【大胆予想!】22年3月期完成車メーカー決算

自動車業界の最新ニュース解説、おすすめレポ、本を紹介するニュースレター、モビイマ!。今回のコラムでは22年3月期の完成車メーカー決算を大胆予想。部品供給問題に苦しみ続けた1年。果たしてどのような決算になるのか、語ります!
カッパッパ 2022.05.07
誰でも

ご安全に!

GWが終わるので、お盆の長期連休をどう過ごすかを考え始めたカッパッパです。

今回の記事では、今週発表される22年3月期完成車メーカーの決算がどのようになるか大胆予想!していきます。

売りたいのに作れない。半導体供給問題に苦しんできたこの一年。はたして果たして完成車メーカーの決算はどのようになるのか。カッパッパなりに推測します!

それではモビコラム、スタートです!

1.決算スケジュールと各社通期見通し

完成車メーカーの決算発表スケジュールと現在の通期見通しがどうなっているのでしょう。一枚にまとめた表がこちら。

発表は5/10、三菱自動車を皮切りに13日までに全社が発表。モビイマ!では2回に分けて、各社決算を徹底解説予定です。(まとまって発表させるので大変)

通期見通しを横並びで比較すると、売り上げ、営業利益共にトヨタの頭一つ抜けている感。(ホンダが営業利益率5.5%なのは2輪が高いためで、4輪は1.0%程度)三菱自動車は直前の4/28に上方修正のアナウンス。GWを挟むと決算発表までほとんど日にちがなかったのですが、このタイミングであえて発表したのはなぜなのか気になるところです。

2.2021年度の自動車業界

今回発表となる2021年度(2021年4月~2022年3月)が完成車メーカーにとってどんな1年だったのか、簡単に振り返ります。

コロナ禍の2020年を経て、一気に生産挽回だと意気込んでいた2021年度。実際に蓋を開けてみると、トラブル続き。一難去ってまた一難、2020年以上に苦しくなった1年になりました。

1番大きな要因は「産業のコメ」ともいわれる半導体の供給問題。日本での半導体メーカーの火災や他業種との奪い合いにより、自動車向け半導体の生産が追い付かず、必要な総量が確保できない状況に。結果、2021年度全体で工場の稼働調整が行われ、当初の計画よりも大幅に減産する結果となりました。

また自動車業界を悩ませていたのは半導体だけではありません。ナイロンを代表とする樹脂不足も大きな問題となりました。2021年2月に米国テキサス州を襲った大寒波。同州に集積した石油化学プラントは大きなダメージを受け、2021年全体を通じて調整/管理しなければならない非常に大きな問題となりました。樹脂はエアバッグやシートベルトなど目に見える部分だけでなく、駆動系などの基幹部品にも多く使われています。コネクターなどの電子部品にも大きな影響を及ぼしました。

これに加えて、各地で散発するコロナ感染拡大によるロックダウン。夏ごろから東南アジアを中心にロックダウンが再開され、ワイヤーハーネスなどの部品供給に多大な影響を与えました。

グローバルでの物流網の混乱も、自動車業界にとって大きな問題に。船便の遅れ、スキップ、スペース確保、荷役の遅れによる輸送リードタイムの長期化…物流費も大きく高騰しています。

今回公表となる2022年1~3月期では

  • トヨタが「意思のある踊り場」として減産調整を発表

  • 他社も月中での減産発表を継続

  • 中国で地域によりロックダウンが再開

  • ロシア、ウクライナ侵攻による欧州市場の混乱

があり、依然厳しい状況が続いています。

「泣きっ面に蜂」状況で違う蜂が次々にやってくる。トラブル続きの2021年度自動車業界。ただ業績は決して悪くありません。

3.業績へのプラス要因

完成車メーカーにとって一番のプラス要因は「販売奨励金の減」。生産が絞られることで在庫逼迫し、値下げしなくてもクルマが販売できるように。2021年度のアメリカは販売奨励金、および在庫日数が過去最低レベルになっています。

また生産数が限られるため、高利益車種(高級車やSUV)に生産を集中させていることも業績プラスの大きな要因に。

加えて日本メーカーでは円安効果も大。輸出の多い日本自動車メーカーでは円安になると利益が上がります。想定レート以上の円安により、好業績が期待されます。

4.業績へのマイナス要因

一方で業績を押し下げる要因も。一番大きいのは原材料の高騰。鋼材や樹脂、また半導体など自動車に使われる非常に多くの原料、部品が値上げを発表しています。また車は輸出するため、円安は有利に働きますが、車を作る原材料は輸入に頼っているものが多く、円安はマイナス要因に。

物流費の高騰も問題の1つ。物流量の増大により海運関連は大きく契約単価を値上げ。そして物流網の混乱により、リードタイムが長期化⇒足りない部品は船から飛行機に変更して運搬など輸送にかかるコストは増加しています。

また減産による1台当たりの固定費の増加もネックに。フル生産であれば、その分1台にかかる設備償却費は薄まるのですが、半導体やロックダウンで稼働が出来ない分生産量はおち、1台当たりの固定費も高くなります。

プラス/マイナス、両方の要因を抑えたうえで、今回の2021年度決算がどうなるか予測します!

