【池田直渡氏対談⑥】花開いたトヨタとマツダ/日産の軽EVが持つ可能性と不安

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今回は1周年特別企画、自動車ジャーナリストの重鎮、池田直渡さんとの対談記事をお送りします。国内、海外含め多岐に及ぶ内容。第6回は「花開いたトヨタとマツダ/日産の軽EVが持つ可能性と不安」です。
カッパッパ 2022.06.30
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在宅勤務の時は消費カロリーが200Kcal(アップルウォッチ計測)を割ることもある、運動不足が顕著なカッパッパです。

今回も引き続き、池田直渡氏(@naotoikeda)との対談をお送りします。大好評の対談も今回が最終回…

今回は「花開いたトヨタとマツダ/日産の軽EVが持つ可能性と不安」。直近の決算で好業績となったトヨタとマツダ。そして業績が上向き。待望の軽EVを発売した日産について語ります。特にマツダ部分はとても中身が濃い…本当に濃い…

とても充実した、ここでしか読めない対談。それでは早速続きをどうぞ。

1.モビトーク

無理をしなくなった22年のトヨタ

カッパ:

調達力の強いトヨタが減産するということは、他社も絶対減産するレベルの状況だということですよね。

池田:

トヨタは、今年は違うんですよ。減産を積極的に受け入れる、意志ある踊り場。つまり、今まではとにかくお客様の需要に応え、お待たせしないために、サプライヤーも含めて全部で一丸となって1台でも多くのクルマを作るってことが絶対至上命令だったんです。 ただそれをやった結果、挽回生産に備えよという指示をガンガン出し続けて、結果的にそれが空振りに終わることもやってしまった。

トヨタとしてはこれはしょうがないでは済まないよねっていう判断に至ったんですよ。やっちゃいかん。サプライヤーの体力を削ることになると。人を雇って賃金払わなきゃいけない状態で生産しないことは大きなマイナスになる

カッパ:

ボクはサプライヤーの立場なので、本当に言われる通りです。

池田:

今トヨタは、「お客様第一だからそれは仕方がないよね」で済ませてはいけない。お客様は第一だけど、他に全部しわ寄せしていいわけじゃないとはっきり言ってる。働き方改革などもある中で、今までみたいにサプライヤーに無理を押し付けることが、トヨタが本当に強くなってくことに資するのか、考え直さなきゃいけないと。意思ある踊り場として、受発注の関係を見直す。働き方改革をやるということですね。 

だから、今期の生産調整に関しては、前期の粘るだけ粘って、駄目でしたではなくて、部品不足をある程度前段階で受け入れますと。

カッパ:

直近のトヨタを見ると確かに言われる通り。去年とは大きく違う。

正直なところ、他のメーカーは違っていて、ギリギリまで判断を待つところも多い。減産を公表していないメーカーもある。こっそり減ってるメーカーとかもたくさんあるんで。その点、トヨタは減産にすごい気を使ってるなと思います。

今回の対談で思ったのはボクと池田さんはスタンスが非常に近い。ボクは仕事の現場から見た景色で発信をしている。池田さんはトップ層を情報源とした発信が中心。 取ってくる情報が別のところなのにスタンスが同じところに行きつくのはトップが思ってることがちゃんと現場まで届いてるということですね。

やることが一致し始めた日産と軽EVを巡る不安点

カッパ:

日産は最近だいぶ変わった感じがあります。

池田:

一昔前に比べ、大きく変わった。明らかに戦略が正当になってますよ。透明性が変わった。以前には発表することとやることが違っていたことがよくあった。

業績が悪かった原因は、車齢の浅い設計の新しい車がショールームに並んでないから。だから、値引きせざるを得なくなって、経営をガタガタにしてしまった。そういう流れを予見して5年位前から一生懸命分析記事を書いてきたわけですが、まあボクが言っても無駄だった。結局、新車が出なかった。赤字の続いていた2、3年前はひどかった。20車種出すって言ってた話はどこ行ったのか、全然出て来なかったわけです。

ただ直近は新車を次々投入し、撤退戦も進めている。日産は明らかに舵取りが正常化し、言ってることとやってることの乖離がなくなってきました。これからかなり良くなっていくんじゃないかと思います。一時は「明日まで持つかどうか」って言ってたところが、すでに安静な状態に入ったところまで来ていると言っていいでしょう。 

カッパ:

そんな日産が満を持して出す軽EV、サクラは当たると思いますか?

池田:

ハードウェアとしてはすごく正しいんですよ。ただ問題は、日産のせいではないところ、補助金の制度設計ですね。要は補助金から離脱の青写真ってどう描くのかが脆弱過ぎる。300万の車に100万も補助金出すという状況を見て、今は補助金が必要になるのはわかる。ただ補助金漬けにしてしまったあとどうするのかをちゃんと考えているのかどうか。 

ドイツや中国で補助金を打ち切ったあと、どうするのかという問題が起こり始めてる。たとえ補助金を出し続けるんだとしてもその原資をどうするのか。 いくらでも補助金は出せるわけではない。普通に考えてあの補助金は簡単には切れない。ただ段階的に減らす。その段階の度に販売ショックが与えられるわけで、そのリスクがある、

日本は消費税含め、制度設計で何度も経済に水を浴びせていて、どうせなら大手術は1回でやってくれた方が良いとさえ思います。300万の車に100万もの補助金を付けて、それを今後どうやって外していくのかという話ですね。 

カッパ:

日産じゃない外部要素がめちゃくちゃ大きく、そのリスクがとても高いっていうことですね。成功したら成功したらで本当に後が大変。アリアやbZ4Xのレベルになると高価格帯なので補助金の占める割合は少ない。ただ軽EVは非常に大きい。今のリアクション見ても割と好評なので、伸びていくとは思うのですが、補助金との兼ね合いが非常に難しい

池田:

EVは現実的には短距離のための移動ツールであるはずです。これから資源量が限られてる中で、あの電池搭載量でやるのは正しいし、既存のシャシーの床下に既存のラミネートバッテリー全部ちゃんと埋め込めたことは技術の勝利だと思う。エンビジョン×日産のバッテリーだったら過去に火災も取り沙汰されていないので絶大な信頼感がある。

カッパ:

地方で2台目で充電設備があるなら、めちゃくちゃ買いだと思いますね。東京都じゃなかったら、補助金は基本国からだけなので100万後半。トータルコストで見たときには、N-BOXと同じぐらいになるのかなと思います。

池田:

庶民の足を狙うんだったら、今の補助金なしでの値段は本当は無理じゃないないかと思います。ただそれが現在のEVの身の丈なんです。価格ギャップを埋めてどうしても安くしなきゃいけない、しわ寄せが制度に至ったのが今回の着地点でしょう。現状仕方ない面もあるけれど、 ただそれは今後、補助金をどうするのか、どうやって抜くのっていう課題が残ってます。

本当に大ヒットしてしまったたりすると、あっという間に補助金終わりって言われる可能性がある。そこをわかってるから年度設計になってる。来年この金額はどうかわかりませんと、政府は逃げる準備はできてる。メーカーははしご外されたときにどうするのか。今年から300万で売らなきゃなくなった時に300万円として売れるのかどうなのか。

カッパ:

半導体供給問題もあるので、今年どこまで作れてどこまで売れるのか、サクラ注目ですね。

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