【日産23年上期決算解説】業績好調!問題は「中国」をどう立て直すか
ご安全に。
自動車メーカー決算解説、今回は日産。揉めていたルノーとの資本提携関係見直しがようやくひと段落し、北米を中心に受注好調、販売回復。一方で中国市場での落ち込みが非常に大きく回復の兆しは見えてきていません。プラス、マイナス両方の要因が顕在化した上期の業績やいかに。
1.売り上げは過去最高の好業績
日産 2023年度 上期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
23年上期は増収増益。売上高は6兆633億円(前年比+30.0%)、営業利益は3,367億円(前年比+115.0%)、営業利益率も5.6%(前期比+2.2ポイント)。業績は前期と比べ、大幅に改善し、上期での売上は過去最高を更新しました。会見では2020年度から取り組んでいる事業構造改革「Nissan NEXT」の着実な成果が改革の最終年度となる今年度の業績に反映されているとアピール。
日産 2023年度 上期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
グローバル販売台数は前年同期比+3.3%の162.2万台。生産台数は前年同期比+4.5%169.1万台。注目すべきなのは7-9月の大幅な伸び。4-6月期が前期比マイナスであったのに対し、7-9月では一気に盛り返し、販売は+11.0%,83.3万台。生産は+4.7%84.3万台。これまで苦しんできた半導体不足の制約がなくなり、需要に応じた生産、販売ができるようになった結果が業績に表れています。
日産 2023年度 上期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
営業利益の増減理由を見ると1番効果をあげているのは「販売パフォーマンス」で2,728億円。台数/構成変化=高単価車種/グレードの販売増、販売費用/価格改善=販売奨励金減/値上げが増収増益の好業績を牽引しています。日産はこれまで北米でのフリート販売やインセンティブを多額に拠出して、1台当たりの利益の低さに苦しんできた過去があります。取り組んでいる事業構造改革「Nissan NEXT」、新車攻勢によって1台当たりの単価UP→販売の質の改善を改善。営業利益率は5.0%を超えており、赤字だった21年までと比べれば会社の体質は強化され、「儲かる会社」に変わりつつあります。
日産 2023年度 上期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
財務実績を見てもフリーキャッシュフローがプラス、ネットキャッシュが大幅に増えており、財務状況は大幅に改善しています。23年上期の業績は過去と比較しても並ぶものがないほどの好業績。日産は今現在「絶好調」と言えるでしょう。