【マツダ 23年度決算解説】過去最高を更新するために問われる「ラージ」の真価
中期経営計画としてブランド力向上を掲げ、昨期から満を持しての直6ディーゼルのパワートレインを含むラージ製品群を投入したマツダ。CX-60に続いてCX-70,80,90も発表し、ラージ商品群が出そろい、本格的な量産を始めた今期。果たしてブランド戦略は上手くいっているのか。そして販売不振が伝えられる中国はどのように業績に影響を与えているのか。その決算内容を詳細に解説します。
1.過去最高更新!進めてきた北米販売拡大の結実
マツダ決算資料より作成
2024年3月期は売上高、4兆8,277億円(前期比+1兆9億円)、営業利益2,502億円(前期比+1086億円)と増収増益。営業利益率は5.2%、前年同期比+1.5ポイント。売上高、営業利益で過去最高を記録する好決算になりました。
販売台数は前年同期比+8.4万台の120.2万台。23年度は半導体不足が本格的に解消し、生産量が回復した年となりました。販売を地域別にみると、前期比で北米が大きくプラス。アメリカ、メキシコでは過去最高の販売台数を記録。主力車種「CX-5」そして新規に投入した「CX-60 」「CX-90 」のラージ商品群の輸出が増え、販売価格+1台あたりの利益が大きい+円安効果もあり、北米での販売好調が業績を支えています。販売不振が伝えられていた中国でも下げ止まりが見られ、下期からは前年比増。その他市場ではASEANの主力市場であるタイの落ち込みが大きく、前年比減となりました。
マツダ決算資料より作成
営業利益の増減要因を見ると、出荷台数増、構成変化により1252億円のプラス。販売台数の回復とラージ商品群への移行→高価格帯へのシフトが大きな効果を挙げています。マツダは北米への輸出が多いので為替益が大きく出ているかと思いきや、+535億円とそれほど大きくなっていません。これはタイバーツが円安要因によりマイナスとなったため。
そして気になるのは固定費他の増加、▲838億円と悪化していることです。ラージ商品群でのリコールなどによる品質費用、マーケティング=広告費用/研究開発費の増加が悪化の原因。品質費用は知事的な要因ではあるものの、満を持して投入したラージ商品群で不具合が散発し、リコールも多発。営業利益を押し下げる結果となりました。のリコールが続いており、また固定費の増加は長期的に業績を悪化させる要因となり、「過去最高」の業績でも将来に一抹の不安が残る内容となっています。