【マツダ 23年4-6月期決算解説】試されるラージの真価!多地域展開から選択と集中へ

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。「各自動車メーカーの23年4-6月期決算解説」今回はマツダ。昨年から販売した新PF「ラージ商品群」の真価が試される今期、果たしてその結果は
カッパッパ 2023.08.19
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ご安全に。

帰省をすると食べ過ぎてしまうカッパッパです。またダイエットを再開しないと。。。

中期経営計画としてブランド力向上を掲げ、魂動デザインやスカイアクティブエンジンなど商品力の高いクルマを市場に投入、そしてついに待望のラージ製品群を昨期より販売開始したマツダ。CX-60に続いてCX-90も発表し、ラージ商品群が本格的に台数を伸ばすことが期待される今期、果たしてブランド戦略は上手くいっているのか。どこより詳しく解説します。

1.前期の赤字からは回復!(ただし他社比では利益が低め

 第1四半期の売上高は前年同期の6172億円から4738億円増の1兆910億円、営業利益は前年同期の195億円の赤字から495億円増の300億円、経常利益は前年同期の207億円から432億円増の639億円、当期純利益は前年同期の150億円から222億円増の372億円となった。
出典 マツダ 2024年3月期 第1四半期決算 	プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より

2023年4-6月期は売上高、1兆910億円(前期比+4,748億円)、営業利益300億円(前期比+495億円)と増収増益。営業利益率は2.8%、前年同期比+6.0ポイント。前期が半導体不足及び物流要因による出荷台数減で大きく台数が減っていたために、前期比では大幅に業績は回復。2023年1-3月期は売上高1兆1305億円、営業利益325億円⇒、4-6月は1-3月とほぼ横ばいと考えて良いでしょう。

出典 マツダ 2024年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より

生産台数は前年同期比+7.5万台の28.4万台。22年が4-5月での上海ロックダウンに起因する部品不足により生産を落としたために、前期比では大幅な増加。販売台数は前期同期比7.6万台の30.9万台。こちらも1-3月が31.5万台であることを考えると横ばい。

販売を地域別にみると、前期比で北米が大きくプラスなのに対して中国、ASEANがマイナス。前期は上海ロックダウンで営業日が極めて少なかったにも関わらず、今期がマイナスであったことを踏まえると中国での販売の落ち込みは極めて深刻です。またASEANも自動車向けローンの審査厳格化などにより需要が落ち込み、マイナスに。地域によって業績に差が出ています。中国、ASEANの2地域は当初の計画よりも落ち込みが激しく、改善が必要な状況であり、第二四半期決算時に見直しが必要になる可能性があると言及がありました。 

2020年ごろのマツダは世界各地域の販売比率が日、欧、米、中、その他でほぼ均等20%ずつという点に特徴があったのですが、直近では比率に大きな変動が。北米が全体の40%を超え、中国は6%まで比率が低下しています。中国の落ち込みをいかに抑え、そして北米販売で補填するのかがマツダの直近の課題。

出典 マツダ <b>2024</b>年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より

出典 マツダ 2024年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より

北米ではトヨタと合弁会社を作って、生産ラインを新設したアラバマ工場「CX-50」のラインが遂に2直化。アメリカでは人件費の高騰+人員確保に苦しみ、1直での操業が続いていました。1直→2直で単純に生産数が倍になる訳ではないと思いますが、需要は好調のため、第1四半期1.2万台個超える数量が生産/販売されていくことでしょう。「CX-50」は日本未販売ですが、中国では5月から販売開始されており、HEVも11月から販売開始予定。中国ではモデル末期で魅力的な車種が少ないという問題もあり、CX50の投入で少しでも販売を回復させたいところです。(なお中国事業から撤退しないことは決算発表の中で明言されています)

  出典 マツダ <b>2024</b>年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より  

  出典 マツダ 2024年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より  

そしてマツダの命運を握る「ラージ商品群」は販売好調であることが強調。

アメリカで販売を開始したCX-90は第1四半期で0.7万台、CX-60は第1四半期で1.3万台、計2.0万台を販売。ラージ商品群は既存のスモール商品群(日本だとCX-5  やCX-8が代表例)よりも高価格帯のため、売上高向上につながっており、また質疑応答では1台当たりの利益も約2倍との回答もあり、今後いかにラージ商品群の販売台数を増やせるかがマツダ、業績のカギとなっていくことでしょう。(なお、スモール商品群であるCX-8は年末で日本の販売が打ち切りになることが発表されました。)

    出典 マツダ <b>2024</b>年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より    

    出典 マツダ 2024年3月期 第1四半期決算  プレゼンテーション資料より    

営業利益の増減要因を見ると、出荷台数増、構成変化により819億円のプラス。販売台数の回復とラージ商品群への移行→高価格帯へのシフトの効果が出ています。マツダは北米への輸出が多いので為替益が大きく出ているかと思いきや、四半期で+58億円とそれほど大きくなっていません。これはタイバーツとメキシコペソが円安要因によりマイナスとなったため。直近足元では円安が続いているものの、今期はそれほど為替益は期待できないかもしれません。

気になるのは固定費他が▲398億円と大きなマイナスとなっている点。ラージ商品群追加による広告販売費の増加、賃上げによる人への投資はわかるのですが、品質費用の増加「カメラのリコールなどに起因する品質費用が発生したことによる一過性の増加で約150億円」が気になるところ。この費用がなければ、もっと業績は良くなっているので、第2四半期以降に期待です。

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続きは、1176文字あります。
  • 2.プラスマイナス両要因があり、通期見通しは変更なし

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