【全固体=〇〇電池?!】カッパと悟空が読み解く、日産EV電池戦略【前編】

「モビトーーク」は皆が注目するクルマの最新情報を、詳しい方をお招きして、対談形式で解説。第4回は日産長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」にて発表になった日産のEV電池戦略について、自動車業界に詳しいカッパッパと電池に詳しい悟空がその詳細を読み解きます。今回は前編として電池戦略や全固体電池について解説します。
カッパッパ 2021.12.07
読者限定

ご安全に!

2021年の自動車業界流行語は間違いなく「脱炭素」(あとは「半導体不足」と「コロナ」)。CO2排出削減が声高に叫ばれる中、自動車メーカー各社がEVシフトを鮮明した1年でした。

そんな中、先週11/29、日産が長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表今後10年の電動化、電池戦略を明確にしました。EV「リーフ」を先駆けて発売し、日本の電気自動車パイオニアとして業界を引っ張ってきた日産。果たしてその長期ビジョンの中身とは。

  今回、やけに電池が好きな孫悟空さんをお招きして、前回のトヨタの時同様、カッパッパと2人でその戦略について、言いたい放題、語り合いました。これさえ読めば、現段階での日産EV電池戦略はばっちり。  

今回もボリュームがたっぷりになったので、次週と合わせ、前後編2回に分けてお送りします。

今回の記事中では日産の全固体電池=○○電池ではないかという大胆予想も。自動車業界の方のみならず、投資を考える方、クルマに興味のある方必見の内容。どこよりも濃い日産電池戦略解説お読みください。

1.モビトーク

今回の対談相手~やけに電池が好きな孫悟空さん~

やけに電池が好きな孫悟空さん。電池にとっても詳しく、各電池ニュースの紹介をしてくれるアカウント。毎回すごく技術的なポイントを抑えた解説を発信。今後の自動車業界の動向を掴みたい業界関連の方ならフォロー必須。

(前回、トヨタの電池戦略を解説した対談が非常に好評だったので、日産についてもお願いしたところ快諾いただけました。)

日産長期戦略「Nissan Ambition 2030」の全体の印象

カッパ:対談ご快諾いただきありがとうございます。前回のトヨタの記事が大変好評で、今回日産編も電池戦略を見た瞬間に「悟空さんに話を聞かなければ」を思い、対談申し込ませていただきました。今回も言いたい放題、語り合えたらと思います。

それでは早速。今回の日産の長期戦略「Nissan Ambition 2030」、全体の印象は「迅速なEVシフトを鮮明に+かなり具体的」です。これまで日産はあまり全固体電池に言及しているイメージがなかったので、今回全面に打ち出してきたのはかなり驚きでした。

悟空:全固体ぇ電池を強く押し出してきたことに対する驚きはオラも同感だな。

この前のトヨタの発表以降、全固体ぇ電池は意外ぇと寿命に難があるっちゅう印象が知れ渡ったから、明確な目標提示は避けるもんだと思ってたぞ。

全体感でいうと、たしかに具体ぇ的っていえば具体ぇ的なんだが、なんか今ひとつ掴みどころがねぇ印象は受けたかなぁ。数字は出してあるんだけど、その背景が見通せねぇ感じ。

カッパ:確かに具体的な部分と言及されていない部分が分かれている気がします。では個別の項目について見ていきましょう!

加速する電動化

カッパ:今回発表された日産の2030年までの長期ビジョン、「Nissan Ambition 2030」。

冒頭で「今後10年間で、数多くのワクワクする電動車とイノベーションを提供し、グローバルに事業を拡大」と自ら「ワクワクする」を強調するところとても好きです。

さて中身ですが、まず具体的に示されたのは「電動化の推進」2030年度までに15車種のEVを含む23車種の電動車を導入、電動車のモデルミックスを50%以上に。リーフを出してEVで先行しながらも、その後が続かなかった日産。ここにきて明確なEVシフトを打ち出してきました。

悟空:ワクワクは大ぇ事なことだな。なんだかんだ言って、やっぱり人は理屈だけじゃ動かねぇからな。

EVシフトを明確に打ち出したのはその通り。そのうえで『今すぐに全部EV!』なんちゅう現実離れした主張ではなく、適切なモデルミックスやユーザーを置き去りにしねぇスムーズな移行を述べているのが印象的だぞ。

カッパ:各地域の現状に合わせて、EVシフトを打ち出してますね。

  • 欧州: 75%以上

  • 日本: 55%以上

  • 中国: 40%以上

  • 米国: 2030年度までに40%以上(EVのみ)

と日本が高めなのが気になるところだったりします(HEV込みなのかな)

悟空:日本が高めなのが気になるところは十中八九、HEV(シリーズハイブリッド)のe-power込みだな。(但し書きしてあるアメリカ以外ぇ)

そして本題の電池戦略

グプタさん日本語超上手

グプタさん日本語超上手

カッパ:さて続いて本題の「電池」です。

まずは「リチウムイオン電池の技術をさらに進化させ、コバルトフリー技術を採用することで、2028年度までに1kWhあたりのコストを現在と比べ65%削減」具体的な技術については言及がないものの、時期とコストは明確に打ち出しました。

ちなみにコバルトフリーは材料供給(人権問題や資源確保)から進められているものだと思っていたのですが、コスト削減にも寄与するのでしょうか??

悟空:全体ぇ的にそうなんだが、数字は具体ぇ的なんだけど、その背景の説明が不足してるからコメントが難しいんだよな。

カッパッパの言うようにサプライチェーン上のリスク対応もあるが、コバルトフリーはコスト削減にも寄与すっぞ。単純に高い材料の使用を控えようっちゅうことだな。コバルトを減らしてニッケルマンガン主体の系、もしくはいわゆる『LFP』系に移行していくっちゅうのが一般的な見立てだな。

ただ、本当に一般論だし、材料系の見直しだけじゃここまでのコストダウンは厳しいだろうから、語ってねぇ背景はあるんだろうけどな。

カッパ:コバルトフリー、コスト削減につながる知らなんだ…テスラもLFPにシフトしていますし、直近LFPかなり熱くなってきてますね。

今回の日産の発表では具体的な技術が示されなかったので、どんな方法でここまでコスト削減するのか気になるところ。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2029文字あります。

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

サポートメンバー限定
【テスラ2Q決算徹底解説】EVで 稼げないなら 蓄電池
サポートメンバー限定
【もはや『確トラ』?】4つの切り口で見えてくる大統領選がもたらすアメリ...
サポートメンバー限定
【これだけ読めば大丈夫!】トヨタ/日産/ホンダ BEV戦略 総まとめ
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!7/8
サポートメンバー限定
【テスラ/中国企業も熱視線】自動車メーカーでメキシコが今『熱い』4つの...
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!
サポートメンバー限定
【EV普及のカギ!】儲からない??充電事業、ビジネスとして成り立つのか...
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!6/24