電動化の主役はバッテリーだけじゃない!自動車に使われるモーターのイマ!

今回はモビイマ初の寄稿記事!電動化というと電池を思いがちですが、実はモーターも非常に重要な役目を担っています。そんなモーターの「イマ!」を伝えます。
カッパッパ 2022.02.17
誰でも

ご安全に!

今回はモビイマ!初の寄稿記事!「自動車に使われるモーターのイマ!」をお伝えします。

CASEのE、電動化では電気自動車⁼電池が注目されがちなのですが、実はモーターも非常に重要な部品の1つです。でも、モーターってどこで使われているの?どんな会社が作っているの?この記事を読めば、モーターの基礎はばっちりです。

今回寄稿していただいたFさん。実はカッパッパも非常に参考にさせていただいています。

初の寄稿記事ながら非常に充実した内容。こちら自動車業界の方は必読です。

1.モビコラム

***

はじめまして!自動車関連の市場調査をしているFといいます!この度は、自動車に使われるモーターをテーマに「モビイマ!」に寄稿させていただくことになりました。どうぞよろしくお願います!

近年では、車載用バッテリーの話題をよくニュースなどで見かけると思いますが、モーターもクルマの電動化にはかかせないものとなっています。今回は特に注目されている「走る」、「曲がる」、「止まる」に関連したモーターを紹介し、参入サプライヤや直近の動向などまとめた内容をお届けいたします。

自動車に使われるモーターには何がある?

上記の物は一部ですが、クルマ1台あたりに搭載されるモーターは約30~100個で高級車になればなるほど多く搭載される傾向にあります。搭載される部位はパワートレイン領域(駆動モータ、電動ウォーターポンプなど)、シャシ領域(電動パワーステアリングなど)、ボディ領域(ウィンドウモータなど)となっています。モーター搭載数はクルマの快適性を向上させるボディ領域で差が出やすい傾向があります

「走る」に使われるモーター

◆駆動モーター

ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(BEV)などに搭載されるモーターで、HEVでは走行のアシストを行い、BEVにとってエンジンの代わりとなる「走る」を支えるモーターです。クルマ1台あたりの搭載数は1~3となっており、モーター最大出力は小さいもので10kWから大きいもので200kWになります。近年では、搭載性向上やコスト低減を目的に駆動モーターと回転速度を制御する「インバーター」回転数を調整する「減速機」を一体化した「Eアクスル」が注目されています。市場規模は電動車の普及に伴い、急速に拡大しており、各社ラインアップを拡充しています。たとえば、日本電産ではモーター出力毎に5つの製品を用意し、軽自動車のような小型車からSUVのような大型車まで対応できる製品ラインアップを揃えています。

https://www.nidec.com/jp/technology/new_field/e-axle/
https://www.nidec.com/jp/technology/new_field/e-axle/

・参入自動車部品メーカー

自動車メーカー内製、BluE Nexus、日立Astemo、日本電産、Borgwaner、Bosch、Vitesco Technologies(Continentalからのスピンオフ企業)など

 駆動モーターはHEVを多く販売しているトヨタの内製品が最も多く、モーター2個搭載のBEVを手掛けるTesla内製品のシェアも高いと思われます。

・直近の動向

自動車部品メーカーは上記で説明した「Eアクスル」に注力し、DC/DCコンバーター、車載充電器、熱マネジメントシステムなどを集約した製品も開発中です。開発期間の短縮や開発予算が限られている中堅自動車メーカーや新興EVメーカーにとっては開発コストを掛けずに調達できるなどメリットが多く、「Eアクスル」の採用は今後増えていくと予測されています。

「曲がる」に使われるモーター

◆電動パワーステアリング(EPS)

パワーステアリングとは、運転者のハンドル操作をアシストする機構で「曲がる」をつかさどる重要なシステムです。軽量化や燃費を向上させるために油圧方式から電動アシストへ移行してきた経緯があり、ADASや自動運転にも関連する技術です。

EPSはモーターでアシストする位置によってタイプが分かれ、大まかに「コラムアシスト」、「ピニオンアシスト」、「ラックアシスト」の3タイプがあります。一般的には省スペースで低コストであるコラムタイプが軽自動車や普通車、操舵性能が高いラックタイプが大型車やSUVなどに採用されます。

EPS搭載率は全世界の新車販売台数の約70%(2021年:約5,670台分)になり、EPS用モーターはクルマ1台あたりに1個使用されます。

https://www.jtekt.co.jp/news/190625_2.html
https://www.jtekt.co.jp/news/190625_2.html

