5分でわかるクルマニュース_モビイマ!

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。先週のニュースをダイジェストで紹介。この記事だけ読めば、最新の自動車ニュースを抑えられる。1週間の始まりにぜひ一読を。
カッパッパ 2024.10.28
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月曜の朝は「モビイマ!」の5分でわかるクルマニュースから。

先週のニュース/トピックスをカッパッパが厳選。コメント付きで解説。この記事だけ読めば、最新の自動車ニュースを抑えられる。1週間の始まりにぜひ一読を。

欧州が大変だ

欧州経済を支える自動車産業が不振にあえいでいる。電気自動車(EV)の需要が伸び悩む中、中国製EVが市場を猛攻。来年には欧州連合(EU)の環境規制が強化される予定で、3重苦の状態にある。「2035年までに全新車をゼロエミッション車にする」というEU計画に、見直しを求める声が高まっている。

欧州自動車メーカーがかつてないほどの苦境に追い込まれています。最大手VWは9月、創業以来初めてとなる国内工場の閉鎖を検討中だと発表。VW傘下のアウディはベルギー工場閉鎖をめぐって労働者ストが発生。ステランティスも、イタリア工場の操業停止。明るいニュースが見当たらず、業績も苦しい内容となっています。

  • 欧州自動車需要が回復しない

  • エネルギーコストの上昇などにより欧州生産のコストが嵩んでいる

  • EVシフトを進めたものの需要がついてこずに売上が当初見込みよりも落ち込んでいる

  • 中国メーカーがEVシフトを機に欧州進出を積極的に進めている

これら多様な要因が重なり、欧州自動車メーカーが足元の業績が悪化、また先行きも雲行きが非常に怪しくなっています。世界に先駆けた環境規制、CNの必要性を訴えてきた欧州でしたが、規制を強化した結果、欧州自動車産業が厳しくなる、自らの首を絞める結果になってしまいました。

直近、9月の欧州自動車販売では各パワートレインの中でハイブリッド車が首位に立ちました。EV需要が減退する中で移行期で純内燃機関車よりも環境に優しく価格も比較的手ごろなハイブリッド車に人気が集まっています。これは欧州メーカーのマイルドハイブリッドが増えてきたこともありますが、ハイブリッドで強いのはやはり日本メーカー。トヨタを筆頭にシェアを伸ばしており、欧州メーカーはBEVでは中国、HEVでは日本、(両者に跨るのは韓国)からの攻勢を受け、台数を伸ばすことができていません。

八方ふさがりに見える中で欧州メーカーはどのようにしてこの苦境を乗り切るのか。伝統的に組合が強く、工場閉鎖などの大規模な構造改革が容易ではありませんが、何も手を打たなけば、会社そのものの存続が危ぶまれることも事実。欧州の環境規制見直しを訴える声も上がる中で、今後の欧州自動車メーカーの戦略及び欧州全体で自動車のCN政策がどのように変わるのかに注目です。

PHEVは力を借りて

日産自動車は2025年に北米で初となるプラグインハイブリッド車(PHV)を発売する。グループの三菱自動車の技術を活用する。日産は北米で人気が高まるハイブリッド車(HV)やPHVを持たず、販売が減っている。今後、自社開発のHVも発売する方針で、環境対応車を増やし、苦戦する事業を立て直す。

日産自動車が北米でPHEVの新車種を投入することが発表。パワートレインはアライアンス提携を結んでいる三菱自動車の技術を活用し、PHEVへの需要の高まりに応える計画です。

23年までは中国での落ち込みを北米事業で稼ぎ、好業績を続けてきた日産ですが、24年に入ってから北米事業の採算性が悪化。4-6月期は営業利益が99%減という厳しい状況に追い込まれています。現状、日産は北米でハイブリッド車が投入できていない→トレンドについていくことができず、販売奨励金が積みあがっていることが大きな原因です(トヨタ‣ホンダとは対照的)。

HEV同様にPHEVの需要も高まっており、「アウトランダー」をはじめとしてPHEV技術的な知見の高い三菱自動車の手を借りて、新車を投入する計画は日産の北米事業立て直しの中で重要な位置づけとなるでしょう。北米は平均車両価格が高く、円安効果もあり、販売が伸びれば利益が一気に増える「ドル箱」市場。中国市場での販売回復が見込めなくなってきている今、今後の活路は北米が中心となっていく可能性も高くなっています。

直近の日産にとって追い風なのは円安が進行していること。一時140円台前半まで進んだ円高は足元150円台に再び戻しました。日産は想定レートを「155円」としており、今後円高が進むようであれば業績の悪化は避けられません。

北米市場を再び立て直すことができるのか。まずは11/7に発表される24年度上期決算発表に注目です。

好調の今こそ進める 拙速すぎたEVシフトからの転換

車載事業でE-アクスルを中心にEVシフトでの受注拡大を進めてきたニデック。24年上期は売上高、営業利益が過去最高を記録した好決算となりましたが、車載事業では以前当初思い描いていた計画は達成できず、販売見込みも下方修正する結果となっています。

今回のニデック好調は車載以外、AI関連での需要が好調+円安が主要因。車載事業も増収増益となっていますが、営業利益率は3.7%で横ばい。大きく改善がなされてはおらず、ニデックの他事業と比較すると営業利益率は低くなっています

ニデックの車載事業が低採算性の理由は、「EVシフトを機に受注拡大を図るために海外メーカー⇒特に中国メーカーに積極的に売り込み→中国メーカーからの厳しいコスト要求に対して利益が出ず、赤字化にまで追い込まれた」こと。ニデックは受注拡大の方針を見直し、中国メーカーでは大手広州汽車(GAC)、そしてステランティスとの合弁会社「NPe」に絞る「リスクミニマイズ」戦略に方針転換。構造改革費用を計上し、事業見直しを進めていますが、ステランティスのEV事業見直しで販売台数が下方修正(24/4 67万台→24/10 35万台)こともあり、依然厳しい状況が続いています。

日本のサプライヤーの中でも「ケイレツ」外からEVシフトを機に事業拡大を目論み、積極的に投資を進めてきたニデックですが、今のところ「失敗」と言える結果になっています。日本OEM自動車メーカーの戦略、「EVシフトを拙速に進めていくのではなく、期を見てじっくり投資を進める」が正解だったと各所で評価される時期になっていますが、今後「挽回」が必要になることも事実。サプライヤーを含め日本自動車業界が今後EVシフトをどのような戦略で乗り切っていくのか、技術、業績動向に注目です。

【今週の一言】

久しぶりに5分でわかるニュースが書けました。忙しい…のは言い訳にしかならないのですが、書けるとやっぱり楽しいですね。今週からは日本自動車メーカーの24年度上期決算発表が開始されます。事前の売れ行きを見る限り、かなり各社で勝ち負けが分かれる結果となりそうですが、果たしてその結果やいかに。ニュースレターでも随時発信していくのでお楽しみに。

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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!

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