そして長年の悩みの種であったルノーとの株式比率問題が解消された日産の将来はいかに。
カッパッパ 2023.02.13
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ご安全に。

1年に1度の年間行事、確定申告を終わらせたカッパッパです。事務処理仕事、ためてたらあかんすね(それにしても税金が高い)

自動車メーカー決算シリーズ、今回は日産。先日遂に長年の悲願であったルノーとの資本提携関係見直しが合意になった日産。軽EVの受注も絶好調。「セレナ」や「エクストレイル」の新型車攻勢で、体質改善を図っていますが、その業績やいかに。

日産の決算発表資料の特徴は「やりました」アピール。「めっちゃ頑張っているで」のプレゼンテーション、今回は果たしてどの程度なのか。どこより詳しく解説します。

1.上期は増収、ただ重くのしかかる原材料/物流費高騰とロシア

 2022年度 第3四半期の売上高は前年同期(6兆1540億3100万円)から21.9%増となる7兆4996億9100万円、営業利益は前年同期(1912億8700万円)から51.4%増となる2897億100万円、営業利益率は3.9%、当期純利益は前年同期(2013億3500万円)から42.9%減となる1150億4000万円。また、第2四半期累計3か月のグローバル販売台数は前年同期(90万4000台)から6万2000台減の84万2000台となった。
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1477453.html

2022年4-12月期売り上げは売上高は前年同期(6兆1540億円)から1兆3457億円増となる7兆4997億円(+21.9%)、営業利益は前年同期(1913億円)から984億円増の2897億円、増収増益。営業利益率も+0.8ポイント。業績は前期と比べ、大幅に改善しました。

グローバル販売台数は前年同期比▲17.0%の241.1万台。販売台数が大きく落ち込んでいるにも関わらず、大幅な増収増益⇒1台当たりの販売価格/利益が上昇しており、体質が改善していることがわかります。ただ、全需(自動車全体)が+2.0%なのに対し、大きな差が。特に中国、北米、欧州が▲20%近くと販売の落ち込みが大きくなっています。(欧州はロシアの影響が大)ただ作れていないのかといわれるとそんなことはなく…

10-12月期では生産台数は前年同期比+9.0ポイントと回復。90.9万台の生産に対し、販売は84.2万台となっており、差し引き6.7万台は在庫を積んだことに。

在庫状況を見ても潮目が変わったことは明らか。半導体供給不足により、生産が追い付かず、在庫が過去最低水準にまで落ち込んでいましたが、日産では22年2四半期からは在庫が回復。22年12期末時点で38万台で21年第1四半期のレベルに。こちら、戦略的に積み上げた在庫なら良いのですが、需要が下がったゆえに積みあがっているのであればこれから問題になっていくかもしれません(判断はつかないのですが)

営業利益の増減理由を見ると1番マイナスの要因はやはり「原材料高騰」で1806億円。円安による為替益が+1618億円でほぼ相殺した形に。そして、注目すべきは販売パフォーマンス(販売費用=販売奨励金減や値上げなど)のプラス3419億円。日産はこれまで北米でのフリート販売やインセンティブを多額に拠出して、1台当たりの利益の低さに苦しんできました。今回の決算では質の改善が進み、利益の出やすい体質へ変化していることがわかります。

財務実績を見てもフリーキャッシュフローがプラス、ネットキャッシュが大幅に増えており、財務状況は大幅に改善しています。正直なところ、販売台数の落ち込みが激しいだけに日産の決算はヤバいのではないかと心配していたのですが、販売の質の改善が想像以上に進んでおり、少ない台数でも利益が出る体質⇒想定よりもかなりの好決算になりました(市場の予測も上回る)

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続きは、1447文字あります。
  • 2.ここがすごいぞ、日産3Q
  • 3.販売台数は大幅に減るけれど

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