【問題は山積み!】日本でEVを普及するためにはどないしたらええんですか?_モビイマ!Vol.33

脱炭素が叫ばれる2021年。EVシフトが世界各国で明確になる中、日本では販売台数がそれほど伸びておらず、EVシフトが遅れています。なぜ日本ではEVの普及が進まないのか、その要因と今後の動向について詳細に解説します。
カッパッパ
2021.10.29
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ご安全に!

世界中で声高に叫ばれる内燃機関車からのEVシフト。各所で指摘されるように、他国に比べ日本はEVシフトが遅れており、EVの販売台数はそれほど増えていません。なぜ日本ではEVの普及が進まないのでしょうか。

今回の記事では直近のレポートから

「なんで日本ではEVの普及が進まないの?」

どないしたら、EVが普及するの?」

を読み解き、今後の自動車業界の流れを予想します。

EVはCASEと言われる技術革新の中でも最も注目を集め、今後の自動車業界を占うターニングポイント。ぜひともこの機会に今後の動向について抑えておきましょう!!

(今回の記事に電気自動車は「EV」、ハイブリッド車は「HEV」を記載します)

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1.モビコラム

モビコラムでは、カッパッパが自動車業界最新トレンドを独自の視点と切り口で語るコラムです。かなり力を入れた内容で仕事/投資に役立つこと間違いなし!

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日本はEV普及で遅れている?現状のEV普及予測

https://newswitch.jp/p/28398
https://newswitch.jp/p/28398

世界中で進むEVシフト。環境政策に重きをおく欧州、EVで自動車の覇権を狙う中国、バイデン政権になり環境問題解決重視を鮮明にするアメリカ。この1年を見ても、世界各国でEVシフトが加速。それに合わせて、各社自動車メーカーも電動化、EV戦略を相次いで発表。EVを販売するテスラは過去最高の販売台数、業績を記録し、上場以来最高値更新。毎日EVのニュースが飛び込んでくる。そんな1年が続いています。

ただそんな中、日本のEVシフトは遅れがちと批判をされています。日本政府の方針は2050年の脱炭素化、2035年には新車を全て電動化(HEV含む)となっています。欧州のHEVを含むガソリン車の販売原則禁止(2035年)、アメリカ新車販売の50%をEV、PHEV、FCVにする(2030年)を比較すると、日本の政策ドリブンによる「EVシフト」は他国に比べて圧力が高いとは言えません。

また日本メーカー各社においても電動化戦略を発表していますが、欧州のVWやアメリカのFordが大々的な電動化戦略を発表する一方で、あくまでも地に足のついた現実的ともいえる電動化戦略となっています(この1年でホンダはかなり電動化への前倒し計画を発表したかと思いますが)

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1067_04.pdf
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1067_04.pdf

最新の2035年の普及見込みは下記の図の通り。欧州が6割、中国、アメリカが5割を超える中で、日本は25%程度。インド、ASEANとほぼ同等の見込みになっています。

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1067_04.pdf
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1067_04.pdf

なぜ日本ではこれほどEVの普及が進まないのか。消費者視点からみた直近の2つのレポート「2021年版次世代自動車に関する消費者意識調査」世界各国でのEVシフトに対する消費者動向分析」から読み解いていきましょう。

みなさんは今、EV買いたいですか?

https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/report/cc/industry_trends/20211004_1.pdf?la=ja-JP&hash=88219D0A70C263DF9F74E799BD2E848EF7E80201
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/report/cc/industry_trends/20211004_1.pdf?la=ja-JP&hash=88219D0A70C263DF9F74E799BD2E848EF7E80201

みなさんが今クルマを買うのだとしたら、EVは選択肢に入りますか?

