【大企業同士のガチ対決?!】日本製鉄、電磁鋼板の特許侵害でトヨタを提訴へ_モビイマVol.30

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!第30号。【ニュース】日本製鉄がトヨタを特許侵害で提訴。日本を代表する大企業が法廷で争うという異例の事態に。なぜここまで話はこじれてしまったのか。経緯と今後について詳細に解説します。他、ホンダの中国EV戦略/日産スマートファクトリーなど今回も盛りだくさんの内容!
カッパッパ
2021.10.18
読者限定

ご安全に!

10月になってからも夏日が続き、一体いつになったら涼しくなるんじゃいと思ったら、急に寒くなって、もう少し手心を…という気持ちに。乙女心と秋の空というように変化はかなり激しいので、体調には気を付けてやっていきましょう(子どもが風邪ひかないと嬉しいのですが)

では「モビイマ!」Vol30スタートです。

【目次】

1. モビニュース!

  • 大企業同士のガチ対決?!日本製鉄、電磁鋼板の特許侵害でトヨタを提訴へ
  • ホンダ、中国でのEVシフト戦略発表!2030年にはALL電動化!
  • 今週のテスラ

2.モビカイブ

  • 最新の工場を見てみよう!日産スマートファクトリー!!

3.余談:ヘノヘノカッパッパ

  • 「コレナンデ商会」EVA回

1. モビニュース!

「モビニュース!」では、自動車業界1週間の注目ニュースや記事を紹介し、Twitterよりも深掘りした情報・視点を発信します。自動車業界の最新トレンドはこれさえ読めば大丈夫!

***

大企業同士のガチ対決?!日本製鉄、電磁鋼板の特許侵害でトヨタを提訴へ

www.jiji.com
日本製鉄は14日、電動車に関する同社の特許を侵害したとして、トヨタ自動車と中国鉄鋼最大手・宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄を東京地裁に提訴したと発表した。両社にそれぞれ約200億円の損害賠償を求めるとともに、トヨタに対し対象製品を使った電動車の製造販売差し止めの仮処分を申し立てた。

日本製鉄VSトヨタという日本を代表する大企業がまさかの訴訟ガチ対決。中国、宝山鋼鉄の電磁鋼板の特許侵害でトヨタも巻き込んで提訴。しかも損害賠償だけでなく、販売差し止めの仮処分も申し立て。かなりの異例事態に驚きの声が上がっています。

今回、特許の侵害で問題になったのは「無方向性電磁鋼板」。こちらがどのような鋼材なのかというと『鉄の磁石につく特性(磁気特性)を著しく高めた「高機能材料」』。通常の鋼材どうしても特定の方向に偏った磁気特性を持ってしまいます。しかし、「無方向性電磁鋼板」は鋼板の面内でできるだけランダムに結晶方位をコントロールすることで磁気特性が偏らないようにした特殊=高機能鋼材です。

電動車の主要パーツ、モーター。主要な部品であるロータ、ステータはこの電磁鋼板が重ねて作られます。HEV、BEVに使用される高機能、主要鋼材の1つ

https://motor-fan.jp/mf/article/18254/
https://motor-fan.jp/mf/article/18254/
car.motor-fan.jp

この電磁鋼板の技術開発力において、日本製鉄は世界トップランナー付加価値の高い電磁鋼板は稼ぎ頭であり、利益の上がる非常に重要な技術。しかも今後の需要は数倍にも増える見通し。それが他社で特許侵害、かつ大口顧客であるトヨタに採用されているとなれば日本製鉄も黙っては入れられなかったのでしょう。

実はこの電磁鋼板は日本製鉄がすでに特許侵害で訴訟を起こしたケースがあります。2012年、製造技術を不正に取得して使用したとして、元従業員とポスコに賠償金を求めて提訴。和解金300億円を支払いという結果に。実は前回の訴訟、①ポスコ、宝山鋼鉄を電磁鋼板の特許侵害で訴える、②日本製鉄「そもそもうちの技術やないか」➂日本製鉄、ポスコを訴えるという3段階になっています。元日本製鉄の技術者が内部情報をポスコに漏らす⇒更に宝山にも技術流出…というルート。かなり前段階から技術流出自体はわかっていたという。

そうした経緯がある中でも、トヨタは2020年に電磁鋼板を宝山から買うことを決定。しかも、中国での使用にとどまらず、国内にも輸入…日本製鉄が怒るのも納得。

ただ、トヨタの公式リリースにあるように

弊社では、様々な材料メーカーとの取引にあたり、その都度、特許抵触がないことを材料メーカーに確認するプロセスを丁寧に踏んでおります。当該の宝山鋼鉄股份有限公司製の電磁鋼鈑につきましても、取引締結前に、他社の特許侵害がないことを確認の上、契約させて頂いております。その旨は、書面でも提出頂いております。

「材料メーカー同士の話でなんでうち巻き込まれるねん」もわかるのですが、ただ今回の特許侵害は鋼材の成分や特性の特許であり、日本製鉄側からすれば「宝山の出す成分、スペック見ればうちの特許侵害していることはトヨタさんならわかるでしょ」という論理も通る+「日鉄は、それぞれと協議をしてきたが、問題の解決に至らなかった」とにっちもさっちもいかなくなったので、ついに訴訟に踏み切った格好でしょうか。販売停止の仮処分も申し立てするあたり、かなり怒り新党なのが伝わってきます。

