【徹底解説:自動車メーカー決算 スズキ】インド!アフリカ!伸びしろ無限大の新興国で勝負!
ご安全に!
自動車メーカー決算シリーズ、今回はスズキ。実は4輪としてはトヨタに次いで営業利益率の高いスズキ。「下駄」を自称する大衆車メーカー。日本国内の軽自動車市場やインドでは実に高いシェアを持ち、好業績を続けています。
あと決算資料が手堅い感じながらも、前年と比較しやすい構成なのがカッパッパは好き。
そんなスズキの決算は果たしてどのような内容だったのか。どこよりも詳しく解説します。
1.増収増益!やっぱりインド!
スズキは8日、2023年3月期の連結純利益が前期比18%増の1900億円になりそうだと発表した。従来予想(16%減の1350億円)から一転増益となり、最高益だった18年3月期(2157億円)に次ぐ高水準となる。主力のインドで四輪車販売が回復し、原材料高の影響を吸収する。円安も追い風となる。
同日発表した22年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比33%増の2兆2175億円、純利益が15%増の1151億円だった。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
2022年上期売り上げは前期比32.5%大幅増の2兆2175億円。前年は主要市場であるインドでコロナによる落ち込みがあっただけに、今期は大幅増収の結果に。営業利益も前期比65.8%増の1643億円、営業利益率7.4%。この上期だけでいえば、トヨタよりも営業利益率は高い、好業績。なお純利益は前期に工場の売却益があったため、前期比14.5%増と控えめな数字に。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
四半期ごとの推移をみると、7-9月期は過去最高の売上高、営業利益。業績が右肩上がりなのが一目瞭然。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
営業利益について分析すると、プラス効果が大きいのは為替益と台数/売り上げ構成。販売台数が4輪、2輪共に前年比で大きく増加していること、そして高収益の車種に販売がシフトしていることにより大幅に営業利益が伸びています。原材料高騰の590億円のコストUPを吸収し、前期比652億円のプラスに。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
また他社同様に円安も大きな追い風。為替レートでの損益でインドルピーの効果が最も大きいところがスズキらしい。為替でここまで詳しく書いてくれるのはスズキの決算資料だけ。素晴らしい。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
売上高を地域ごとに比較すると、海外が大幅に増加。ウクライナ侵攻の影響がある欧州が大きくマイナスとなる一方で、アジアが前年比より大幅な伸び。その中心はやはりインド。マルチスズキとしてインド国内で圧倒的シェア誇るスズキ。やはり業績を決めるはインドでの販売。またスズキは中国での事業が少ないため、上海ロックダウンの影響が軽微なことも好調の要因の1つ。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
決算発表ではマルチスズキ単独での業績も説明。上期だけでインド国内販売約85万台、輸出13万台。営業利益率は6.1%と前年と比較して、業績は大幅に回復。コロナ禍、そして半導体供給問題が徐々に解消され、スズキの持つ「インドの強み」が如実に表れた決算になりました。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
日本国内も徐々に、生産回復。部品供給不足により4-6月期、生産台数は低迷。7-9月期は生産が上向き、コロナ禍前の水準に戻りつつあります。ただ未だにフル生産体制とはいえず、本格挽回にまでは至っていません。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
そして販売が大幅に落ち込んだ欧州。物流の混乱、部品供給問題によりハンガリーのマジャールスズキの稼働が大幅に低下、販売は前期比▲43.5%。アジアが中心といっても、欧州でも一定の需要はあり、今後スズキがコロナ前までの水準に業績を戻すには欧州の販売増も欠かすことはできません。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
また今回の決算では4輪、自動車以外の事業も好調。2輪、バイクは生産前期比+13.0%、販売+22.9%と大幅増。営業利益率も8.6%と高収益。

引用:スズキ「2023年3月期第2四半期決算説明会」より
マリン事業は過去最高の売り上げ、営業利益を記録。営業利益率はなんと27%。4輪、自動車以外でも儲けることが出来るのはスズキの大きな強みです。
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