【自動車メーカー決算解説:SUBARU】これからは電動化へまっしぐら!

自動車業界の最新ニュース解説を発信するニュースレター、モビイマ!。今週は「各自動車メーカーの22年3月期決算」を解説します。今回はSUBARU。2021年度は半導体供給問題による減産影響が非常に大きかったSUBARU。業績は伸び悩みましたが、決算発表では大きなサプライズ。電動化への大々的な戦略が発表されました。その中身を徹底解説します
カッパッパ 2022.05.13
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日曜の朝に子どもと戦隊シリーズを見るのが大好き、カッパッパです。(昨期からは仮面ライダーより戦隊シリーズが面白い)

自動車メーカー決算シリーズ、第4弾はSUBARU。2021年度、減産割合が他社と比べ高く、生産調整の大きかったSUBARU。今回の決算では生産できない辛さがわかる決算内容になりました。

ただ、これまでの決算発表の中では一番のサプライズ。国内の電動化を一気に進め、EV専用工場を立ち上げるアナウンスも。内燃機関に強みを持つSUBARUが今後の生き残りをかけ、電動化に大きく舵を切りました。その内容をどこよりも詳しく徹底解説します。

また有料購読者の方には明日朝までに日産の決算解説も配信。赤字が続き、構造改革がすすめられている日産。ただ、EV「アリア」を発表し、ノートの販売も好調。電動化では一日の長があります。果たしてその決算内容とは。

正直、日産決算資料「やりましたよアピール」を詰め込みすぎて情報量が多く、非常に理解しにくい…ただそんな決算資料を読み解き、非常に中身の濃い内容になっています。

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1.半導体供給問題で作れなかった2021年度

SUBARU(スバル)は5月12日、2022年3月期(2021年4月~2022年3月)の連結決算を発表。半導体や部品不足などによる生産調整が響き、2年連続の減収減益となった。
損益については、販売奨励金の抑制、保証修理費の低減や、為替変動による増益効果があったものの、原材料価格の高騰や販売台数の減少などにより、営業利益は同11.7%減の905億円、税引前利益は同6.1%減の1070億円、当期利益は同8.5%減の700億円となった。
https://response.jp/article/2022/05/12/357115.html

2022年度3月期売り上げは前期比3%マイナスの2兆7445億円。前年はコロナによる落ち込みがありましたが、今年度は世界的な半導体需給ひっ迫、新型コロナウイルス感染症拡大による部品供給制約を受け、より減少する結果に。他社が売上高を伸ばす中で、SUBARUは減産幅が大きく、業績に大きな影響を与えています。営業利益も前期比12%減の905億円生産できない辛さが如実に表れた決算になりました。

営業利益の増減要因を見ると、やはり他社同様大きいのは原材料価格。通期で796億円のコスト増。売上からすると約3%のコストが上がった計算に。販売奨励金減(アメリカ:前年度1,300ドル/台⇒▲600ドル減=700ドルまで改善)や為替による利益増要因があったものの、販売台数が減った要因もあり、営業利益は▲120億円の減益に。

販売台数を具体的に見ると、81万台⇒73万台、約10%のマイナス。これまで発表のあった決算発表では各社の前年比販売台数、三菱自動車が+13.6万台、スズキが+13.6万台(たまたま同じ)、トヨタが+58.4万台。他社がプラスにも関わらず、SUBARUは10%のマイナス。SUBARUは昨年、日本メーカーの中では最も部品供給問題の影響を受けたメーカーであったと言えます。(本当に生産調整/稼働停止が多かった1年でした。)

販売台数を地域別にみると主力市場のアメリカが10.5万台の大幅なマイナス。これは前年度、アメリカ市場の回復が早く、SUBARUが優先して販売した結果の裏返し。ただ、在庫が少なく、販売奨励金も過去最低レベルのアメリカ=売れば利益の出る市場で販売を落としてしまったことは業績が上向かなかった一番の要因だと言えます。