5.完成車メーカー決算予想

カッパッパが予測する日本完成車メーカー2021年度決算は……

「好決算が続出!」です。

なぜなら、先行して発表されている海外メーカー、および日本国内の部品メーカーの業績が好調なため。

海外メーカーではVWの決算が非常に好調。半導体供給問題やロシア、ウクライナ侵攻により、販売台数が約2割の大幅な減となったものの、売り上げは前年同水準を維持。高級車中心の新車販売構成見直しや価格設定により、営業利益は前年比73.0%増加しています。アメリカ、GMも純利益は前年比マイナスとなったものの、売り上げ高は維持。半導体供給問題で生産数が大幅に減る中で業績を保っています。(Fordは赤字に転落したのですが、保有しているRivian株の下落が大きいので一旦おいておきます。)

部品メーカーではトヨタ系部品メーカーの決算が概ね好業績

https://newswitch.jp/p/31990
https://newswitch.jp/p/31990

原材料高騰により、一部メーカーでは減収となりましたが、他は増収増益。部品メーカーは完成車メーカーよりも原材料高騰などのマイナス要因が大きく、「販売奨励金減」などのプラス要因少。にも関わらず、業績が良くなっている=完成車メーカーはより良い業績になるのではと予想できます。

半導体/ロックダウン要因の減産や原材料高騰はあるものの、販売奨励金減や高利益車種への生産集中の効果が大きく、完成車メーカーは今回好決算になる!がカッパッパの見立てです。(ただし、株価に織り込まれているかはよくわかりません。コンセンサス、期待先行でやたら高かったりするので…)

トヨタは営業利益率10%乗せてくるのでは?と思っています。あとは輸出が多いSUBARU、マツダも円安効果が大きく、好業績の予感。

6.2022年度は果たしてどうなる?

さて21年度決算も重要ですが、それ以上に注目したいのは「22年度の通期見通し」です。半導体供給問題やロックダウン、ロシア、ウクライナ侵攻など変動要素がとても大きい中でどのような販売台数、売上見通しを発表するのか。

トヨタは「意思のある踊り場」として一時的な減産を事前に発表しています。ただ、需要そのものは旺盛で減っていません。日本国内では納期が延び、アメリカなどの在庫販売中心の国では在庫日数がかつてない低水準。値下げせずとも販売できる好機。少しでも多く生産したいが完成車メーカーの本音だと思います。実際の制約を受け、どの水準の生産/販売レベルに合わせるのかが今回の決算の一番の見どころです。

また、想定レートにも注目。足元では1ドル=130円の超円安。為替は業績に対しての影響度が高いです。(対ドルで1円円安が進むと、トヨタで400億円、ホンダで120億円、日産で130億円ほど、本業のもうけである営業利益が増加する要因になると言われています)変動の大きい相場で各社が想定レートをどれくらいに設定するかも確認しておきましょう。

決算の中で言及されるかはわかりませんが、車両価格の値上げを行うかどうかも2022年の注目ポイント。モデルチェンジなどの場合を除き、日本メーカーではこれまで、販売している車種が途中で値上げすることはありませんでした。しかしながら、直近の原材料/物流費高騰を受け、値上げに踏み切る可能性があります(すでに海外メーカーでは値上げが開始)。価格が多少上がっても販売は伸びる現在の状況。利益を向上させるためには、値上げも選択肢の一つです。

各社の通期見通しがどのようになるのか。上記のポイントを中心に自分の目で確認すると非常に面白いと思います。

***

ちなみに決算資料では時々パワーワードが飛び出してきます。

カッパッパ@ニュースレター「モビイマ!」🚗
@kappapa03
今回の自動車メーカー、決算説明資料
パワーワード賞
「減産タフネス」(ホンダ)
に決定しました。
2022/02/12 08:29
14Retweet 80Likes

各社それぞれの特徴が表れた資料になっているので横並びで比較するとすごく楽しいです。

***

次週は各社発表の決算をどこよりも詳しく解説!通常よりも執筆ペースを早め、有料購読者の方になるべく早くお届け予定。乞うご期待です!

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