・参入自動車部品メーカー

ジェイテクト、日立Astemo、日本精工、Bosch、Nexteer、Thyssenkrupp、ZFなど

世界1位のシェアを獲得しているジェイテクトはEPSを全タイプ幅広く出荷しており、特にコラムアシストタイプで大きいシェアを獲得しています。Bosch・NexteerはSUVなど大型車の販売が多い欧米系自動車メーカーへの供給が多く、ラックアシストタイプに強みがあります。

・直近の動向

 シャフトとステアリングホイールを切り離した「ステアバイワイヤ」をジェイテクトが2022年から量産予定です。車室空間の拡大、据え切り操作の負担軽減などのメリットやドライバーのハンドル操作に関わらず、車両システム側の判断で緊急回避を実行できるため、今後増加する自動運転レベル3以上の車両に搭載されるケースが多くなる見込みです。

「止まる」に使われるモーター

◆電動油圧ブレーキ

 最も安全性に直結し、信頼性の高さが求められる「ブレーキ」においても電動化が進んでいます。電動油圧ブレーキはトヨタ「プリウス」から搭載が始まるなどHEVに先行して搭載され、内蔵するモーターでブレーキのマスターシリンダーを押し、制動力を発生させています。電動油圧ブレーキは、従来の油圧ブレーキ機構と比較してコストが数倍にもなることからHEVやBEVでの採用が中心で、2021年時点の搭載率は世界自動車販売台数の約10%(約810万台)といわれています。ちなみにクルマ1台あたりに使われるモーターの数は1個となっています。

https://www.bosch-mobility-solutions.com/en/solutions/driving-safety/ibooster/
https://www.bosch-mobility-solutions.com/en/solutions/driving-safety/ibooster/

・参入自動車部品メーカー

アドヴィックス、日立Astemo、Bosch、Continental、ZFなど

電動油圧ブレーキはアドヴィックスが世界に先駆けて製品を投入していましたが、現在はドイツ系自動車部品メーカー3社のシェアが非常に高いです。

・直近の動向

近年ではVW「Golf」、スバル「レヴォーグ」などガソリン車への搭載も始まっています。

背景には欧州自動車安全テスト「Euro NCAP」のAEB(Autonomous Emergency Braking:衝突被害軽減ブレーキ)の評価試験に新シナリオが追加されたことが挙げられます。従来AEBはESC(Electronic Stability Control:横滑り防止装置)で制動力を発生させていましたが、安全性をより高めることが「Euro NCAP」において良い評価につながるため、応答性の高い電動油圧ブレーキを採用するケースが増えています

AEB自体も先進国を中心に搭載が義務化されているため、電動油圧ブレーキを採用する機運は高まっており、2030年には新車販売台数の約50%まで需要が拡大するといわれています。

まとめ

今回紹介したモーターはほんの一部であり、バッテリーなどの冷却に必要な電動ウォーターポンプや電動コンプレッサなど熱マネジメントに関わるモーターも注目を集めています。また、電動車の増加に伴い、クルマ1台当たりに搭載されるモーターの数は増加傾向ですが、「技術革新の余地が少ない」、「銅や電磁鋼板の価格上昇」、「リユース・リサイクル先が不明瞭」などの課題も抱えています。

中の人がガチでやる自動車部品メーカー研究2022年版でも今回紹介したモーターに関わる企業を紹介していますので、あわせてご覧いただければ自動車業界のトレンドをより把握できるかと思います。

今後もモーターに関わる発信をしていきますので是非ともご期待ください。

***

モビイマ!初の寄稿記事いかがでしたか。CASEが進み、構成部品が変わっていく中で、モーターは採用が増える重要部品。主要な使用箇所/会社を掴むことのできるこの記事は、これからの動向を把握するために実に有用だと思います。

こちら皆さんからのご感想お待ちしております。良ければtwitterで呟いていただけると泣いて喜びます。

モビイマ!では皆さんからの寄稿をお待ちしております。自分の専門分野を自動車業界の方に発信してみませんか?さほど額は多くありませんが、飲み会一回分ほどの謝礼もご準備しております。良ければぜひご応募を!

また今年も「どこより詳しい企業研究 ~完成車メーカー編~」の執筆を始めました。こちら、今週末から発信予定で、有料購読者の方は先行かつ有料noteよりもお得にGETできます。累計500部以上、購入されている記事の2022年最新版。いち早くor お得に手に入れたい方はぜひ有料購読ご検討ください。1ヵ月だけでもOKなのでお気軽にどうぞ。

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