決算比較で見えてくる！自動車各社の現状と戦略

ご安全に！

運動不足解消のため、会社でのラジオ体操はがっつりやる勢、カッパッパです。(これまで勤務前にラジオ体操が流れる会社にしかいたことがありません）

自動車各社の決算が出そろい、21年度決算は概ね好調な内容となっていました。ただ決算内容を比較すると実は会社ごとに大きな差が。そして公表された22年度通期見通し。半導体供給問題や原材料/物流費高騰など各社に共通する課題はどの程度見込まれているのか。詳細に分析すると会社ごとの見通しの出し方、戦略のあり方が見えてきます。

先週までは1社ごとの決算解説。今回は横並びで各社決算を比較し、それぞれの会社の特徴を解説。これまでの解説記事同様、ここでしか読めない、仕事/投資に役立つ情報てんこ盛りお送りします。

自動車メーカー、2021年度決算は売上高、営業利益を見ると、7社中6社が増収、5社が増益と概ね好調な内容。SUBARU、1社だけが減収、減益。これは半導体供給問題による販売台数減(前年比▲14.7％)が大きく響いており、生産出来ない⇒業績悪化につながっていますSUBARUは2021年度、国内メーカーの中で最も部品供給問題の影響を受けたメーカーで間違いありません。工場の稼働調整期間、回数も他社と比べて多かったですね…

2021年度はコロナ禍の2020年度から挽回して、販売台数は伸びるはず…だったのですが、半導体供給がネックとなり生産が出来ず、各社販売台数はそれほど増えず(前年に大きく落ち込んだ三菱を除く）。各社の調達力、サプライチェーンのあり方が問われた1年。トヨタ、スズキが販売を伸ばせているあたり、かなり力を入れて部品を確保した結果が表れています。(トヨタは母集団がでかいので本当にすごい）

2021年度で特徴的なのは売上高の伸び＞販売台数の伸びとなっている点。これは1台当たりの販売価格が向上していることを示しています。生産が出来ず、需要＞供給の状況で、販売奨励金を減らしてでも売れる環境にあること、生産が限られる中で利益率の高い高価格帯の車両生産を優先したことが要因。生産に苦しんでいるものの、現在の販売構成のありかたは完成車メーカーにとって望ましいものになっています。生産が十分に回復してきた際に、どんな販売(生産)構成にしていくのかはこれからの注目ポイント(まだまだ遅れて23年以降になりそうですが）

営業利益では上記の販売奨励金減、高利益率の車種割合の増加、また為替要因の効果が大きく、各社増益となりました。前年に赤字だった日産、三菱、マツダは黒字化、トヨタ、ホンダは＋30％以上の伸び。トヨタは過去最高益を更新しています。2021年度＝非常に「儲かる」1年に。

ただ、プラス要素ばかりではありません。原材料/物流費の高騰により、業績は大きく押し下げられました。この点は後述しますが、未だかつてないほどの原材料高騰。コスト高は自動車メーカー得意の原価低減では吸収しきれない金額になっており、海外市場では値上げも始まりました。各社も決算発表の中で、値上げの検討を打ち出しており(明確な否定をした会社は1つもなし）、今後、価格変更の可能性があります。またこれから出される新車はこのコスト高を踏まえた価格となり、「クルマを安く買うなら今のうち」かもしれません(業界人のポジショントーク)。