部品供給問題に苦しられ続けているSUBARU。果たして今年度はどんな計画を描いているのでしょうか。

2.2022年度は一気に回復へ

2022年度の通期見通しでは売上高は前年比27.5%増の3兆5000億円、営業利益は前年比121.1%増の2000億円。達成できれば営業利益率は約6%。大幅な回復を見込んだ通期見通しとなっています。

回復の要因は「販売台数の大幅な伸び」。SUBARU車への需要は非常に高く、特にアメリカでは作ればすぐに売れる状況。北米市場を中心に販売台数を伸ばし、73.4万台⇒94万台、プラス20.6万台へ。部品供給さえ何とか解決すれば、販売につながるとみられ、2022年度のSUBARUはどこまで生産ができるのかがカギになってくるでしょう。

営業利益の増減見込みを見ると、まず販売台数増/販売価格の改定により2365億円の収益改善。また輸出の多いSUBARUは円安が有利に働き、想定レート1ドル=120円計算でプラス859億円(足元の130円なので伸びる可能性大)

ただ他社同様原材料価格の高騰の影響は大きく、1042億円の悪化要因。もし販売を伸ばすことが出来ないと、原材料価格コストの高止まりにより業績は悪化するでしょう。

業績からすると、他社と比較し、2021年度は業績が「イマイチ」だったSUBARU。ただ、2022年度は部品供給問題からの回復を見込み、大きく業績を伸ばす通期見通し。ポイントは半導体供給、またロックダウンを含めたコロナリスクの中でどれだけ生産を伸ばせるか。工場の稼働状況に目を配ることが業績を予想するポイントになりそうです。

3.電動化への大きな舵切り

今回のSUBARU決算発表で一番のサプライズは電動化戦略の具体的内容の発表。内燃機関に強みのあるSUBARUが生き残りをかけ、電動化を一気に加速する戦略を公表しました。

2021年5月、「STEP2.0」の発表にて「電動化に向けたロードマップ」を発表。より加速させていくと公表されていましたが、今回の決算発表で「加速」の具体的な中身が明らかになりました。

電動化のために、国内生産体制の戦略的再編を実施。HEVとしてトヨタのハイブリッドシステムTHSを採用した次世代e-BOXER車を投入。また、25年から自社でのBEV生産を開始(現在の「ソルテラ」はトヨタに製造委託)、27年にはEV専用工場の新設も発表。EV専用工場を日本国内に建設することを発表したのは今回のSUBARUが最初です。

25年段階ではBEVはガソリン車とラインを共用し、混流生産。ただ27年には専用ラインを大泉工場に新設し、BEVの生産/増産体制を整えていく計画になっています。

電動化に向けた投資のために、5年間で2,500億円の投資を予定。22年3月期では861億円だった設備投資は23年3月期では1400億円へ。24年3月期以降も増加させる計画。研究開発費はトヨタとのアライアンスを活用し、1200億円/年を維持する予定となっています。

電動化への大きな投資の発表。現状の内燃機関車で利益を積み上げ、将来のための投資資金を確保できるかがSUBARUの命運を握ることになるでしょう。

BEV化すると、水平対向エンジンという大きな武器を失ってしまうSUBARU。その中で「SUBARU」らしさを維持し、生き残りをかけ、電動化へ大きな舵切りが発表されました。SUBARUのみならず、日本の各社のこれからの戦略にも影響を与えてくる、カッパッパ的に今週の決算発表の中では一番のサプライズです。

***

2021年度は業績を伸ばしきれなかったSUBARU。2022年度は一気に回復、そしてその後を見据えた具体的な電動化戦略が発表されました。今期のポイントはどれだけ作れるのか。依然リスクの高い中、どこまで生産を伸ばせるのか、そして今後発表されていくであろうSUBARUの電動車に注目です。

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明日の朝までに日産の決算解説も有料購読者向けに発信予定。決算資料を読みに行っても少しわかりづらい日産の決算。カッパッパが代わりに読み解いてどこより詳しく解説します。乞うご期待!(本日中に出したい…)

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