【日産23年4-6月期決算解説】落ち込み激しい「中国」だけが問題だ
自動車メーカー決算解説、今回は日産。ルノーとの資本提携関係見直しが正式決定し、軽EVの受注好調。一方でこれまで販売の多くを占めていた中国市場では大きく販売台数の落ち込みも…はたしてその業績やいかに。
1.売り上げは過去最高の好業績
日産自動車のことし4月から6月まで、3か月間の決算は、北米や日本での好調な販売で、この時期として売り上げが過去最高となりました。ただ、中国ではEVシフトが進むなか、販売台数が前の年の同じ時期より45%減少しました。
日産自動車が26日に発表した、ことし4月から6月まで3か月間のグループ全体の決算は、北米や日本での好調な販売と円安の効果で、売り上げが2兆9176億円と、去年の同じ時期に比べ36.5%増え、過去最高となりました。
また、最終的な利益も2.2倍に増加し、1054億円となりました。
日産 2023年度 第1四半期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
23年4-6月期は増収増益。売上高は2兆9,177億円(前年比+36.5%)、営業利益は1,286億円(前年比+98.1%)、営業利益率も4.4%(前期比+1.4ポイント)。業績は前期と比べ、大幅に改善し、四半期での売上は過去最高を更新しました。
日産 2023年度 第1四半期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
グローバル販売台数は前年同期比▲3.7%の78.9万台。販売台数が落ち込んでいるにも関わらず、増収増益⇒1台当たりの販売価格/利益が上昇しており、日産の体質が改善していることがわかります。ただ気になるのは生産台数84.8万台に対し、販売が78.9万台と5.9万台の差がある点。単純に考えると在庫が増えたことになります。
日産 2022年度 決算発表プレゼンテーション資料より引用
これまで逼迫していた在庫の補充をするためなら良いのですが、前回の決算資料では21年第1四半期の在庫水準までは回復しており、今後どこまで在庫を積み上げるのかは日産の決算で注目しておくべきポイントです。(過剰な在庫はキャッシュフローを悪化させ、生産調整が入る可能性がある)
日産 2023年度 第1四半期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
営業利益の増減理由を見ると1番効果をあげているのは「販売パフォーマンス」で1,607億円。台数/構成変化=高単価車種/グレードの販売増、販売費用/価格改善=販売奨励金減/値上げが増収増益の好業績を牽引しています。日産はこれまで北米でのフリート販売やインセンティブを多額に拠出して、1台当たりの利益の低さに苦しんできた歴史があります。黒字化した22年度3月期以降では質の改善が進み、1台当たりの単価がUP、利益の出やすい体質へ変化していることがわかります。
日産 2023年度 第1四半期決算発表 プレゼンテーション資料より引用
財務実績を見てもフリーキャッシュフローがプラス、ネットキャッシュが大幅に増えており、財務状況は大幅に改善しています。販売の質の改善が想像以上に進んでおり、中期計画「NISSAN NEXT」で目指していた少ない台数でも利益が出る体質へ改革が進んでいます。