【Vol.1】クルマのイマがわかる モビイマ!
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クルマのイマがわかる「モビイマ!」
Vol.1
( 2021年5月31日発行 )
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ご安全に!
ニュースレターをご購読いただき、ありがとうございます。
これまでtwitterやnoteを中心に自動車業界の情報を発信してきたカッパッパ。
ニュースレターを通じて、より密度の高い情報をお届けすることにしました。
クルマのイマがわかる「モビイマ!」
今回はその創刊号となります!
EVや自動運転に代表されるCASE、カーボンニュートラルへの対応など100年に1度の変革期を迎えている自動車業界。
そんなクルマの最新ニュース/トレンドをわかりやすく、詳細に解説。
さらに知っておくと周りと差がつく、おすすめレポ、書籍や明日人に話したくなるクルマの豆知識も紹介します。
「モビイマ!さえ見ればあなたも自動車通‼︎」をテーマに毎週月曜朝7時に発信します。
Twitterやnoteでは書けない個人的な裏話もお話できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【今週のクイズ】
Amazonからの受注も決定しているポストテスラの筆頭、米EVベンチャーの「Rivian」。現在工事の進んでいるイリノイ州の工場は、元々はとある日本自動車メーカーの工場でした。そのメーカーとは?
答えはニュースレター、一番最後にて。
【目次】
1. Weekly Mobility News
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まだまだ続くよ、半導体供給問題
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トヨタ、24時間耐久レース参戦
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今週のテスラ
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その他のニュース
2. Mobility Insight Report
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乗用車の最近の市場動向
3.クルマ・マメチシキ
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セグメント
4.カッパッパの今週の1冊
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日本車は生き残れるか (講談社現代新書)
5.余談:ヘノヘノカッパッパ
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ニュースレターを始めようと思ったわけ
1. Weekly Mobility News

Weekly Mobility Newsでは、自動車業界1週間の注目ニュースや記事を紹介し、Twitterよりも深掘りした情報・視点を発信します。
自動車業界の最新トレンドはこれさえ読めば大丈夫!
まだまだ続くよ、半導体供給問題
2021年になってから問題が本格化した半導体供給不足問題は現在もまだ解消されず、6月も生産に大きな影響が出ています。
これまで影響の少なかったトヨタが減産。他の日本メーカーでは日産や三菱、スズキ、ダイハツが減産を表明しています。需要があるにも関わらず、車が作れず、納期は非常に伸びています。例えば人気の「ヤリスクロス」であれば、現在申し込んでも納期は11月、先日発売となったホンダ新型「ヴェゼル」に関しては納入は年明けになってしまうといったほど。うーん、長い。
日本以外各社でも以前半導体供給不足は続いて、VWやGM、Ford等も5月は世界各地の工場で稼働を止めています。(6月から一部生産再開)
世界的な半導体供給については
「2021年も厳しい供給難の状況がおおむね継続するが、同年10~12月頃からは不足感が緩和されていくと予想している。2022年は年間を通して在庫水準は安定に向かう可能性が高い」
と秋以降の回復になりそう…
日本メーカーは世界的な半導体供給不足とは別に、ルネサス那珂工場の火災があり、より需要はタイト。復旧はできたものの、スケジュールで行けば在庫が少なくなる時期であり、しばらくは在庫が厳しい状況が続くと思われます。

