自動車技術を一変させる?日本自動車業界躍進のカギを握る『MBD開発』って何??_モビイマVol28

自動車業界の最新ニュース解説、おすすめレポ、本を紹介するニュースレター、モビイマ!第28号。これからの日本自動車業界/技術を大きく変える「MBD開発」について詳細に説明します。
カッパッパ
2021.10.07
読者限定

ご安全に!

(割とカジュアルにリプをくれる、超大御所自動車ジャーナリストの池田直渡先生。)

今回はこれからの自動車業界躍進のカギを握る「MBD開発」について詳細に解説します。

先日、報道のあった「MBD開発センター」発足のニュース。

モデルベース開発技術を広く普及展開し、モデルを用いた高度なすり合わせ開発(SURIAWASE2.0)を実現することにより、日本の自動車産業の国際競争力向上に貢献する

なんかすごそうだけど、「そもそもMBDってなんやねん」という方多いのではないでしょうか。何を隠そう先日までカッパッパもその1人。さっぱりわからんので、いちから調べることにしました。

確かに調べると「これは日本自動車業界の開発を大きく変えるかもしれない…」と思わせるMBD。これは自動車に関わる方はぜひとも知っておいた方がいい知識

この記事を読み終えれば、明日からドヤ顔でMBDを教えられる。イチからわかるように、詳細に解説しました!

それでは「モビコラム:MBD」スタートです!

MBDって一体なに??

簡単にまとめると「実物ではなく、『モデル』を使った開発」ということ。なんですが、この『モデル』ってなんやねん。

モデルベース開発(MBD=Model Based Development)とは、“コンピューター上で数式によって再現した「モデル」を用いることで、複雑な組込みシステム開発の効率化・短時間化を図る開発手法”
https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/it/article-68

『モデル』=現実(実物)を数式などを用いてコンピュータ上に再現したもの。“動く仕様書”や“実行可能な仕様書”とも呼ばれます。機械設計なら3Dモデル、電気回路設計なら電気回路というように「モデル」の在り方はさまざまですが、コンピュータ上に表現された実物の代替という点は同じです。この「モデル」を使い、シミュレーションを行いながら、開発と検証進める=MBDなのです。

自動車業界に詳しい方なら、「CAE(Computer Aided Engineering)とどこが違うの?」と思われるかもしれません。振動・運動・温度などの個別の環境下でのシミュレーションを行うCAEに対し、MBDでは「モデル」の活用による制御や動作、製品の妥当性の検証に焦点が当てられる点が異なります。

自動車におけるMBD、ものすごく簡単にいうと「実物の部品をコンピュータ上で再現して机上でシミュレーションして開発を進めること」になります。

なぜMBD開発が優れているのか

「わざわざデータ化してコンピュータ上でシミュレーションを走らせるより、実物で検証した方が実態に合っているし、早いのではないか」

いえいえ、実物での試作は非常に時間とお金がかかるのです。まず実物の部品を作るのには多額のお金と時間がかかります。図面を起こして、部品の生産を依頼。試作品であるために、小ロットで特別な設備や加工を実施して作成。どのように加工するのかプログラムを組み、一つ一つの工程を特注品として、作り上げ、最終的にそれらを組み合わせ試験、評価する。価格は特注品であるために通常量産で使う部品の何十倍になることは普通ですし、納期に関しても数カ月単位。そして、試験でも実際にデータを取る/まとめるのに数週間かかるのもざらです。こうして得られたデータに対し、部品の修正が必要であれば、また1からやり直し。再び多額のお金と時間がかかります。

その点、MBD開発であれば、実物を準備することがないので、部品準備でのお金、時間がかかりません。「モデル」さえあれば、行いたいシミュレーションを机上で実行。結果もすぐに得ることが出来ます。修正が必要であればコンピュータ上の「モデル」のパラメータを変更し、再度実行を繰り返し、改善/開発を進めることが出来るのです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC228WG0S1A920C2000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC228WG0S1A920C2000000/
人見委員長は、モデルベース開発というものに対して「モデルにするのは何のためかということです。一度やった仕事は、数式にして、次からは自分もまた同じ苦労をしなくてすむように、ほかの人も同じことをしなくてすむようにするためと理解していただけたらいいんじゃないかと思ってます」と語る
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1353294.html

「モデル」を使用することで、それまでのプロセスや失敗、知見が共有、機能や動作の検証機能も保存され、技術継承に役立つ、開発早期段階からシミュレーションが実施でき、問題を前段階でつぶしこめる、開発そのもののスピードが上がっていくという効果もあります。

MBD開発を進めてきたマツダ

日本においてMBD開発を先行して進めてきたのはマツダです。(「マツダの目指すモデルベース開発」を参照)マツダは2000年代初頭からMBDを本格的に導入。一時期、経営危機にあったマツダを救った新型エンジン「スカイアクティブ」はこのMBD開発で進められたことで有名です。

SKYACTIVエンジンの開発においては,構想設計段階でも詳細設計段階でも,MBDが重要なポイントであった。机上での検討を充実させるには実用的な予測精度が必要不可欠であるが,当初は十分なレベルになかった。そのため,最初に予測技術の精度を大幅に高めるための開発を行った。並行して,多くの検討を行うために解析効率を向上させる開発も行った。こうして確立した解析技術と実験を組み合わせることでエンジンの内部で起きている現象を解明し,その知見を活用して諸元,形状を決めてきた
https://www.mazda.com/contentassets/3a869ccb111c49a488e32a6e19752d4a/files/2013_no012.pdf
MBD導入前ではECUが出来上がってから3ヵ月くらいエンジンがかからないのは当たり前だったという。それが「SKYACITVは毎回のように一発でエンジンがかかった」という
https://car.motor-fan.jp/tech/10017724

高燃費、高出力を実現したSKYACTIVエンジンを実現させ、その開発工期を大幅に短縮させたMBD開発は他の開発にも展開され、マツダを技術を支える大きな柱の一つになっています。

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