【徹底解説:自動車メーカー決算①】三菱自

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今週は「各自動車メーカーの22年3月期決算」を解説します。TOPバッターは三菱自動車。アウトランダーが好調な三菱自動車の業績はいかに。
カッパッパ 2022.05.11
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残業代は増えても自分の懐に入ってくるお金は変わらない。お小遣い制のカッパッパです。

GWの長期連休も終わり、今週は完成車メーカー決算発表週間。各社の業績がいかなる状況にあるのか。そして2022年通期見通しではどんな予測が立てられているのか。どこよりも詳しく解説します。

2022年3月期 決算発表スケジュールと業績見通しまとめ
2022年3月期 決算発表スケジュールと業績見通しまとめ

まずTOPバッターは三菱自動車。前年の落ち込みが激しかったため、前年比プラスは間違いないのですが、果たしてその幅がどの程度なのか。そして2022年の通期見通しはどの程度を予測しているか。

1.3年ぶりの黒字転換

三菱自動車工業は5月10日、2021年度通期(2021年4月1日~2022年3月31日)の決算を発表した。 
2021年度の売上高は前年同期(1兆4555億円)から5834億円増となる2兆389億円、営業利益は前年同期(-953億円)から1826億円増の873億円、営業利益率は4.3%、当期純利益は前年同期(-3123億円)から3863億円増の740億円。また、グローバル販売台数は前年同期(80万1000台)から13万6000台増の93万7000台となった。

2019~2020年度3月期決算が赤字だった三菱自動車。2021年度3月期は黒字へ転換。売り上げは前年比+40%、2兆389億円。営業利益は前年比+1826億円増、873億円、営業利益率も4.3%と自動車メーカーとしては十分な数字。大幅に業績が回復した決算となりました。

4/28に上方修正が出されていたため、大きなサプライズとはなりませんでしたが、これまで赤字に苦しんでいた三菱自動車が黒字転換、営業利益率も4.0%を超えたことは日本自動車業界にとって明るいニュースです。

ただ具体的にその中身を見ていくと手放しで喜べる内容ではありません。

営業利益がどのように改善されたのかを見ると一番大きいのは「販売台数の回復」。三菱自動車は2020年度の落ち込み幅が非常に大きかったため、2021年度は+17%。前年からの伸び具合は他社より大きく、台数の伸びが業績(売上、営業利益)に大きな貢献を果たしています。構造改革で230億円のプラスを成し遂げていることも大きいです。ただ企業の実力以外の要因、為替による伸びも非常に大きく+538億円。円安の追い風が吹いて、業績が上向いたことは覚えておくべきです。

そして注目は「コスト低減等」で原材料価格で△598億円、輸送費で△18億円となっている点。原材料、物流費高騰は自動車業界にとって非常に大きなコスト負担になることが予想されていました。やはり決算を見るとかなりの重荷になっていることは間違いありません。

販売台数の地域別推移をみると、伸びているのはASEAN(豪州含む)と北米。ルノー/日産とのアライアンスでASEAN担当の三菱自動車。ブランド力、新型車の販売により販売を伸ばした結果が明確に表れています。北米は新型アウトランダーが好調。その需要分、販売を増やしました。

2.意外?2022年度は横ばい

好調な2021年度決算を踏まえて、一気に右肩上がり…と思いきや、2022年度の通期見通しはほぼ横ばい。売上は2511億円のプラスとなっているものの、営業利益は+27億円と2021年度と同程度、営業利益率は△0.4%を微減。

2021年度は確かに前年と比べれば大幅に改善はされましたが、コロナ前の2018年度までには売上、販売台数共に達していません。半導体供給問題による生産調整が続いており、バックオーダーも溜まっているため、2021年度よりも販売が増える…と考えていたのですが予想外の展開。なぜ横ばいになっているのか、その理由を見ていきましょう。

ほぼ2021年度=2022年度のの要因、「販売台数がほぼ同じ」ため。21年度、937万台に対し22年度見通しは938万台。半導体供給問題が解消されることで生産量が増えると思われていたのですが、三菱自動車は今年も厳しい状況が続き、本格回復は難しいとみていいます。また地域別にみると欧州が△53%と大きく減ロシアウクライナ侵攻の影響が販売に与える影響が大きい+欧州事業はそもそも採算が悪い…ルノー/日産とのアライアンスでもルノー担当であり、徐々に手を引き始めているのが決算資料から読み取れます。

そしてもう一つ着目しておきたいのは、「原材料価格/輸送費の高騰」です。2022年度の通期見通しでは「原材料価格」が△793億円、「輸送費」が△155億円、合計で948億円、利益を押し下げる要因に。売上、2兆9000億円から考えると、4%。単純に考えれば300万円のクルマで12万円コストが上がることに。そもそも利益率の高くない自動車業界。「そりゃ、テスラに代表される海外メーカーは値上げするわ」が大変よくわかる数字になっています。

また想定レートは1ドル=122円。現在が130円なので8円の差があり、大きく差が開いているため、実際の変動により業績が変動する可能性が高いと言えます。基本的には輸出が多いため、業績にとってプラスとなるはず…ですが、原材料は輸入されるものが多く、これまでと同様に一概に「円安=業績プラス」と言えないかもしれません。

3.これからはASEANだ!

今回の三菱自動車の決算発表で何より推されていたのはASEAN重視の姿勢。ルノー/日産とのアライアンスの中で東南アジアを担当する三菱自動車。今後の業績もASEANがカギを握っています。

各地域の取り組みでは「グローバル」以外で「ASEAN」を別ページとして設け、解説。三菱自動車はタイを中心にASEANでブランド力があり、より高めるため、DXを中心としたマーケティング強化する戦略が描かれています。

ASEAN市場向けの新型車についても、決算資料で1ページを使って解説。トライトン=ピックアップトラック、他SUVは1台当たりの利益率が高いことが特徴。新型車の攻勢で販売を伸ばせるかが今後の三菱自動車の成長するかどうかを決めていくでしょう。

前回の決算資料では「アウトランダーがすごい!」⇒今回は「俺たちはこれからASEANを攻める!」が明確に主張される内容になっていました。

もう1点の推しはやはり世界進む電動化。

三菱自動車の注目ポイントは軽EVとPHEV。アウトランダーをはじめとするSUVのPHEVは非常に売上も好調。その独自性をもって日本のみならず、ASEAN、北米でも販売を伸ばすことが期待されます。

あと軽EV(発表がどんどん遅れている気がする)いつからどの程度の台数が販売されていくのか。22年の注目ポイントの1つです。

構造改革も進み、収益も徐々に改善。営業利益率も4.0%を超えてきた三菱自動車。今後の成長のカギはPHEVとASEAN。更なる改善を積み上げていけるのか注目です。

***

TOPバッター、三菱自動車。2021年度の中身は非常に好調。ただ、通期見通しは横ばい。半導体供給問題からの挽回はほぼなしの予想となっています。

果たして本日発表となるスズキ、トヨタではどんな数字になってくるのか。

明日以降も各メーカー決算、順次解説していきます。乞うご期待!

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