ルネサス エレクトロニクス
決算発表では各社が半導体供給問題での減産を織り込むものの、通期の生産計画は維持しており、このままいくと半導体の供給が戻るタイミング、下期での生産が増えそうです。
また今後自動車に搭載される半導体は増える一方。世界では需要の確保のために国が主導として確保する動きが顕著に。日本でも政府が動き出して供給確保、サプライチェーン構築に向けた動きを行っていますが、日本だと、なんとなく政府主導だとうまくいくんでしょうかどうなんでしょう。ちょっと心配…
トヨタ水素エンジンで24時間耐久レース参戦
このニュースを聞いた時、「水素エンジン、まだお前生きていたのか!」と思ったのが正直なところ。水素エンジンは水素を燃料として内燃機関で動かす車。現在MIRAIなどに搭載されている、水素を電力に変えて駆動する燃料電池車とは、全く構造が異なります。内燃機関のエンジンを、そのまま活用することができるため、もし可能になれば、エンジンの技術活かして、カーボンニュートラルが可能。脱炭素の選択肢が広がります。2000年代前半にマツダやBMWが開発を進めていましたが、水素は、理論空燃比で燃やした時の発生エネルギーがガソリンの半分程度、馬力がないなどの要因で途中で頓挫。現在は開発が進められていないものだと思っていました。
水素エンジン、まだまだ開発中で量産の見込みはなく、燃費はとても悪いです。今回のレースでもMIRAIの水素タンクを無理矢理4つ、カローラスポーツに乗せて参戦しています。ただ無事にレースを完走、その中で技術のTRY、確認、そしてトヨタが本気で開発に臨んでいること。これらは水素エンジンがカーボンニュートラルへの1つの選択肢になることを示したと思います。

チームオーナーであり、
トヨタの社長であり、
自工会会長でもあり、
そして、
ドライバーでもある
#モリゾウ こと豊田章男も
公式Instagramで
改めて想いを綴っています。
instagram.com/p/CPSrMBJNGDx/…
#S耐 #富士24時間
#水素エンジン #カローラ #Hydrogen
なお、トヨタとは関係ないですが、今回の24時間耐久レースで面白かったのは、このツイート。

労働規則守るis大事。
今週のテスラ
時価総額世界最高の自動車メーカー、テスラ。
なんだかんだでみんな大好き(テスラニュースは伸びが良い)、ニュースには事欠かない。ここでは1週間のテスラニュースを振り返ります。
テスラ、ビットコインで大損?

テスラの「ビットコインでの決済を中止」「環境に負荷がかかるためビットコインへの扱いを見直す」報道を機にビットコインが急落。テスラは前期ビットコイン購入していたため、価格差が損害となり、その損害額は1Qの利益よりも大きく。
イーロンマスクさんのTwitter一つで簡単にビットコインは上下してしまうので、本当にテスラがまずくなれば何かしら上げる動きに動くのではないでしょうか。いや、仮想通貨、はたして、そんな値動きで良いのかどうなのか問題はあると思っています。
テスラ、北米生産モデル3/Y レーダー非搭載へ
もともとカメラによる自動運転を進めていたテスラですが、今月生産分の北米モデル3、モデルYからはレーダーが一部非搭載であることを発表しました。これからは「テスラビジョン」カメラのみでの自動運転がベースになります。
レーダー有と無ではソフトウェア、運転の挙動が違う気がするのですが、一体どのようにして対応するのか。(中国生産分はレーダー有)。気になるところです。
半導体不足でテスラが1部の車種を部品なしで組み立てて、保留にしサービスセンターに送っている報道もあり、このレーダー廃止は、実は半導体不足によるものと関係しているのではないかと邪知したくなります。

"Tesla is stuck with over 10,000 cars on factory hold, resulting in a logistical nightmare - Electrek" electrek.co/2021/05/18/tes… Tesla is stuck with over 10,000 cars on factory hold, resulting in a logistical nightmare - Electrek Tesla has over 10,000 electric cars that came out of Fremont electrek.co
一方でテスラがのLiDARメーカーと契約を結んだ報道もあり、一体どっちやねん(仮想通貨も含む)。
今週のその他気になるニュースやツイート

①ナイロンは自動車に直結
②ナイロンの素原料は世界の4社が牛耳っている
③寒波やコロナでサプライチェーン崩壊
サプライチェーンの崩壊がこれ程、綺麗に実現してしまう事はそうない
2. Mobility Insight Report