トヨタと日本製鉄という日本を代表とする巨大企業がこうして訴訟に踏み切るのは極めて異例であり、事業への影響が出ないかが気になるところ。落としどころとしては和解した上で、ライセンス契約を結ぶ…あたりになるのかもしれませんが、そうすると値段が上がるのでそもそも宝山を選んだ理由がなくなってしまうことに。頭を下げて日本製鉄に増やしてもらうなんてことになるのか、ただこれだけ関係悪化するとそれも可能なのか。鋼材の価格改定でもこれまでにない値上げで決定した今期、自動車⇔鉄鋼メーカーの関係性がこれまでとは違う緊迫したものに変わっていくのかもしれません。

ホンダ、中国でのEVシフト戦略発表!2030年にはALL電動化!

www.sankei.com

日本の完成車メーカーの中でも最近EVシフトへの早期対応を示しているホンダ中国での具体的な戦略が発表されました。

・2030年以降、中国で新たに投入する四輪車はすべてハイブリッド車やEVなどの電動車とする
・中国初のHondaブランドEVとなる「e:N」(イーエヌ)シリーズを、5年間で10車種発売中国からの輸出も視野に展開予定
・第1弾「e:NS1」「e:NP1」をそれぞれ、東風Hondaと広汽Hondaから2022年春に発売
・3つのコンセプトモデルは5年以内の発売を目指して開発中
・既存店舗を活用したe:Nシリーズコーナーの設置や、主要都市での将来的なe:N専売店の展開など、本格的なEV事業展開に向けた販売網を拡充
・広汽Hondaと東風Hondaそれぞれ新たなEV工場を建設。2024年の稼働開始を目指す
・全方位安全運転支援システム「Honda SENSING 360」を2022年に中国から適用開始。順次グローバル展開し、2030年までに中国を含む先進国で発売する四輪車全モデルへの適用を目指す
https://www.honda.co.jp/news/2021/c211013b.html 公式リリースより

純ガソリン車の2030年以降の廃止や新工場の建設などかなりEVシフトをにらんだ、かなり前のめりな内容になっています。本当にこの1年で脱炭素⇒EVシフトの流れは加速し、日本のメーカーの中ではホンダがいち早く対応、方針をしてしている印象です。

世界最大の自動車+EV市場の中国。「中国でリードする車をつくれば世界で通用する」との考えのもと、まずは中国から積極的にEV化+最新技術を投入していく模様。

気になったのは「今後5年間で10車種を発売し、輸出も視野に展開する予定」と中国からの輸出も戦略に入っている点。これまでは基本中国製は中国市場のみでの販売でしたが、他の国へ輸出するとは少し意外。新工場の建設もあり、グローバルで再編していく中で中国での生産に集中していくということなのかもしれません。

https://www.honda.co.jp/news/2021/c211013b.htmlより
https://www.honda.co.jp/news/2021/c211013b.htmlより
https://www.honda.co.jp/news/2021/c211013b.htmlより とってもヴぇゼルっぽい
https://www.honda.co.jp/news/2021/c211013b.htmlより とってもヴぇゼルっぽい

ちなみに今回発表となった新型EVのe:NS1とe:NP1は小型SUVっぽく、全世界で人気のカテゴリー。テスラのモデルY、日産アリアあたりが競合でしょうか。デザインカッコよくて好きです。

生産面では、2024年の稼働開始を目指し、広汽Hondaと東風Hondaのそれぞれで、高効率で環境に優しいEV工場を新たに建設し、生産体制の強化を進めます。
 また、電動化をスピーディーに実行していくうえでの鍵となるバッテリーについても、戦略パートナーであるCATLとの協業を加速し、高い競争力をもつバッテリーの供給体制を一層強化していきます。

少なくてもEV専用2工場建設とかなりの投資、本気度が見える内容。「バッテリーではCATLと協業」とあって、北米のGMと共同開発するEVと中国での生産EVは異なる車種、仕様になっていく可能性が高そう(北米はGM共通プラットフォームを使う前提で、GMはLGと手を結んで「アルティウム」バッテリーを使う予定…のはず)。

car.watch.impress.co.jp

最後に運転支援システムの「ホンダセンシング360」レーダー5つ+カメラとかなり豪華な仕様。基本レーダーというかLidarはお値段が張るので、コスト的にお安くできるのでしょうか。心配です。レベル3をすでに実現しているホンダですが、こちらはあくまでも高機能のレベル2、人が主体となって運転する運転支援という位置づけ。ただし、「衝突軽減ブレーキの進化」「前方交差車両警報」「車線変更時衝突抑制機能」「車線変更支援機能」「カーブ車速調整機能」と日常の運転負担を大きく減らす+安全強化につながった機能になっているので、実際に使うとかなり運転が楽になりそう。試乗してみたいなぁ。

これまでEVというイメージがイマイチなかったホンダですが、直近では日本のメーカーの中で一番EVシフトを鮮明にしています。中国を皮切りに今後世界での戦略も発表していくと思われ、今後も要チェックです(にしても、日本は本当に後回しかつ中国からEV輸出されてきそうだな…)

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