「脱炭素、環境を考えるとやはりEV」「加速性能が優れるEVって乗っていて楽しい」「補助金が出て今はEVがお買い得」「やはりテスラ!テスラ!!」

EVを欲しい方もいらっしゃると思うのですが、アンケート調査の結果はEVを検討している方はまだまだ少数派。

「世界各国でのEVシフトに対する消費者動向分析」によれば、26%前後と全体の1/4。他の国と比べてもその割合は低く、また特徴的なのは前回調査の2017年と比べてもさほど増えていない点。他国のEV購入検討者が増加している対し、日本は変化していません。(それにしても中国のEV購入意向高い)

なぜEV購入検討層が増えないのか。EVを買いたい理由/買いたくない理由を見るとその答えが分かります。日本、「EVを買いたい理由」で「環境性能」が約10%と低く2017年調査と比べても増えていない、また「EVを買いたくない理由」で「購入時の車両価格」が22.8%と高く、しかも2017年調査よりも増加。加えて「EVを買いたくない理由」で「充電スポットの利便性」も12.1%と他国に比べて高い。

簡単にまとめると、日本、「環境問題に対する意識の低さ」「EVの価格が高い」「充電設備が整ってない」からEV売れていないのです。

日本がEV普及において抱える問題

この3点、「環境問題に対する意識の低さ」「EVの価格が高い」「充電設備が整ってない」それぞれについてもう少し詳細に分析しましょう。

まず「環境問題に対する意識の低さ」。元々環境問題への意識が高い欧州、そして実際に大気汚染などの内燃機関自動車による実害の伴う問題がある中国と比べれば日本はどうしても環境問題への意識が希薄になりがちです。地球温暖化が世界的な大きな環境問題なのはわかる。ただ自身が問題として捉えれているのかどうか。日々生活していく中で、目の前の問題だけで精一杯な個人からすると正直、環境問題に意識を向けられるのは現段階では「意識の高い余裕のある人」が現状。「環境に優しいからEVに乗る」そういった意識を持つ/選択をできる人はごく少数だと言えます。

次に「EVの価格が高い」。EVの価格は年々下がっているとはいえ、まだまだガソリン車よりは高く、単純比較はできませんが、同じ車格で定価いえば100万円以上の価格差があります。その間を埋めるのが政府の補助金ですが、補助を受けたとしてもまだまだEVの方が価格は高く、コスパという観点からするとガソリン車、HEV車の方が有利です。(いろいろ揉めがちなのでいったんテスラ車はおいておきましょう)またガソリン車とHEV車、環境に優しいのはもちろんHEV車なのですが、価格は一般的に30万円ほど高く、この価格差でもガソリン車の方が多く(約7割)、選ばれていることを考えるとほぼ同等の価格レベルまでいかないと消費者がEVを積極的に選択するところまでいかないのかもしれません

EVが高い要因はその動力源である電池の値段が高いことにあります。電池はこの10年で大幅に値下がりし、今後量産化、各社の技術革新によりコストダウンは進められていきますが、まだまだガソリン車のエンジンと比べると高い…原材料の取り合いもあり、今後価格動向も不確実な点があり、容易に価格が下がるとは思えません。

「充電設備が整ってない」。日本では集合住宅、マンション住まいの割合が40%超と高くなっています。EVにおいて自宅充電できるかどうかが利便性を大きく分けるカギになるのですが、集合住宅ではEVの充電器をつける、個人で自由に使うことが難しく、自宅外の充電スポットを活用しないといけません。

https://www.aeonbank.co.jp/housing_loan/special/097/
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自宅が一軒家の場合、充電器の設置は比較的容易で費用は10~15万程度。これでGSに行く手間が省ける…と考えれば安いのかもしれませんが、EV購入に充電器設置費用が追加となるとガソリン車との価格差もより大きくなります。

集合住宅への充電器設置は、新規に建てられる場合、一定数確保することは可能ですが、数に限りはあり、今後の普及を考えてどこまで設置するかは難しい問題です。既存の集合住宅への充電器の設置については、理事会で半数以上の承認を得ることが必要であり、EVを持っていない住人の方の費用負担を考えても、後付けは一筋縄ではいかないでしょう。

街中の充電スポットの充実に関しても、現状は多くが赤字運用となっており、2020年は採算の面から撤去もあり、数量が減っています。

航続距離の制限/充電時間の観点から、EVがガソリン車を超える利便性を保つためには充電インフラの整備が至上命題。しかし、正直公共設備の充実は全く進んでおらず、個人での設置についても他国に比べるとハードルが高くなっています。

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