Mobility Insights Reportでは、Web上で無料で読める自動車関連のおすすめレポートを紹介します。ニュースより一歩踏み込んだ情報に触れ、周りと一歩差がつく。
これであなたも自動車通!
一見やる気のないタイトル(失礼)「乗用車の最近の市場動向」なんですが、中身は充実しています。
世界全体の動向を踏まえたうえで、欧米、中国、日本の各市場を分析。その切り口が素晴らしい。販売車のタイプ別の乗用車販売動向(SUVやセダンなど)に加え、燃料消費率、CO2排出量も記載。タイプの定義についても詳しく解説しており、痒い所に手が届く細やかさ。CO2排出量を国ごとでまとめた資料はあまりなく、とても参考になります。レポを読めば分かるのですが、アメリカのCO2排出量350g/kmと抜きんでていて、さすがピックアップトラックが一番売れる国。(欧州の2.9倍)本当に温暖化考えるなら、まずここから手を付けるべき(重点志向)。
それにしてもやはりセダンは売れなくなってきているのだな…クラウン生産中止の報道がでるのも納得できる…
カーボンニュートラルでCO2排出が注目される今、世界の市場動向を知るうえで、ぜひチェックしたいレポートです。
3.クルマ・マメチシキ

このコーナーでは、知っておきたい自動車業界用語や、明日人にしゃべりたくなるクルマの豆知識を紹介します。
雑談のネタにぜひご活用を!
【セグメント】
主に欧州で使用されることの多い車の分類。A〜EとLに区分される。区分の基準は、全長だったり、排気量だったり、会社によってまちまち。日本語で「車格」に相当する言葉。
同じセグメントだと競合車種。Aが小さく、日本だと軽自動車。Bはコンパクトカー、トヨタ「ヤリス」、日産「ノート」、ホンダ「FIT」など。Cは後席にゆとりを持たせたサイズ。トヨタ「カローラ」など。Dは多人数での運用を快適にこなせるクルマで、ホンダ「アコード」など。Eは後席居住性が前席と同じように高いパーソナルカー。ベンツ「Eクラス」など。Lは高級車になります。セグメントの中でも、プレミアムとされる車種があるなど、ややこしいのですが、自動車メーカー各社の戦略を見る上でよく出てくる言葉です。今はやりの自動車生産でのプラットフォームの共通化でも頻出。
日本だとサイズは、セグメントより「軽か普通車」「3ナンバーか5ナンバー」の括りや立体駐車場に入る「高さ1550mm・全幅1850mm」が重要視。人気のSUVは立駐入らないんですよね…悩ましい。
4.カッパッパの今週の1冊

