【SUBARU23年4-6月期決算解説】日本メーカーTOPのスピードで進める電動化!その中身とは
自動車メーカー決算解説、今回はSUBARU。23年3月期までは減産割合が他社と比べ高く、生産調整の大きかったSUBARU。ただし円安の追い風を受けて業績は好調。4-6月期も生産、販売の挽回が出来たのか。決算に加えて今回は中長期でのBEV展開計画も発表。日本メーカーの中で最も具体的で進んでいるその計画とは。内容を詳しく徹底解説します。
1.半導体不足解消+円安効果はやはりデカい!増収増益の好決算
第1四半期の売上高は前年同期(8341億円)から2480億円増となる1兆821億円、営業利益は前年同期(370億円)から475億円増となる845億円、当期純利益は前年同期(272億円)から460億円増となる732億円。前年同期から29.7%増となった売上高の1兆821億円は過去最高の数字になっている。

出典:SUBARU 第1四半期決算発表 3月期 第1四半期決算 アナリスト向け説明会資料より
2023年4-6月期売上収益は前期比+29.7%、大幅増1兆821億円。前四半期の売上高としては過去最高を記録。昨年以前の半導体不足による落ち込みから、回復した好決算となっています。売上収益を見ると、海外が+2,341億円と大幅に伸びています。

出典:SUBARU 第1四半期決算発表 3月期 第1四半期決算 アナリスト向け説明会資料より
営業利益も前期比128%増の845億円。営業利益率7.8%と国内各社の中でも高水準。営業利益の増減要因を見ると、一番大きいのは売上構成差で+517億円。これは販売台数増+価格構成(上位Grが売れるようになり1台当たりの単価が上がった)+値上げの効果による押し上げです。ただ一方で米国市場向け販売奨励金は、前年比▲100ドル台当たり800ドルにな。需要>供給のバランスが続いてきたため、販売店での値引きの源泉となる販売奨励金は抑えられてきましたが、生産回復と共に状況は変わりつつあります(それでもSUBARUは他社と比較して販売奨励金は低い)
そしてSUBARUで大きいのは為替益。前期比+341億円。4-6月期の決算では他社はタイバーツが前年よりも対円で高くなったため、東南アジア販売のある完成車メーカーは為替益はそれほどでていません。しかし、SUBARUは海外での販売がほとんど北米のため、ドルに対しての円安効果を受け、為替益でプラスが大きくなり、足元の原材料によるコスト増を相殺しています。設備投資を進めていることから、製造固定費が159億円、コスト増になっています。

出典:SUBARU 第1四半期決算発表 3月期 第1四半期決算 アナリスト向け説明会資料より
これまで半導体供給不足の影響を大きく受け、販売/生産台数が伸び悩んだSUBARU。今期に入って100%の解消といかないまでも、供給状況は大幅に改善。23年4-6月期は販売23.6万台と前期比で+20.4%。コロナ禍前の水準までは回復しておらず、フル生産とは言えませんが、通期見通し101万台に対し、堅調なスタートを切りました。販売台数が20.4%の伸びに対し、売上は29.7%伸びていることを考えると1台当たりの価格が大きく向上していることが見て取れます。
地域別の状況を見ると販売、売上の大半(約70%)が北米が占めていることがわかります。(実は2022年の販売台数ではテスラよりも上。)北米はSUVなどの高利益車種の人気が高く、SUBARUブランドが浸透。着けば売れるまさにドル箱市場。今回の4-6月期でも米国向けが2.4万台のプラスになったことが業績を牽引しています。ただ、販売が北米に偏りすぎていることは経営上大きなリスク。一本足の北米が倒れてしまえばSUBARUの業績も一気に悪化。SUBARUの経営状況を見る上では北米の景気動向をチェックしておくことが必要です。