【過去最高から一転大ピンチ?】テスラ22年4-6月期業績、大胆予想

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今回はテスラ22年4-6月期業績、大胆予想。22年1-3月期、過去最高の利益と19.2%という圧倒的営業利益率を成し遂げたテスラ。ただ4-6月期は逆風が多く…皆さんの関心が高いテスラ決算を大胆予想します。
カッパッパ 2022.07.10
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梅雨明けしたはずちゃうんかい!雨ばっかりで出勤が大変、カッパッパです。

今回はテスラ22年4-6月期業績、大胆予想します。22年1-3月期、過去最高の利益と19.2%という圧倒的営業利益率を成し遂げたテスラ。ただ4-6月期はこれまで右肩上がりを続けてきたテスラが困難に直面した4半期になりました。

果たして、テスラの業績はいかほどになるのか?「おっ、カッパッパのいうこと当たっとるやんけ」「やーい、外れてやんの」どちらになるのか。皆さんもこちら記事を参考にテスラの業績、予想してみると面白いかもしれません。

それでは早速、カッパッパのお送りするテスラ22年4-6月期決算予想、お読みください。

圧倒的だった21年1-3月期決算のおさらい

まずは前回の22年1-3月期の決算を振り返ります。

「テスラの積み重ねてきた生産/販売体制が大きく花開いた、自動車メーカーでは考えられない好業績」=22年1-3月期。

売り上げは187億5600万ドルで約2兆4000億円=日産とほぼ同じレベル(通期で8兆8000億円⁼1Q2兆2000億)。圧倒的なのは営業利益率で19.2%。トヨタの2021年度が9.5%と比較するとそのすごさがよくわかります。(会計基準の違いがあり一概に比較はできないのですが)純利益は前期比7.6倍の33億1800万ドル

販売台数も過去最高を記録し、31万台超え。生産能力オーバー=土日含めたフル稼働で生産している状況。半導体不足で世界各社が操業を止める中、テスラは問題となっている旧世代の半導体使用が少ない/またはソフトウェアの書き換えなどで押し切ったとされ、実力以上の稼働率を成し遂げています。

かつてない好決算。正直自動車メーカーの業績とは信じられない。円安の要因もありますが、4半期決算単体として純利益はトヨタを抜く、圧倒的業績。

ただ、そんなテスラも22年4-6月期は大きな壁にぶつかることになります。

① 上海ロックダウンでの長期休止

上海ギガファクトリー

上海ギガファクトリー

22年4-6月期でテスラを最も苦しめたのは「コロナ感染拡大による上海ロックダウン=上海ギガファクトリーの長期休止」です。

3月末より本格的に始まった上海ロックダウン。「ゼロコロナ」政策を堅持する中国での厳戒態勢は非常に厳しく、完璧に都市機能は停止。上海近郊の工場は操業停止をやむを得なくされます。

テスラも例外ではなく、上海ギガファクトリーは3月末から22日間稼働が停止。4/19に生産開始されるものの、外部との接触を遮断するため、工場に寝泊まりする「バブル方式」で4月以前のフル生産には至らず。1日1200台程度の生産を続けるものの、5月には部品供給問題で一時生産は中断。

土日含めて生産能力以上で工場を回していた22年1-3月期と比較すると、上海ギガファクトリーの生産量は大幅に低下しました。21年中盤以降のテスラの躍進は上海ギガファクトリー高い稼働率によって支えられてきた面が非常に大きく、今回の大幅な生産低下は業績に与える影響は甚大です。

② 立ち上がったばかりの新工場

テスラ22年1-3月決算資料より ギガベルリン立ち上がり時の様子

テスラ22年1-3月決算資料より ギガベルリン立ち上がり時の様子

テスラ、22年4-6月期でのもう一つ大きな変化点は「ギガベルリン/ギガテキサスの立ち上がり」です。元々は21年夏に立ち上がる予定だった、ギガベルリン。行政の認可や周囲への環境問題影響で大幅に予定よりも遅れましたが、ようやく3月から量産を開始。

またアメリカでの2番目の工場として「ギガテキサス」も4月立ち上がり。一度に2拠点の工場が立ち上がるのは自動車メーカーでも異例です。

「工場が立ち上がったのだから、一気に生産数が増えて売り上げもUP!」となれば良いのですが、現実は中々そううまくいきません。立ち上がったばかりの新設ラインは量産での課題が多く、時間当たりの出来高が上がらないからです。

報道によればギガベルリンの生産量は6月半ば段階で1000台/週⇒5000台弱/月、ギガテキサスは現在5000台/週⇒20000台/月程度とされています。生産台数の目標値がギガベルリン共に50万台/年として掲げている(もちろんここには今後の能増も含まれていると思うのですが)ことを考えると、量産開始直後の今は生産性が極めて低い状況と言えるでしょう。いや、本当に工場の立ち上げってマジで難しいんですよね(自社の工程のみならずサプライチェーン含め)。

ただ立ち上がった以上、その工場の固定費が費用として計上されます。工場で働く人の人件費や電力などのエネルギー代、そして工場の設備償却費。生産台数が少ないために、車1台当たりの固定費は極めて高くなり、業績に大きな影響を与える可能性が高いのです。

年々増え続けるテスラの従業員数 その分人件費も増えることに https://www.tesla.com/impact/people

年々増え続けるテスラの従業員数 その分人件費も増えることに https://www.tesla.com/impact/people

すでにイーロンマスク氏は

「ベルリンとオースティンの工場は、現金を燃やす巨大な炉のようなものだ。大きな音をたてて現金が燃えている。両工場には、莫大な経費がかかっているが、生産がほとんどないため、数十億ドル規模の損失を出している」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e20f3ba689a924982fc70e27960c6c2aa7407628

と述べています。これは新工場の稼働により、設備償却などの固定費の計上が始まって今期の業績が悪化することへの伏線なのだと思われます。

工場の立ち上がり時は製造業の事業構造上、最も採算が悪くなるタイミングです。投資額の大きい2つの新工場が一気に立ち上がったことにより、テスラは4-6月期一気に業績が悪化する可能性があります。

➂ 襲い来る原材料高/物流費高騰

今自動車業界を苦しめている原材料、物流費の高騰も業績を悪化させる要因の1つです。自動車に使われる多くの原材料が値上げをしています。鉄鋼や樹脂、供給問題の発生している半導体。そしてBEVの肝である電池に使用されるリチウム/ニッケル/コバルトなどのレアメタルはBEVの生産増、ロシア特に高騰が激しく、過去最高レベルに。リチウムは1年前の5倍の値段に達することもありました。

https://newswitch.jp/p/32012

https://newswitch.jp/p/32012

一旦落ち着きは取り戻しつつあるものの、依然価格が高止まりしています。今後の需要を考えると、そう簡単には価格は下がらないでしょう。

また物流は一部で荷役が停滞したために、世界的に混乱していましたが、徐々に落ち着きを取り戻しつつあります。ただし、物流量は依然多いため、価格は2.3年前に比べれば数割増し。部品の納入や完成車の輸出での運搬費はテスラのみならず、自動車業界全体の収益を圧迫しています。

原材料/物流費の高騰は自動車生産をする上では避けられず、テスラも例外ではありません。今回の決算にどれほど影響してくるのかは注目ポイントの1つです。

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