自動車関連や仕事術、自己啓発本などをカッパッパの独断と偏見で紹介します。
面白そうだなと思ったら、ぜひ読んでください。
ガソリン車の廃止 世界規模の再編
日本経済の大黒柱は大丈夫か
世界の自動車産業を知り尽くすコンサルタント・ジャーナリストの描く未来
5年後の日本を走る車は……?
忖度なしに「自動車業界」の現状を描く
2021/5/19刊行、最新の世界自動車動向がわかる良書。
第1章で世界全体のCASEを踏まえた自動車業界のトレンドをまとめ、、アメリカ(第2~3章)、欧州(第4章)、中国(第5章) と地域別に分析。それぞれの地域の動向、キーになるメーカーがいかにCASEに適応しようと努めてきたかを記載。そして第6章で日本自動車業界の課題、これから何が必要かが語られます。
これだけは誤解のないように最初に申し添えておくが、本書の執筆は、「欧米では……それに比べて日本では……」という、欧米に比べていかに日本が駄目なのかということを語るような、いわゆる「 出羽守」が目的では断じてない。そうではなく、日本の自動車産業も一刻も早く、垂直統合のモノづくり至上主義から脱却し、水平分業まで視野に入れた上で、モノづくり以上の付加価値を生み出すことで〝日本経済の大黒柱〟であり続けてほしいからこそ、書いておきたい
の言葉のとおり、各地域の分析は冷静で、EVを過激に推進するといったことはなく、現状に即した内容。そして各主要メーカ―の記述、選び方が秀逸。完成車メーカーだけなく、IT系や部品メーカーにも焦点。特に個人的に興味深かったはアメリカの「アプティプ」、IT欧州ではメガサプライヤー3社。正直「アプティプ」は本書を読むまでは名前すら知らなかったのですが「ティア0」を目指す自動車部品メーカーで非常に面白い位置づけ。興味のある方は本書を読んで確かめてほしいと思います。
第6章の日本自動車業界への提言は非常に辛辣。
①まず社会的な問題や課題を見据え、②解決に向けたコンセプトを明確にしてから、③コアコンピタンスとなるであろう技術に特化して開発を行い、④その他は国内外の他社と手を組んだり、買収したりするなどしていく──そうした手法を構築してこそ、世の中に必要とされる事業を開拓することができる
はまさにその通り。
他海外企業と比べ、完成車/部品メーカー含め、CASEへの対応が鈍重である点や「日本自動産業の5つの弱み」も大変痛いところを突いています。「モノづくり信仰」や「メカ屋至上主義(電気・材料・ITエンジニア軽視)」は思い当たる節がありすぎて、読んでいて苦笑い。
ただ作者も自覚的ではあるのですが、どう対応すべきかはいささか現実味を欠いています。垂直統合にこだわらず、水平分業のビジネスモデルに移行、部品メーカーは「系列」を脱却すべきは、確かにそうかもしれませんが、現在の株式などの提携や役員の派遣状況見ると、むしろ強化する方向。水平分業に積極的なのは、今の自動車業界「系列」外のメーカー、日本電産などで、今後業界の中でプレイヤーが変わるのでは思いました。
自動車業界への、現段階の最新情報での冷静な現状分析と提言、そして日本自動車産業が好きな思いが伝わってくる大変良い本。この本さえ抑えれば、自動車産業全体図を俯瞰できます。自動車業界に関心のある方にぜひともおすすめの1冊です。
5.余談:ヘノヘノカッパッパ

100%私的なtwitterやnoteでかけないよもやま話。皆さんの役には立たない「チラシの裏」。ご興味がある方のみ、お読みいただければ
いやはや、創刊号のため気合を入れて書きすぎました。多分次週からはもう少し分量がすくないです。継続こそが力。力こそパワー。文量は少なくても、毎週発信していけたらと思います。
さてはて、なぜ今回ニュースレターを始めたのか。Monoistさんで担当の編集さんが週単位でニュースをまとめ、個人の感想、思いをつづられている連載「自動車業界の1週間を振り返る」が好きで自分でもやってみたかったのです。
読んでいて自動車愛が伝わる内容。素晴らしい文章。
元々Twitterだけだと、文字数の制限で上手く伝わらない、noteはちょっといろいろと…そして記事としてまとめると文体が硬くなりがちで、もう少しゆるく書きたい。
そんな中で見つけたプラットフォームが the Letters。「ニュースレター、なにこれめっちゃええやん」と思って今回筆を取った次第です。
自分で言うのもなんですが、自動車業界の方には役立つニュースレターになっているのでは?と思います。やったからにはたくさんの人に読んでほしい。購読者1000人を目標に頑張ってみようと思います。
これからみなさん、よろしくお願いします。
【今週のクイズの答え】
Amazonからの配送バン、受注決定しているポストテスラの筆頭、米EVベンチャーの「Rivian」。現在工事の進んでいるイリノイ州の工場は、元々はとある日本自動車メーカーの工場でした。そのメーカーとは?
→正解は④三菱自動車でした。
MMNA(ミツビシ・モーターズ・ノース・アメリカ・インク)として『アウトランダー・スポーツ』(日本名:RVR)』の生産などを行っていたのですが、生産が低迷。2015年に閉鎖し、その後Rivianが工場を買取りました。Rivianいつごろ本格的に立ち上がるのか、楽しみなメーカーの一つです。
最後までお読みいただきありがとうございます!!
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