知って差がつく!「中国」 クルマおすすめ本/レポ紹介モビイマ!【Vol.17】

自動車業界の最新ニュース解説、おすすめレポ、本を紹介するニュースレター、モビイマ!第17号。【おすすめ本】「2030 中国自動車強国への戦略 」【おすすめレポ】「 中国産業概観 【中国自動車業界リポート】」
カッパッパ 2021.08.19
読者限定

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( 2021年8月19日発行 )

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ご安全に!

お盆休み明けでなかなか仕事のペースが上がらない…

天気も悪く、マツダが大雨で操業停止になったというニュースもありました。コロナ感染拡大も続き、なんとなく憂鬱な日々。

とそんな中でも自分の持ち場でできることを一つ一つやっていくしかありません。やっていきましょう。(頑張りすぎない範囲で)

今回のテーマは世界最大の自動車市場「中国」。いろいろややこしい国ではあるのですが、もはや日本メーカーでは日本よりも中国の販売台数が多い時代。今後も需要拡大が見込まれるだけに業界関係の方は動向を見ておかなくてはいけません。今回紹介している本/リポートは実務に大変役立つものとなっているので、ぜひ読んでみてください。

それでは、今週木曜のモビイマ!スタートです。

【目次】

1.カッパッパの今週の1冊

「2030 中国自動車強国への戦略 世界を席巻するメガEVメーカーの誕生 (日本経済新聞出版)」

2.クルマ・マメチシキ

「合弁会社」

3.Mobility Insight Report

「中国産業概観 【中国自動車業界リポート】」

***

1.カッパッパの今週の1冊

自動車関連や仕事術、自己啓発本などをカッパッパの独断と偏見で紹介します。

面白そうだなと思ったら、ぜひ読んでください。

***

本書は、中国の自動車強国戦略の実態を解明し、2030年に到来する中国のモビリティ社会のシナリオや日本自動車関連企業のあるべき姿を大胆に議論します。
中国政府は自国の製造強国戦略、「中国製造(メイド・イン・チャイナ)2025」の中で、自動車産業の成長こそが先進国にキャッチアップするためのキーになると位置づけ、「2025年に世界自動車強国入り」する、との目標を掲げています。過去100年にわたり形成されてきた世界の自動車産業構造を変革しようとする中国政府の“戦略”は、電気自動車(EV)を核とする“新エネルギー車革命”で自動車産業のパラダイムを転換させようとする大胆な試みです。それは今後日本の自動車産業界にも甚大な影響を及ぼすこととなります。
EV、コネクティッドカーなど次世代モビリティ関連の書籍は多数発売されているものの、中国のEV革命に伴う自動車産業政策の変化、電池・新興EVメーカー、自動運転、スマートシティの動向全体を俯瞰する書籍は皆無です。本書は中国で進められているEV革命の全体像と日本へのインパクトがわかる待望の本です。

世界最大の自動車市場「中国」。年間2500万台(日本の5倍以上!)が販売される市場は国の政策により、その時々で大きくトレンドが変わります。

数ある自動車関連の本で「中国」に焦点を絞り、その現状、そしてこれからの動向をまとめたのが本著。自動車関連で中国に関わる方はぜひとも読んでおきたい1冊。

この本の特徴は「中国政府が推し進めるEVがいかなるものかを中心に解説し、その上で日本メーカーがどう立ち向かうべきか」が示されている点。

「なぜ中国がEVを推すのか/中国の自動車を含めた製造業戦略/現状での中国企業の技術力/EV市場・各プレイヤーの現状/EVの要、電池はどうなっているか/自動運転/2030年の市場予想/日本メーカーの在り方」

このように抑えるべきポイントを網羅的に抑え、かつそれぞれが統計データ、固有名詞を出して解説しており、この本さえ押さえれば基本の中国動向を掴むことができる。ただ、解説部分が割と多く、少し退屈なのが難点。

 中国は政策による市場動向の変化が他国に比べ、非常に大きいため政府の意向をいち早く把握することが何より大切。実際の社会動静(直近だとコロナや欧米のEV加速化)により、中国政府の規制は修正されていくが、本著は前提となるEV化によって「中国政府が目指す姿」を明確にしており、その前提を知っておけば政府が次にどんな手を打ってくるのかも予想しやすくなる

 実は日本メーカーの販売台数は中国>日本。日本メーカーにとって今後重要度が増す市場でいかなる戦略をとるのかは経営へ大きな影響を与えます。自動車関連で働く人はこの本の内容と自分の会社の戦略をみて、どのように中国へアプローチしようとしているのか確認すると良いでしょう

個人的にこの本の細かいところで気になったところを挙げると

品質向上を支えるのは、人材の質の高さである。曽会長自身が物理学博士号を持つ技術者であり、業界トップレベルの研究開発体制を構築しようとしている。海外で活躍する超一流の技術者を高待遇で中国に迎え入れる政府の「千人計画」を活用しながら、優秀な人材を獲得している。最高技術責任者(CTO)のロバート・ガリエンは、GMやデルファイを渡り歩いた米国の電池研究の権威であり、CATL技術開発トップの梁成都副総裁は米国のオークリッジ国立研究所の研究員を経験した電池材料の専門家でニューヨーク大学大学院修了後、故郷に近い大手自動車メーカーからのオファーを断り、2016年からCATL本社に勤めている。

TOPが専門的な一流の技術者なのは強い

現在、中国の新興企業の間では、「996」という当たり前の働き方が国内のマスコミに取り上げられている。この3桁の数字は、朝9時から夜9時まで働き、それを週6日行う

高給の代わりに厳しいパフォーマンスが求められるのですが、これを一流の頭の良い技術者にされたときに日本メーカー勝てるのかな

今後、日系サプライヤーは、中国ビジネスのリスクを考慮した上で非日系を含む他社と連携して、モジュール部品事業(自社の製品と日系他社の製品の組み合わせ)へと転換し、非日系納入先向けの提案力の向上も図っていく必要がある。  特にEVシフトにより、これまでのピラミッドの中から日系サプライヤーが抜け出して、中国地場企業と提携することも可能になり、独立系の部品メーカーであっても、飛び込んでいく形で中国企業と取引することもできるようになる。一方、中国地場自動車メーカーとの取引拡大に関心が高いものの、採算が合わず、かつ代金回収期間(6カ月超)が長いなどの理由で、取引を躊躇しているサプライヤーは少なくない。また、中国地場企業との提携による技術流失の懸念も依然として存在している。今後、日系企業は知財権の保護に関する対策を最大限に取りつつ、地場企業と相互に有益な形での関係構築を図るべきであろう。

 日本部品メーカーにおいても非常に重要である中国市場ですが、商習慣のややこしさ、契約後の数量の確からしさなど不安な点も多く、なかなか手を出しづらい…ですが、拡大のペースを考えると市場としては大変魅力的であり、進出できるか否かが今後の運命を分けるかもしれません。

 この本の欠点としては「発売日 ‏: ‎ 2019/10/16」のため、直近加速しているEVの動向が織り込まれておらず、現状がかなり変わってしまっている点。では、最新情報はどうすればよいのか。それは「3. Mobility Insight Report」にて!!

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続きは、1639文字あります。
  • 2.クルマ・マメチシキ
  • 3. Mobility Insight Report
  • 【週の半ばの独り言】

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