【一転急降下も?】絶好調テスラがこれから直面する“6つの高い壁”
ご安全に!
大好評テスラ徹底分析。今回はテスラに今後立ちはだかる壁について解説します。一見順風満帆に見えるテスラ。このまま右肩上がりに成長!していければ良いのですが、そのためには「乗り越えていかなくてはいけない高い壁」が存在しています。
一転急降下もあり得る、テスラが立ち向かわなくてはいけない困難。これからのテスラを占ううえで、自動車業界の人だけでなく、投資先として「テスラ」を持っているor考えている人、必見です。ここでしか読めない情報を含んだ、どこよりも詳しいテスラ分析第3弾、スタートです。
1.モビコラム
モビコラムでは、カッパッパが自動車業界最新トレンドを独自の視点と切り口で語るコラムです。かなり力を入れた内容で仕事/投資に役立つこと間違いなし!
立ちはだかる壁① : 時間を経るごとに遅れていく計画
成長を続けるテスラ。その道のりは順調に見えますが、実は発表している計画に対し、進捗は大きく遅れています。
建設中のベルリンのギガファクトリー https://blog.evsmart.net/tesla/elon-musk-at-european-conference-on-batteries/
一番の直近の例ではドイツ、ベルリンのギガファクトリー。こちらは21年夏から量産を開始する予定でした。しかしながら、国や地方の承認、森林、自然動物保護などの環境問題を要因として、建設が遅れ、12月現在でも操業は開始されていません(11月に地方住民を工場に招くイベントとするなど、年内には操業が開始される予定…のはず)
新車の計画についても時間を経るごとに後ろ倒しになっています。2019年の発表当時、先進的なデザインから話題になったピックアップトラック「サイバートラック」。
すでに予約を開始し、50万台を超える注文が入っているとされています。生産開始時期は当初2021年を予定されていましたが、12月現在量産には至っていません。最新の報道によれば、生産は2022年からとされています。(なぜか当初予定されていなかった4モーターかららしいのですが)。
電動車トラックの「Semi」。2017年にプロトタイプが発表され、2019年の生産開始予定でしたが、2年経った今でも生産は開始されていません。2021年初めにはには21年中には納入が開始できる見込みとの発表。イーロンマスク氏曰く
「現在、たとえばTesla Semiといった新型車の開発を加速できない最大の原因は、ひとえにセルの不足です」とマスク氏。「今すぐSemiの生産しようと思えば、すぐにでも簡単に始められますが、十分な数のセルが手に入りません」。
との状況でしたが、2Q決算発表時には2022年に変更することを発表。事あるごとに生産が後ろ倒しになっています。
イーロンマスク氏が積極的に発信を行ってきた完全自動運転もまだまだ道半ば。テスラのFSD(Full Self-Driving)は”完全自動運転”という名前ながら、まだレベル2、運転支援の段階。
Teslaが2021年中に完全自動運転車を実現できるかは不透明だと、同社のエンジニアがカリフォルニア州の規制当局に対して認めた。Teslaの最高経営責任者(CEO)を務めるElon Musk氏は1月、決算発表の電話会見で、2021年中に完全自動運転を実現することに「大きな自信を持っている」と述べていたが、これとは異なる見通しが示されたことになる。
現在の技術を見ると、完全自動運転までの道のりは程遠く(テスラ以外の要因:法整備/対応規制なども進んでいないことも含めて)、5年かけてでも到達することは難しいでしょう。(一部地域のみのレベル4ならかろうじて可能性はあるかもしれません)
目標未達に対して「高い目標を掲げている」から仕方がないと考えることもできますが、同様のことを既存の自動車メーカーがすれば、株式や世間から厳しい批判を受けます。これまでは「テスラ」だから、位置づけがあくまでも「新興メーカー」なので、という点で許容されてきました。しかし、時価総額自動車業界TOP、生産台数も増え「量産メーカー」として認知されるようになった現状では計画の遅れへの許容はいささか厳しくなりつつあります。
現在の計画も後ろ倒しになっていかないのか。そして、果たして計画の遅れが許されるのか。今後テスラは自身の計画を予定通りにこなせるか、その壁を越えていかなくてはいけません。
立ちはだかる壁② : 既存の自動車メーカーの本格参入
現在、世界で最もEVを販売しているテスラ。しかし、既存の自動車メーカーが本格参入を始め、その地位は揺らぎつつあります。
まず本格参入を最初に開始したのはVWです。ビートルやゴルフシリーズを世界でHITさせてきたVWは、EVとして独自のプラットフォーム・MEBを導入し、「ID.」シリーズの開発を進めてきました。
ID.3のエクステリア
最初に発売されたのはコンパクトカーの「ID.3」。航続距離は短い(330~550km)、価格は少し高め、3万5,574.95ユーロ(約450万円)~ものの、先進設備や補助金優遇措置もあり、販売台数を伸ばし、欧州受注が14万4000台を超えたと発表されています。
「ID.3」以外にも2021年9月にはSUVの「ID.4」の販売開始を発表(納入は一部Grで2021年末から)、E-SUVクーペの「ID.5」も2022年から販売が開始される予定です。
ID.5(右)とID.5 GTX(左)
日本メーカーも来年2022年にはEVのラインナップを拡充させます。今最も人気のあるカテゴリー、ミドルクラスSUVにトヨタからは「bZ4X」、日産からは「アリア」、SUBARUからは「ソルテラ」が販売予定。どこまで販売が伸びるのか、来年の注目ポイントの1つです。
トヨタ「bZ4X」
EVの先達として、独壇場を気づき上げてきたテスラ。しかし、今後は大手メーカーの参入により「EV」としての独自性は薄れていきます。テスラの魅力はEVであることだけではありません。しかし、重要な要素であったこともまた事実。
EVの選択肢が拡大されていく中でテスラは選ばれ続けるのか。販売台数を増やしていけるかは大手メーカーとの競争に勝てるかどうかにかかっています。