【自動車メーカー決算解説:マツダ】業績大幅改善!原材料費上がっているけど新車値段は大丈夫?

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今週は「各自動車メーカーの22年3月期決算」を解説します。今回はマツダ。直近ではアメリカでトヨタとの合同工場で生産を開始。「ラージ」商品群も発表し、販売拡大を狙っています。21年度の業績、22年度の見通しは果たしてどうなっているのか。どこより詳しい解説をお送りします。
カッパッパ 2022.05.14
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ご安全に!

もうやっていないソシャゲ、なんとなく運だめしのために、久しぶりに開いて、特に意味もなくガチャを回すときのあるカッパッパです。

中期経営計画としてブランド力向上を掲げ、魂動デザインやスカイアクティブエンジンなど商品力の高いクルマを市場に投入してきたマツダ。ただ、業績は決して芳しくなく、昨年20年度は営業利益としてぎりぎり黒字。自動車業界でも半導体供給問題など波乱の1年だった2021年度。果たしてマツダの業績は?そして今年22年度の通期見通しは?ここでしか読めない情報、てんこ盛りで解説をお送りします。

1.大幅に業績/体質改善を成し遂げ、増収増益

2022年3月期 通期の売上高は3兆1203億円(前年比2382億円増)、営業利益は1042億円(同954億円増)、経常利益は1235億円(同952億円増)、当期純利益は816億円(同1133億円増)と前年の317億円の赤字から黒字へと転換させた。グローバル販売台数は125万1000台(前年対比3%減)で、連結出荷台数は99万1000台(同1000台増)。

2022年度3月期売り上げは営業収益3兆1203億円、営業利益1052億円と増収増益。営業利益率も0.3⇒3.3%と大幅に業績は回復しました。昨年、21年度は「営業利益でトントンで何とか赤字にしなかった」⇒22年度は黒字化、ギリギリではなく、十分な利益を確保しました。

(ちなみにマツダ、決算発表の2日前、5/11に業績、上方修正を発表済み。そのため、具体的な業績はほぼわかっていました…なぜこのタイミングで出したのだろう)

販売台数は21年3月期比▲3%の125.1万台。他社同様、部品供給ネックで生産が出来ず、販売台数は伸び悩みました。特に、日本(▲16%)、中国(▲26%)の落ち込み幅が大きくなっています。ただ、主力市場として掲げているアメリカでは+13%。トヨタとの合弁工場が立ち上がったこともあり、台数を伸ばし、結果業績の改善に大きく寄与しています。販売台数が落ちているにもかかわらず、売り上げ高が伸びており、1台当たりの販売価格が上がっていることがわかります。

営業利益の増減要因を見ると、改善効果が最も上がったのは「単価改善(値上げ)、販売奨励金減」で950億円の押し上げ。加えて輸出の多いマツダでは円安も有利に働き、為替差で+457億円。一方で自動車業界を苦しめる原材料費高騰で▲950億円のコストUP.。販売価格改善と原材料費高騰がほぼイコール。今回、マツダの営業利益が増収となった要因は「原価低減/固定費削減などのコスト改善」「円安による為替差」と考えて良いでしょう。為替差は外部要因で実力というよりも運要素が大きいですが、原価低減/固定費削減は企業の実力。中期経営計画を掲げ、体質改善を推進してきた結果が表れた決算内容になっています。

2.北米市場を中心により上向きの通期見通し

改善した体質をベースに売上を伸ばす計画になった22年通期見通し。売上高は+6797億円(+22%)、営業利益は1200億円(+15%)と大幅増を見込んでいます。

販売台数は22年3月期比+8%の134.9万台。アメリカ、アラバマ工場が立ち上がり、生産能力は十分、需要も高止まりしており、部品を確保し、どこまで生産を伸ばせるかがカギになるでしょう。特に伸びが顕著なのは日本と北米。日本は前年の落ち込みが大きかったために、大幅増。北米は21年でも販売を伸ばしており、右肩上がり。マツダが主力市場を北米と考え、力を入れていることがよくわかります。今年はFR直6、「ラージ商品群」の投入もあり、新車攻勢で販売を伸ばしたいところ。

売り上げ高、営業利益は大幅な伸びを予測しているものの、営業利益率はほぼ横ばい。その要因は「原材料価格/物流コストの増加」21年比で1200億円のコストUP 。売り上げ高比で3%。大きな負担となっていることは間違いなく、台数や構成といった販売の改善でもカバーしきれていません。そしてアメリカ工場の稼働開始に伴い、固定費も増加。販売台数が伸びなければ、1台当たりの固定費も上昇するため業績は一気に悪化します。攻めの投資に見合うだけの販売台数確保ができるのか。2022年3月期では業績を回復させるだけの体質改善を成し遂げました。マツダの将来は「体質を再び悪化させることの無いよう、生産に見合った販売を成し遂げられるのか(特に北米)」にかかっているでしょう。

なお想定レートは1ドル=123円。トヨタ(115円)、日産(120円)などと比較し円安で設定。足元130円を考えると、より妥当性は高いのかもしれませんが、今後の業績修正の際には他社よりも円安の恩恵を受けづらい点には気を払っておく必要があります。

3.マツダ地獄はもはやない!向上したブランド力

今回のマツダ決算発表でアピールされたのは中期経営計画の成果

2000年代までマツダはブランド力が高くなく、下取り価格が低かった時期がありました。結果、高価買取をしてくれるマツダディーラーで買い替え⇒延々とマツダ車を乗ることになる、通称「マツダ地獄」と呼ばれる状況に陥ることが…そんな環境を脱すべく、マツダは中期経営計画の中心にブランド力強化を据え、改善に取り組んできました。

今回の決算発表では「もはやマツダ地獄は存在しない」ブランド力の高まりを強調。主力車種のSUVの残価率(北米)は平均以上、セグメントの中でも高い順位を維持。

主力市場の北米では新型のCX-50も投入し、販売好調。販売台数と共にシェアも伸ばしています。アメリカは「需要に生産が追い付かず、値引きせずとも売れる」+「販売車種が利益率の高いSUVメイン」=売れば売るほど儲かる、まさに「ドル箱市場」。重ね重ねになりますが、主力市場と位置付ける北米の販売の伸びが今後のマツダの命運を握っています。

また日本自動車業界得意の「原価低減」にも注力。トヨタの決算でも同内容の発表がありましたが、原価低減により、損益分岐点が下がり、販売台数が減る中でも収益が上がる体質に改善。個人的に気になっているのは「広告宣伝費」の効率化。マツダ決算では販促費の低減効果が大きいことが確認できる(22年3月期では他と合わせ223億円コスト減)のですが、具体的にどのようにマーケティングを変えたのかが気になるところです。

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中期経営計画を確実に進め、黒字化、利益を十分に確保できる体質に変わったマツダ。北米工場の本格稼働開始、ラージ商品群の投入など、北米を中心により攻めた計画となっている2023年3月期通期見通し他社同様、部品を確保し、生産をどこまで伸ばせるかが達成のカギ。直近でも上海ロックダウンに影響により工場が停止するなど依然不透明な状況は続きます。今後の工場稼働状況、そして新たに投入される「ラージ商品群」の売れ行きに注目です。

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長かった完成車メーカー決算解説も残すところ、ホンダ、1社のみ。GM/ソニーとの連携、具体的な電動化を明らかにし、4輪事業の選択と集中を進めるホンダ。果たして2022年3月期の業績と2023年通期見通しはどうなっているのか。

他社同様、決算資料を丁寧に読み解き、どこよりも詳しく解説します。乞うご期待!

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