【個人所有車は難しい?】自動運転っていつごろ、実現しそうなんですか?後編

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!第41号。システムがクルマを運転してくれる「自動運転」。個人が所有する車は果たしていつ頃実装が可能か。そして現状での自動運転の問題とこれからについて解説します
カッパッパ 2021.11.27
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今回のテーマは「自動運転」後編

皆さんの関心がより高いであろう個人が所有する車「パーソナルカー」の自動運転の現状と自動運転全体での問題点を取り上げます。

前編と合わせて読めば、自動運転の理解はばっちりです。

最後にここでしか書けない裏話も少し…

それではモビイマ!スタートです。

***

1.モビコラム

モビコラムでは、カッパッパが自動車業界最新トレンドを独自の視点と切り口で語るコラムです。かなり力を入れた内容で仕事/投資に役立つこと間違いなし!

***

パーソナルカーの自動運転は商用車とは異なる

前編では「Maas=サービス」、「トラック=商用車」について解説しました。

https://www.nomura.co.jp/el_borde/article/0009/
https://www.nomura.co.jp/el_borde/article/0009/

Maasや商用車であれば、用途及び使用地域が限定されるため、機能を絞り開発、実装を進めることが出来ます。現在、官公庁が支援している/実証実験を進めているのもこうした限定された用途、サービスです。

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20210430_01.pdf
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20210430_01.pdf

経済産業省と国土交通省の行ってきた「自動走行ビジネス検討会」の資料が↑。左の「これまでの実証プロジェクト」は商用車、サービスを前提としてパーソナルカーでの自動運転は含まれていません。

法整備などの国が定める要件検討は別途進められています(自動運転に係る制度整備大綱 )が、個人が所有する車「パーソナルカー」の開発は各企業が担っています。自動車メーカーのみならず、IT大手も含めた企業が自動運転の技術開発にしのぎを削り、その実装に向けて力を注いでいます。

パーソナルカーの現状=「高度なレベル2」

では現在販売されている「パーソナルカー」の自動運転はどこまで進んでいるのでしょうか。(↓の図でもう一度自動運転のレベルについておさらいしておきましょう)

https://aichi-its.jp/knowledge/glossary/autonomous-car/
https://aichi-its.jp/knowledge/glossary/autonomous-car/

今、現在一般の消費者が購入できるクルマに搭載されているのは「レベル2」まで。

実はホンダのレジェンドが日本で唯一レベル3を搭載している…のですが、普通の人が購入するにはハードルが高い(税込み価格は1100万円。当面はリースによる国内のみでの販売とし、台数も100台に限定)+「特定の走行環境条件」が法規制上ものすごく限られた条件(高速道路での渋滞時)になっているので一旦おいておきましょう。

「レベル2」はあくまでも「運転支援」。主体は「運転者」で運転の責任もドライバーが担います。ただこちら「レベル2」の自動運転はかなり幅が広く、各社が投入している新型車ではその機能がどんどん高度化しています。

レベル2の代表的な例としてはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)があります。

前走車がいる場合、センサーがそれを検知し車間距離を一定に保ちながら走る「追従走行」が可能です。また、前走車がいない場合は、ドライバーが任意に設定した速度を維持して走ります。
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-construction/subcategory-structure/faq069

実際に使うと運転者の負担をかなり減らす非常に便利な機能。以前からACCは搭載された車両が多かったですが、システムが安定しない/通常の人の運転だとあり得ない挙動をするなど、使いづらい点もありました。しかし、かなり最近ではその性能も向上の一途をたどり、運転はよりスムーズに、車線変更にも対応できる機能もつ車両もあります。

また駐車でもスイッチを押すだけでハンドルやアクセル、ブレーキを自動で制御して、ほぼ自動で車庫入れできるアシスト機能を各社が発売しています。

2021年末段階では自動運転の現状は「高度なレベル2(運転支援)」であると言えるでしょう。

テスラのFSDってどやねん

ここで良くネットで話題になる自動運転のトピック、3つを取り上げます。

1つ目はテスラのFSD(Full Self-Driving)です。まず注意なのは「Full Self-Driving」=完全自動運転と謳っているものの、内容は高度なレベル2であり、あくまでも運転車主体の「運転支援システム」であるという点です。確かにテスラのFSDはレベル2としては高度で運転を任せることのできるケースが多い+OTAでアップデートされ、日々改良が進んでいるという点で他社と一線を画しています。ただ「自動運転」であるレベル4にはまだまだ到達していません。

