EVシフトよりも大きな変化?!クルマを根本から変える「SDV」って一体なに?

100年に1度の変革期を迎えている自動車業界。その中でも特に大きな変化であるSDVについて解説します。直近凄まじい、テスラ、中国メーカーの躍進は従来メーカーとは異なるSDVでの魅力が大変大きくなっています。これさえ読めば、今後のトレンドであるSDVはばっちりです。
カッパッパ 2023.07.20
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自動車業界は100年に一度の変革期と言われ、CASEに代表される技術革新が進む中でも最も大きな変化点の1つ、SDV(Software Defined Vehicle)。世間ではEVシフトに注目が集まっていますが、SDVへの移行は、EVシフト以上にクルマに変化をもたらし、また今後の自動車メーカーの命運を握っています。新興メーカーがSDVの開発を進め、販売を拡大し、既存メーカーが出遅れている現状の中で今後どのような展開を迎えるのか。

今回の記事では「SDVとは何か」という基本とSDVの現状、SDVによって変わるビジネスモデルを詳細に解説します。自動車業界の将来を予想するためには必ず抑える必要のあるSDV、この記事さえ読めばSDVはばっちりです。

「SDV」とは何か?

SDVはSoftware Defined Vehicle、「ソフトウェアによって定義されたクルマ」を示します。従来のクルマは内燃機関、エンジンを中心とする「ハードウェア」を改善することで性能を向上させてきました。燃費や乗り心地、安全性能などクルマの機能は一つ一つの部品の改良により、改善がなされ、クルマは進化を遂げてきました。

SDVでは、クルマ作りの概念が一転します。ハードウェアからソフトウェア中心のクルマ作りへ。クルマの電子制御が増える中で、ソフトウェアを中心にしたクルマの開発/生産でSDVは生み出されます。では、SDVは具体的にはどんなクルマなのでしょう。

出所:テスラ

出所:テスラ

SDVの代表例である「テスラ」をベースに解説します。車内の内装は物理ボタンを極力排し、中央に設置されたディスプレイによる操作でエアコンやヒーターや空調やヘッドライトをコントール。クルマに設置されたカメラにより外部の状況を把握し、高度な運転支援、自動でのハンドル、加速、ブレーキ操作を実施(オートパイロット)。駐車場で携帯電話により自動でクルマを呼び寄せる「スマートサモン」や、より高度な自動運転システムであるFSD(Full Self-Driving)も海外では実装が始まっています。(ただし自動運転は運転手主体のレベル2)。自動車の性能はOTA(Over The Air)によるソフトウェアの更新で継続的にアップデート。自動運転の機能を向上させ、安全性を高めることはもちろん、ディスプレイで遊べるゲームやアプリ、犬を安全に車内に残せる「ドッグモード」などの追加も行われています。

SDVはユーザー側だけでなく、クルマの開発にも大きな影響を与えています。通常のクルマでは部品や性能ごとにECU(Electronic Control Unit)、電子制御するユニットが搭載され、別々になっていますが、テスラではECUを集約。統合したECUでコントロールすることで車内の通信及び部品点数を減らし、OTAでのアップデートも容易なクルマの設計になっています。

いわばクルマの「スマホ化」。テスラはBEVであることに加えて、SDVでの優れた性能により世界で販売を大きく伸ばし、躍進を遂げています。

新興メーカーが先行するSDVの現状

クルマではADAS(運転支援システム)や電動化が進む中で、搭載される半導体、電子制御によるコントロールは増加しており、ソフトウェアの重要度は年々高まっています。しかし依然、トヨタやVWに代表される既存メーカーではハードウェアを主体とした開発/性能改善が主流であり、SDVと言える車両の販売は多くありません新興のテスラやBYDやNIOに代表される中国新興EVメーカーの方がSDVの開発、販売が先行しています。

なぜ新興メーカーの方がSDVで先行しているのか。1つめの理由は既存メーカーは従来のクルマ作りからの転換が難しいこと。これまで既存メーカーでは数十年に渡り、エンジンなどの部品を一つ一つ改善し、組み合わせていくことで性能を向上させてきました。結果として開発においてハードウェアを重視する傾向にあり、ソフトウェアの立場は決して強くはありませんでした。テスラの統合ECUに見られるように、SDVに移行するためには設計の初期段階からクルマの構成そのものを見直す必要があります。もちろん既存メーカーでも開発におけるソフトウェアの重要度、割合が増えていることは認識しているものの、これまでのクルマ作りやサプライヤーとの関係から思い切った転換が一気にはできていません。新興メーカーでは従来のしがらみに囚われることなく、初期段階からSDV前提でクルマの開発を進めることができ、結果、既存メーカーよりも先行したSDVの販売が可能になっています。

2つ目の理由は新興メーカーのSDVによる差別化です。既存メーカーの持つ自動車を品質高く、安定して低価格で作る量産のノウハウは長年培われたもので、一朝一夕で追い付くことはできません。また新興メーカーが参入するBEVは電池のコストが高いために、内燃機関車よりも低価に抑えることは困難で、基本的に高級車がターゲットとなります。既存メーカーのシェアを奪うためには、既存メーカーを超える機能が必要…そこで注目されたのがSDV、ソフトウェアでの機能を充実させたクルマです。IVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテインメント)=自動車に「インフォメーション(情報)」と「エンターテインメント(娯楽)」の提供するシステムの充実、例えば、音声認識やヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)、映画や音楽、ゲームのダウンロードなど既存メーカーの開発が遅れているソフトウェアに焦点を当てることで、魅力的な機能を搭載したクルマを開発消費者が新興メーカーを購入する大きな要因の1つとなっています。今年開催された上海モーターショーでは中国企業のSDV開発動向に各既存メーカーから驚きの声が上がり、大きく引き離されている現状と危機感の表明が相次ぎました。

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