【三菱自動車23年4-6月期決算解説】「予定通り堅調」の先にある期待と不安

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今週からは「各自動車メーカーの23年4-6月期決算」を解説します。TOPバッターは三菱自動車。フラグシップモデル「アウトランダー」と東南アジア向けが絶好調な三菱自動車の業績はいかに。
カッパッパ 2023.07.31
読者限定

23年4-6月期の自動車業界は挽回の時期。ようやく本格的に半導体不足から解消され、各社増産モード。円安の追い風が吹く一方で重くのしかかる原材料高、足りない自動車運搬船、加速するEVシフト、中国新興メーカーの台頭とマイナス要素も多数。そんな各社の業績がいかなる状況にあるのか。4-6月期決算の発表が始まりました。

まずTOPバッターは三菱自動車。昨期はトヨタを超える営業利益率となり、業績は非常に好調。アウトランダー、デリカミニ、東南アジア向けの販売が伸びる中、その効果はいかに。そして23年これからの戦略はどのようなものなのか、詳細に解説します。

1.「予定通り堅調」前期に続き好業績

 第1四半期(2023年4月1日~6月30日)の売上高は前年同期(5287億円)から20%増となる6358億円、営業利益は前年同期(308億円)から47%増の452億円、経常利益は前年同期(495億円)から25%増の618億円、当期純利益は前年同期(386億円)から24%増の479億円となった。グローバル販売台数は前年同期の217万台から195万台へと10%減少した。

2023年4-6月期は増収増益。売り上げは前年同期比20%増の6,358億円、営業利益は+47%の452億円。営業利益率は前期比+1.3ptの7.7%。販売台数が21.7万台⇒19.5万台と2.2万台(▲10%)減る中、売上、営業利益が増加しており、1台当たりの単価、利益が向上していることが分かります。見通し段階でのトヨタの営業利益率を超えており、日本自動車メーカーの中で最も高くなる可能性もあります。いやはや、本当に好業績。

営業利益がどのように改善されたのかを見ると一番大きいのは「台数」+「MIX/売価」、+305億円。今回は為替益が主力のタイでマイナスとなったために、+27億円に留まる中で、マイナス要因である原材料価格/輸送費の高騰をカバーし、前期比より+結果に。販売台数が減っているにもかかわらず、売上高が伸びていることからもわかるように1台当たりの単価/利益が上がっていることが分かります。決算会見の中では推進している「手取り改善」戦略(おそらく1台当たりの販売価格を押し上げる戦略)が功を奏しているとの発信があり、今回の決算は外部要因でなく、三菱自動車の実力で業績を伸ばした4-6月期だと言えるでしょう。

販売台数の地域別推移をみると、日本と北米以外の地域で前年比割れ。気になるのは主要市場と位置付けるASEANで前年比▲9%となっている点。これはASEAN全需が低迷していた+モデル末期であるための買い控えが要因という説明がありました。また中東、オセアニア、欧州については輸出するための船舶が不足しているため、販売減。中国からの自動車輸出が増えた影響は輸出の多い日本自動車業界に大きな影響を与えており、今後続く他日本メーカーの決算にも影響が見込まれます。

2.堅調な実績をもとに通期見通しは上方修正

堅調な4-6月の実績を受けて、2023年度の通期見通しは上方修正。売上高は+800億円の2兆7800億円、営業利益は+200億円の1700億円、当期純利益は+100円の1100億円。4-6月期では前年比減となったグローバル販売台数については修正なし。販売台数は維持しながら、売上、利益を増加→直近での「手取り改善」が大きな効果をあげていることが分かります。この計画が達成できれば営業利益率は6.1%。他日本自動車メーカーと比べても高い数字となっており、三菱自動車は昨季に引き続き、今期も非常に好調な業績となっています。

ただ営業利益の変動要因を見ると、期初公表時と変化しているのは為替の部分のみ。台数や売価で+1158億円や販売費や資材費は変わっておらず、今回の上方修正は想定レートに対しての直近の円安を反映した結果となっています。想定レートは1$=129円⇒131円に変更されましたが、現在のレートとは差があり、今後も円安が続くようであれば、また上方修正は大いにあり得るでしょう。

20年度まで赤字を出していたことを考えると、経営状況は大きく改善。進めてきた構造改革が実を結び、高価格帯であるフラグシップモデル「アウトランダー」や軽EV、新規投入された「デリカミニ」の売れ行きが好調であり軽自動車でも高価格帯へのシフトが進められていることが好業績の要因となっています。、昨年は過去最高の営業利益を更新しましたが、今年も再び更新するかもしれません。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1955文字あります。
  • 3.これから一気に攻める23年
  • 4.不安なのは中国

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

サポートメンバー限定
【もはや『確トラ』?】4つの切り口で見えてくる大統領選がもたらすアメリ...
サポートメンバー限定
【これだけ読めば大丈夫!】トヨタ/日産/ホンダ BEV戦略 総まとめ
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!7/8
サポートメンバー限定
【テスラ/中国企業も熱視線】自動車メーカーでメキシコが今『熱い』4つの...
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!
サポートメンバー限定
【EV普及のカギ!】儲からない??充電事業、ビジネスとして成り立つのか...
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!6/24
サポートメンバー限定
【運転が不要な時代に?】ロボタクシーがもつ多大なポテンシャルと抱える多...