【冒頭先行紹介】どこより詳しい企業研究_完成車メーカー編(全体)
あけましておめでとうございます。
やはり年末年始での体重増加は不可避だった、2㎏増のカッパッパです。
2022年は皆さんのおかげで大変購読者の方も増え、年末には2500人を超えました。大変ありがとうございます。23年も引き続きよろしくお願いいたします。
23年、初回の記事は大好評シリーズ「どこより詳しい企業研究_完成車メーカー編 2023年版冒頭を「モビイマ!」購読者の方向けに先行配信します。
完成車メーカー各社の経営状況や強み/弱み、働く環境をまとめた就活生や転職希望者、そして投資を考える方にも非常に役立つ記事になっています。
全文では20000字超えの大作。実際に昨年の記事を読んで大手自動車メーカーに内定したという声もいただいています。
今回は冒頭部分の完成車メーカーの全体についてまとめた部分を先行公開。次回以降、トヨタをはじめとして各社の企業研究を発信していきます。
そして購読者数2500人突破を記念して、明日1/9までキャンペーンも実施中。有料購読登録の際にクーポンコード「M2022」を入力いただければ初月半額で購読ができます。2月には部品メーカー編も配信予定です。非常にお得な期間になっておりますので、この機会にぜひ登録を!
①完成車メーカーの販売台数/規模
2022年の国内販売台数は420万台、前年比△5.6%。東日本大震災の影響を受けた2011年の421万台を割り込み、45年ぶりの低水準。(コロナ前の2019年は519.5万台)
その要因は「半導体不足や海外生産部品の調達難」。コロナ禍に端を発した車載向けの半導体不足は2022年になって緩和はされたものの、大幅な挽回には至らず、2022年12月段階でも各社が稼働停止、生産調整を行っています。それ以外でも中国でのロックダウンによる部品供給問題で工場が停止するなどサプライチェーンの寸断により、完成車の生産が滞った一年になりました。
全体の数量が減る中で、完成車メーカーでも差が出る結果に。国内完成車メーカー8社のうちダイハツ、マツダ、三菱自動車を除く5社が前年割れ。特に前年2021年他社に比べて落ち込みの少なかったトヨタが▲12.4%と大きくマイナスの結果となりました。
日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会のデータを基に作成
グローバルで見るとどうでしょう。まだ確定の数値は出ていませんが2022年の販売実績は8240万台ほど。その中で1位はトヨタが確定しています。日本では販売が落ち込んだものの、中国、東南アジアでの回復がグローバル販売を押し上げ、11月までの世界販売台数は956万台(前年比横ばい)で3年連続のトップ。ライバル,2位のVWが半導体供給問題で依然販売台数が大きく減る(11月までで742万台 前年比▲9%)中、影響を最小限に抑えました。ただVWで特徴的なのはEVの販売が大幅に伸びていること。前年比25%増の36万台となっており。トヨタが2万台弱なのに対し、EVシフトが進んでいます。3位はルノー/日産/三菱Gr。そのあとにGM、現代が続きます。(確定値ではないので変動の可能性あり)
主要な完成車メーカーの販売状況は掴むことができました。ではそんな完成車メーカーは「職場」としてどうなんでしょう?
②完成車メーカーの働く環境
仕事を選ぶ上で待遇は非常に重要です。いくら仕事内容が楽しくても生活できなければ生きていくことはできません。完成車メーカーで働く環境はどのようなものなのでしょうか?
各社に差はありますが、一般的な業界と待遇、特徴について比較します。
1.給料
給料はメーカーの中では高めですが、商社や金融と比べると低い傾向にあります。一般的に年功序列で、20代若いうちは伸びないが、職位が上がる、役職がつくと一気に伸びることが多くなっています。また評価による給料の幅は他業界に比べて少なめです。
各社の給料については下記を参照。ただしこちらは有価証券報告書を基にしており、現場、工場の正社員も含まれるので大卒の給与平均とは異なりますので、注意が必要です。
2.福利厚生
福利厚生は他業界と比較し、かなり手厚いです。もちろん会社によりますが、寮、社宅、家賃補助などの住宅補助、家族手当、特に車に関わる購入や保険などでも補助は充実しています。一切補助のない企業に比べれば、計算上年間100万以上差があるなんてことも…就職、転職の際にはこうした直接の給料には含まれないお金にも注目です。
3.年休消化率
年休消化率は高水準です。完成車メーカーは「大企業」であり、働き方改革が一般的に進んでいます。加えて車業界は労働組合が強く、年休消化の目標設定が高く設定。年休無所得者には上位の管理職にフォローが入るなど、内部での圧力が強いです。ちなみに完成車メーカーではありませんが、私の昨年度の実績は18日でした。
4.残業時間
残業については正直同じ会社でも部署/時期によって変わるので一概に語ることは難しいです。ただ、昨今のコンプライアンスへの取り組み強化からサービス残業はなくなり、働き方推進、生産性の向上が掲げられていることにより年々残業時間は減っている傾向にあります。コロナ禍では残業抑制を求められることも多く、36協定を超える残業(45時間/月)はかなり少なくなってきた印象です。(ただし残業は本当に部署によって違います)
5.在宅勤務
この数年で一番大きく変わったのは在宅勤務の在り方です。これまで自動車業界では「現地現物」が重視され、実際に足を運ぶことが重視されてきました。しかしコロナ禍により状況は一転。集団接触を避けるため、自動車業界でも在宅勤務が推奨されるようになりました。多くの大企業では在宅勤務が導入され、コロナ禍以降でも随時進められていくでしょう。
実際に働いている身として在宅勤務するかどうかは、仕事のやり方、QOLに大きく影響します。新しく自動車業界に入られる方は志望企業でどのくらい在宅勤務が進められているのか確かめておくと良いでしょう。
6.昇進
昇進に関しては現状、典型的な年功序列。20代若手のうちではほとんど差がつかず、30代で役職につく段階で差がつき始めます。早い場合で係長が30前半、課長になれるのが40歳前後。早めにマネジメント経験を積みたいという方は合わないかも知れません。
7.勤務地
各社それぞれに生産拠点があり、その場所をベースとして海外を含めた転勤があります。基本的に生産拠点は都会にないので、ビル街のオフィスでスーツで颯爽と仕事をする、自動車業界ではかなり難しいです。海外での売り上げ比率が高いため、若い段階で駐在する人が他業界と比べ多いです。
8.その他
完成車メーカーは知名度が高いです。これは地味に重要で、親や親戚に就職を報告/相談する際に困らない、喜ばれる、会った人からの評価されやすい、工場の周りではその企業であるというだけで絶大の信用があったりします。また与信が高く、銀行からの融資も受けやすいです。
ただこれまで挙げた働く環境については今後2020年代で見直されていく可能性が非常に大きいです。終身雇用に関しては最大手のトヨタが「継続は難しい」と述べており、日産/三菱、ホンダは工場再編を進め、人員削減を含めた構造改革を進めています。中途採用比率を上げる(下記の記事にあるトヨタのEV部門は半数以上が転職者とのこと)、賃上げを評価に応じて実施する等のニュースもあります。現状の働く環境は上記に書いた内容で間違いないですが、今後は間違いなく変わっていくという前提で企業を見ていくことが良いでしょう。
次週以降では各個別メーカーの企業研究を配信します。非常に充実した内容になっていますので、乞うご期待!(本当に就活生や転職を考えられている方、これだけ読めば企業研究はばっちりの内容になっているのでぜひ登録を!)
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