【自動車メーカー決算解説:スズキ】インドの成長がこれからのカギ!

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今週は「各自動車メーカーの22年3月期決算」を解説します。今回はスズキ。新型アルトを販売開始し「小・少・軽・短・美」を掲げるスズキ。主力のインド市場も回復してきましたが、果たして業績はいかに。
カッパッパ 2022.05.12
読者限定

ご安全に!

Apple Watchで一番よく使うのは「iPhoneを鳴らす」機能。すぐにどこかにiPhoneを置き忘れるカッパッパです。

自動車メーカー決算シリーズ、第2弾はスズキ。実は4輪としてはトヨタに次いで営業利益率の高いスズキ。「下駄」を自称する大衆車メーカー。日本国内の軽自動車市場やインドでは実に高いシェアを持ち、好業績を続けています。

あと決算資料が手堅い感じながらも、前年と比較しやすい構成なのがカッパッパは好き。

そんなスズキの決算は果たしてどのような内容だったのか。どこよりも詳しく解説します。

また有料購読者の方には本日にトヨタの決算解説も配信。日本が誇るトヨタ、その利益額、営業利益率は圧倒的で独り勝ちと言っても過言ではありません。その強さは今回の決算でも見れるのか。また通期見通しはどの程度の見込みになっているか。非常に中身の濃い内容になっています。

登録すればすぐに読めるトヨタ決算解説。過去記事も読めて大変お買い得な有料購読。この機会にぜひ、ご検討を。

1.増収だけど営業利益は4期連続の減益

スズキは5月11日、2022年3月期(2021年4月~2022年3月)の連結決算を発表。増収となったものの、原材料価格高騰等により4期連続の営業減益となった。
2022年3月期の業績は、売上高が前期比12.3%増の3兆5684億円。半導体を含む部品供給不足の一方、前期が新型コロナウイルス影響により大幅減だったため、3期ぶりの増収となった。営業利益は同1.5%減の1915億円。新型コロナウイルス影響からの市場回復や為替影響の一方で、原材料価格高騰や減価償却費の増加により、4期連続の減益となった。経常利益は金融収支改善等により同5.9%増の2629億円、純利益は同9.5%増の1603億円となった。
https://response.jp/article/2022/05/11/357083.html

2022年度3月期売り上げは前期比12.3%増の3兆5684億円。前年コロナによる落ち込みがあっただけに、今年度は増収の結果に。しかしながら、営業利益は前期比1.5%減の1915億円。台数は増えたものの、後述する原材料価格高騰により減益へ。なお純利益は工場の売却益があり+になっています。

営業利益について分析すると、やはり大きいのは原材料価格変動。通期で1283億円のコスト増。売上からすると約4%のコストが上がった計算に。加えて発送費=物流費も171億円の営業利益を押し下げる要因になっています。スズキの決算でも自動車業界を苦しめる原材料価格/物流費高騰の影響が如実に表れています。

四輪の生産/販売実績を見ると、日本の販売減少幅が▲13.3%と非常に大きくなっています。半導体供給問題による生産台数落ち込み、工場の生産停止が販売にそのまま影響を与えた形。

月ごとの生産実績を見ると、21年度は基本的に前年割れ。特に1月の落ち込みはひどく、直近でも半導体供給問題は解消されていない、むしろ深刻化していることがよくわかる実績になっています。

こうした中でも営業利益率5.4%大衆車、小型車メインの自動車メーカーとしては大変優れた数字を残せる、スズキは経営の上手い会社。しかしながら、4期連続で営業利益が減益と、決して楽観できる状況ではありません。今年2022年度はどのような見通しを立てたのでしょうか。

2.過去最高予想も営業利益率は微減

2022年度の通期見通しでは売上高は+9.3%。2期連続の増収、過去最高を予想。そして営業利益では5期振りの増益、1950億円(営業利益率5.0%)を計画。売上高が伸びる一方で営業利益は微増、営業利益率は微減と悪化方向。

なぜそんなことになっているのかを見るとやはり要因は「原材料価格/物流費の高騰」

原材料価格変動により、2021年度比で850億円のコスト増。売上高から考えると2%のコストUP。2021年度に4%増えていたことを考えると合わせて6%ほど増えている原材料費。国内市場では日本メーカーは基本的に販売されているクルマの価格を変更しないため、その分利益が減ることに。営業利益率が5%程度の自動車メーカーにとってかなりの負担となっていることは間違いありません。(ありとあらゆるものが値上げされているので、クルマも上がるかも)

また研究開発費が393億円のマイナスになっていることにも注目。今期1607億円を2000億円まで増加。CASEによる技術革新に向け、積極的に取り組む姿勢が明確になっています。

通期での生産台数は+9.7%、販売台数は+7.4%。半導体供給問題で落ち込んだ日本の回復が見込んでいる(生産+23.3%/販売18.1%)のですが、直近も上海ロックダウンの影響等でラインストップが続き、このとおりに行くのかなかなか不安です…そしてロシアウクライナ侵攻の影響からか、欧州は販売で▲11.7%の見込み。生産/販売の内訳をみると、やはりスズキの主力市場はアジア、特にインド。ここでどれだけ生産/販売を伸ばせるかが2022年度スズキの業績を分ける結果となるでしょう。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1071文字あります。
  • 3.カギを握るのはやはり「インド」

すでに登録された方はこちら

読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!4/15
サポートメンバー限定
【日産新中計】『仲間』と共につくり上げるEV巻き返し戦略
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!4/8
サポートメンバー限定
【日産新中計】全方位で+100万、弧を描く成長は実現できるのか
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!4/1
サポートメンバー限定
【データでがっつり検証】『EVシフトが失速している』は果たして真実か?...
読者限定
5分でわかるクルマニュース_モビイマ!3/25
サポートメンバー限定
【売れば売るほど赤字】Ford、Rivianから見えてくる『EV儲から...