現在、FSDのβ番が特定のユーザー(安全スコアの高い運転者)に配信されていますが、これもあくまでもレベル2であって、運転者責任。ソフトウェアも完成したものではないため、一部では事故も起こる、不備があったために、アップデートを取り消すといった対応も行っています。

テスラの社長、イーロンマスク氏は2020年段階では

私は(自動車の)完全自動運転化を達成できる自信があり、来年にはテスラの顧客にそれを届けることができるだろう」
https://jidounten-lab.com/u_tesla-2021-fully-autonomous

と発言していたのですが、直近では

Elon Musk
@elonmusk
@BLKMDL3 Haha, FSD 9 beta is shipping soon, I swear!

Generalized self-driving is a hard problem, as it requires solving a large part of real-world AI. Didn’t expect it to be so hard, but the difficulty is obvious in retrospect.

Nothing has more degrees of freedom than reality.
2021/07/03 20:06
1136Retweet 17304Likes
「ハハ、自動運転ソフトウェアのベータ版はそろそろだよ!
広い範囲の自動運転は、いまあるAIのいろんな部分(の課題)を解決しなければならず、難しい問題だね。こんなに難しいとは思わなかったけど、あらためて考えてみるとこの難しさは明らか。現実よりフリーダムなものはないからね。」

と少しトーンダウン。「自動運転」はこの数年で搭載されることは難しいでしょう。

そしてテスラの運転システムで特徴的な点として、周囲の認知をカメラベースにて行う、「テスラビジョン」が採用されていることがあります。Lidar(light detection and ranging/光による検知と測距)を採用する自動車メーカーが多い中で、テスラはカメラでの認知にて自動運転技術を進めることを発表。人間は目で見て判断して運転していることを思えば妥当なのかもしれませんが、人が運転するのか、システムが運転するのかで操作の在り方そのものは大きく変わってくるはず。このカメラという決断が上手くいくのかも注目です。

個人的な意見としてはレベル2なのにも関わらず、「完全自動運転」を謳うのはいかがなものか+レベル2におけるドライバーの監視が十分でない(以前はステアリングを握っているかの感知で回避方法が多数あった)のがテスラで気になるところ。OTAでの更新と運転支援システムの向上は相性が良いので、その点はテスラ非常に有利で優れている。ユーザーもこの点に満足されている方が多いと思っています。

EVでないと自動運転はできない?

2つ目のトピックは「EVでないと自動運転はできない?

EV専業のテスラが運転支援システムで先行している、またEV新興のベンチャーが先進的な運転支援システムを搭載しているので、勘違いされがちなのですが、自動運転とEVの関係性は強くありません。現にレベル3のホンダ「レジェンド」はHEVであり、内燃機関のクルマでも自動運転は可能です。

EVになれば電子制御が多くなるため、自動運転との相性が良いと思われるかもしれませんが、現在の内燃機関も多くは電子制御。そしてEVになってもデジタルでなく、アナログの部分は残ります。

EVは現状値段が高いために、+αをつけないとユーザーの購入にまで至りません。EVに求められるのはいわば「ミライ」感(あと環境に優しいんですよ感)。新興ベンチャーはIT業界と近いことも多く、+αの部分として高度な運転支援システムが目玉となっていることが多いのです。

イーロンマスク氏は「完全な自動運転はEVでないと無理。」と発言していて、確かにレベル5くらいになれば、電子制御の割合の大きいEVの方が有利だと思うのですが、いかんせんレベル5はまだまだ先、20年以上はかかると思うので、現段階では「EV出ないと自動運転は無理」は誤り…というよりも過剰に言い過ぎだと思います。

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